栃木の風土:首都直下型地震の疎開地候補は「栃木県」 | 52歳で実践アーリーリタイア

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52歳で早期退職し、自分の興味あることについて、過去に考えたことを現代に振り返って検証し、今思ったことを未来で検証するため、ここに書き留めています。

首都直下型地震の際の疎開候補先として私は栃木県に注目しています。そこで、ここ1ヶ月で複数回栃木県にお邪魔し、那須から小山まで、各地の栃木県を自転車等で実際に周遊してみました(残すは栃木市と佐野市のみ)。

 

(宇都宮市にてLRTライトレール。2024年9〜10月撮影。以下同様)

 

栃木県は、津波の恐れのない「海なし県」でありプレートからも距離のあるエリア(=地震の揺れが小さい)で、首都圏の近隣に中では自然災害が圧倒的に少ないエリアなのです。

▪️恐ろしい首都直下型地震のリスク

私たち首都圏に住む住民(3,500万人)にとって最も大きなリスクは今後30年のうちに発生する確率が70%と言われる首都直下型地震です。

 

もちろん起きないことに越したことはないのですが、仮に首都直下型地震が発生した場合、ほかの地方で起きる大地震とはまったく様相が異なることに私たちはどれだけ目を向けているでしょうか?

 

 

地方であれば、いくらでも国内で支援できる体制が確保可能です。首都圏からの自衛隊や消防隊などの大組織が支援に向かえるからです。ところが首都圏はどうでしょう。この人口密度の高いエリアが広範囲にわたって広がっている首都圏で大地震が起きた場合、一体どの地域が私たちを救ってくれるのでしょう。

 

そうです。あまりにも首都圏は巨大すぎて相当に困難が伴うのは必須です(一応政府も検討はしている)。

 

 

 

例えばインフラ整備に電力会社や水道局のメンバーが支援に駆けつけたとしても、あまりにも規模が大きすぎて、復旧にどれだけ時間がかかるか見当もつきません。

 

ちなみに阪神大震災の時は、電気が1週間ほどで復旧したものの、上下水道の復旧は約3ヶ月かかりました。実は阪神大震災の場合は、被災地エリアが比較的狭く、大阪や姫路などの近隣都市から応援が潤沢に賄えたにもかかわらず、上下水道の復旧は3ヶ月もかかったのです(詳細は以下)。

 

 

これを首都圏に当てはめればどうなるでしょう。首都圏に網の目のように張りめぐされた水道管を復旧するのにいったいどれだけの時間がかかるのか、想像もつきません。

 

道路も建物の倒壊や車の故障などによる通行止めで、ほぼ機能しなくなるでしょうから、物流は完全にストップし、3500万人の胃袋を満たすための食料や燃料の不足が相当に長期間に及ぶ可能性があります。

 

したがって不幸にも首都直下型地震が発生した場合には、ライフラインの確保された近隣の地方に避難するのが一番。そしてその最も有力な候補地が栃木県なのです。

 

(宇都宮市:大谷石建築で有名な松が峰教会)

▪️首都直下型地震における栃木県の優位性

栃木県県民生活部消防防災課の2011年4月14日報告によれば、東日本大震災において栃木県は最大で震度6強だったものの死者4名で住宅全壊は261棟で、停電はせず断水も444戸と極小。新幹線は那須塩原駅⇔郡山駅間は1ヶ月程度で運転再開予定。在来線は運転休止にはなりませんでした(黒磯駅以北は1ヶ月休止)。

 

さらに各種高速道路も通行止めにはならず。

 

東日本大震災と比較して、首都直下型地震においては、栃木県は震度5弱程度(都心は震度以上)と想定されており、東日本大震災よりも震度は弱いと想定されています。

 

したがって、首都直下型地震が起きたとしても栃木県内のライフラインは、東日本大震災後の対策も強化されていることも踏まえると、相当に維持されるにではないか、と想定できます。

 

(渡良瀬遊水池)

▪️栃木県は47都道府県のうち鳥取県に次ぐ全国2位の安全性

GNSという指標があります。GNS(Gross National Safety for natural disasters)とは、自然災害に対する安全性指標のことで、地盤工学会関東支部が、47都道府県ごとの自然災害リスクにおけるその安全性について、自然災害の危険性、災害が起きた場合に耐えられる建物やライフラインなどの耐震性としてのハード面、防災対策用備蓄品や医療体制、防災訓練御の実施度などのソフト面など、総合的に自然災害における各都道府県の災害耐性を数値化したものです。

 

そして、この指標によれば、栃木県は鳥取県に次いでその数値が高かったのです。

 

なぜ栃木県の数値が高いかというと、

*海なし県なので、高潮や津波の危険性なし。

*火山の危険性や土砂災害の危険性が低い。

*人口密度が低い(人口密度が低い方が災害被害が少ない)

*ただし、ハード面・ソフト面の対策については平均的

つまり、もともと危険源(hazard)が少なく、災害発生時の人々や資産への影響度(exposure)も低い地域なので、ハード面・ソフト面双方とも、全国平均的に対策を講じていれば、全国2位レベルで安全、という結果。

 

(益子町:益子焼の民藝で有名な濱田庄司の参考館)

 

▪️那須は、国会等移転候補地として最高評価点を獲得

1999年、国会等移転審議会は移転先候補地として「栃木・福島地域」「岐阜・愛知地域」「三重・畿央地域」を選定し、中でも栃木・福島地域(那須・阿武隈地域)が最高得点を獲得。

 

国会等移転候補地としての議論は一時期盛り上がったものの、当時の石原都知事が反対を唱え、小泉純一郎首相が乗り気でなかったこと、さらに栃木県選出の有力国会議員、渡辺美智雄氏が死去したこともあって、急激にたち消えになってしまったそうです。

 

とはいえ、なぜ那須が阿武隈地域とともに最も有力な候補先になったのでしょう。それは、以下の理由。

*自然災害が少ない

*地盤が固い

*広大な公有地があり買収に関わる労力とコスト負担が軽い(成田空港の反面教師)

*交通の便が良い(東京から新幹線で70分、福島空港から近いなど)

つまり仮に首都直下型地震が起きて、那須に疎開したとしたら、相当に安全かつ利便性が高い、ということ。

 

ちなみに福島空港は、那須塩原市からおおよそ50kmの距離にあり、当空港からは伊丹空港や新千歳空港に直行便もあり、いざとなれば他地方への移動も可能。

 

(明治時代からある日光金谷ホテル、東日本大震災でも大きな被害なかったとのこと)

 

以上、栃木県は災害の少ない居住地として相当にレベルの高い県だということがお分かりいただけたと思います。2拠点生活するもよし、移住するのもよし、で実際に検討はしたものの、そこまでのコストと労力はする必要がないかな、というのが現時点の個人的見解。

 

とはいえ、実際に首都直下型地震が起きた際には、つれともども、Eバイクで道路寸断の恐れのない江戸川サイクリングロード遡って、栃木県に避難しようと真剣に考えています。