2023年グランツール、一番面白かったのは「ブエルタ・ア・エスパーニャ」 | 52歳で実践アーリーリタイア

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52歳で早期退職し、自分の興味あることについて、過去に考えたことを現代に振り返って検証し、今思ったことを未来で検証するため、ここに書き留めています。

今年の三大ツール1週間遅れで、ほぼ視聴完走。

 

三つのグランツール、すべてを制したは、なんとチーム・ユンボ・ヴィスマ。

 

 

そしてもっと驚いたのは最後のブエルタで、なんと、今年のジロ・デ・イタリアのチャンピオン「ログリッチ」、今年のツール・ド・フランスのチャンピオン「ヴィンゲゴー」二人のトップアシストだったアメリカ人「セップ・クス」が、二人のチャンピオンをしたがえて見事に優勝。

 

 

これはブエルタがグランツールの一番最後だったからこその実現したドラマ。

 

当初のチーム・ユンボ・ヴィスマは、ログリッチとヴィンゲゴーのダブルエース体制だと思わせていたのですが、なんと二人のアシストだったクスが、結果としてチャンピオンに。

 

一般的にアシスト選手は、アシストに徹し、エースになることはないのですが、これは二人のチャンピオンを連続してアシストしたクスに対するプレゼントだったのか。

 

でもそんな簡単なもんじゃない。多分ブエルタの場合は、3人で走ったら、ナチュラルにクスが速かったから。

 

 

そしてクスがタイム差を二人のチャンピオンから奪った状況において、あえて「チーム内でクスに対して攻撃するのはやめておこう」という雰囲気になって、実際そうなったのでしょう。

 

それでも、クスの状態が悪くなって、山岳などで失速すれば、間違いなく二人のチャンピオンがクスを置き去りにしたでしょう。

 

でもクスの状態も良好で、タイムトライアルでもヴィンゲゴーから、11秒遅れと遜色ない走り。山岳においても若干遅れはしたものの、数秒レベルにとどめたのも良かった。

 

 

さらにドラマだったのは、ユンボに唯一対抗できるはずだった、2022年世界チャンピオン、レムコ・エヴェネプールの第13ステージのグランツールを代表する峠「ツールマレー」での失速。そしてその翌日の涙のステージ勝利。

 

 

21日間の長期間、2−3日の休息日を除き、毎日4−5時間走り続けるグランツールでは、ちょっとした身体の不調で、総合優勝から脱落してしまう場合があります。これを「バッドデイ」と呼ぶのですが、まさに第13ステージのレムコがそのパターン。

 

合計21日のうち、たった1日調子が悪かっただけで総合優勝から脱落してしまうのがグランツールの残酷なところ。

 

そして脱落したとはいえ、翌日にレムコが名誉挽回のステージ勝利をしてしまうのだから、そのリバウンドメンタリティは驚異的。レムコ曰く

It's not what happens to you, but how you react to it that matters. Never give up. 

(あなたに何が起こるかではなく、それにどう反応するかが重要なのだ。決してあきらめてはいけない)

レムコ・エヴェネプールのXより

 

勝利から脱落した人間の気持ち、ずっと脇役だった人間の優勝した気持ち、そして主役だった人間が脇役になる気持ち。

 

 

そんな、さまざまな気持ちが錯綜したのが今年のブエルタ。

 

自転車ロードレース、特にグランツールは、あらためて人間模様が織りなすドラマが魅力的なスポーツだなと実感させてくれました。

 

また来年も5月からグランツールの季節が始まりますが、来年はどんなドラマが待っているのか、とても楽しみです。