薄紅色
特に何も起こらない。
予想を大きく裏切る展開も、
目を剥き役者筋を引き絞るモノローグも、
劇的な衝突もこれといって無い。
ただ、現代に生きる我々をそこに見るだけ。
なのに舞台には終始薄紅色の暖かな空気が流れていて、観終わった後もその柔らかさが胸の奥にとどまる。
一体これはなんなのだろう。
目に見えてすごい事は何もないのに、なんとも言えない影響を受けている。これがきっと新平さんの妙技なのだろう。伝えたい事を提示してゴリ押すのではなく、幾重にも丁寧に重ねて醸し出す。とても日本的な奥深さで、いいなぁと思う。
出ていた同期は見事に文学座の芝居を会得し、先輩方と連なりしっかりと柱を担っていた。最早ルーキーではなく、スタメンだ。その事実が何より嬉しかった。
自分の頭の中が劇場に足を踏み入れる前とは全然違うところにいっている事に気づく。暫くこの余韻に浸っていたいと思った。
