パッパラー! パララッタラー!!
盛大なファンファーレ。
隣、更には耳元で吹かれている私はたまらなくうるさいのだけれど・・・・。
さりげなく耳をふさいでみる。
「ふむ・・・・・・・。おまえが次のアリスか」
また。
顔を少しどころじゃなく上げてようやく見える上の方・・・・階段の上にいかにも女王様が座っている。
「はい。私がアリスです」
「我の名前を知っているか?」
・・・・・・・うさぎさんと同じことを聞く。
たくさんのハートをあしらったドレスに、輝くハートのクラウン。
玉座に立てかけられた長い剣はギラリと光る。
「もちろんです。ハートの女王様」
「よろしい」
満足気に玉座から立ち上がりゆっくりと階段から降りてくる。
頭を下げている私の前で、ピタリと止まると、指をパチンと鳴らした。
響き渡る音・・・・瞬間、周りにいた何十人の兵隊さん達の姿が見えなくなった。
―――― 頭が追いつかないのだけれど・・・・・。
跡形も無く消えた女王様の『駒』達。
女王様と、ふたり。
「では、ルールを説明しよう」
ルール・・・・・・。
破るためにあるものだと、誰かが言った。
しかし誰かは守り続けた。
・・・・・・誰だろう?
「アリス、お前はこれから5日間逃げろ」
「・・・・・はい?」
逃げろってなにから?
5日間って、どういうこと?
「この国のある程度の権力を持ったもの達が、お前の命を狙う。それから逃げろというのだ」
ますます意味が解らない。
命を狙われるってなに?
要は死ぬの?私。
「これは簡単なゲームだ」
「私は殺されるのですか?」
思わず尋ねる。
しかし、女王様はどこかバカにしたように見下ろしてくる。
「違うぞアリス。これはゲームだ。勝てばもちろん生きられる」
「負けたら・・・・・」
死ぬ?
よけいなことを考えてしまった。
背筋が冷やりとした。
ふっと、首筋になにかが当てられた気がした。
「お前は賢い。わかるだろう?これは命令だ」
首にかけられた剣。
玉座に置かれたままのはずなのに・・・・・・なぜ?
「もちろん・・・・参加します」
「ふむ。いいだろう。では、コレをやろう」
ドレスのポケットに手を入れる女王様。
なかなか剣は下ろしてくれない。
あんまり信用されていないのね、私。
「ほれ」
ガシャン!
目の前に放られた一丁の拳銃・・・・・・。
コレを使えというの?!
「逃げるだけではもたない。コレで先に殺せばいい」
ゴクリと息を呑む。
なんでだろう・・・・・私はどこかで拳銃を握っている気がする。
そろりと手を伸ばし、その重みと一緒に気分が沈む。
「ゲームの始まりだよ、アリス」
にこっりと、優しい女性の微笑で見下ろしてくる女王様。
下から見上げるしかない滑稽な私の姿は見えないけれど。
「我を楽しませておくれ、アリス」