観劇というイベント
歌舞伎町一番街のサインを横目に靖国通りを下る。ミスドの影に口を広げる“公園”と称される道に入ると、そこは「そんなところに居るほうが悪い」と言われてしまいそうな事件の香りがする鬱蒼とした茂みに挟まれた裏道。夕暮れの紫色に染まった狭い空の下には無機質蛍光と公衆便所。そこを通り抜けわきに曲がると、時代の流れを感じるマニアックで味のある飲み屋が軒を連ねるゴールデン街があり、さらに進んで階段を登ると、すり減って顔が平たくなった阿吽の狛犬達と朱色の鳥居が迎えてくれる花園神社がある。
そんな神社の境内に組まれた野外劇場。
客席に上がるとスダレを壁に、観客達が扇子やうちわで扇ぎながら、飲み物片手に夏の空気に身を沈める。劇中も神社の鈴が鳴ったり、パトカーが通る音がしたり、でもそれが醍醐味と思える様な芝居の熱量とライブ感。インスタレーションアートの様に演る場所独自の良さを最大限に活かしたい作品作り。何とも言えない面白さがある。
国立の劇場で演るような細部まで緻密に計算され尽くした舞台とは違い、良い意味でアソビを残した作り。それではいて、締めるところはシッッカリ締めてるので雑にならないのはさすが。
途中休憩でも役者がビール売って回ったり、アイス売ってたり。芝居中も演者が客席の中を通ったり、観客に直接話しかけたり、終始観客を舞台の世界に含む工夫がされていてより野外フェス的なものを感じる。
ただ作品を観るってだけでは無くて、その場所に行く事自体のドキドキがあるって言うのが良いなぁと思った。昔の芝居小屋に行くってこんな感じなのかもしれない。
そしてナント最後は終わった後にそこで毎日役者と観客が一緒になって大宴会!!この自由さ良いでしょ~!!今日は鄭さんの誕生日だったらしく、みんなでハッピーバースデー

何よりも良かったのは、ものスゴく愛を感じる作品だったこと。出てる人も、作り手も、みんなこの舞台が大好きなんだなぁって。作家は映画館大好きだったんだなぁって。大好きだからこそ真剣に、でも笑顔でココまでやれるだなぁって。最後悲しいシーンじゃないのに涙が出てきたのは、きっとこの愛に溢れてたから。
椿組花園神社野外劇場30周年記念公演
「贋作幕末太陽傳」
作演出: 鄭 義信
7/10~7/21
