「ハワイの風土:環境編」北緯20度の貿易風が心地よさを生む | 52歳で実践アーリーリタイア

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52歳で早期退職し、自分の興味あることについて、過去に考えたことを現代に振り返って検証し、今思ったことを未来で検証するため、ここに書き留めています。

ハワイのこの快適さは一体、何なんだろう。そしてハワイ中毒が生まれる。

 

(ワイマナロビーチ:2022年7月撮影。以下同様)

 

今回2度目のハワイで感じたのは、日本で我々が体感しているモンスーン(季節風)とは異なる、通年で同じ方向に吹き続ける「北東貿易風」の存在、そして火山です。

 

 

赤道付近で暖められた空気は上昇気流に乗り、北緯30度付近で下降して高気圧を生み乾燥した砂漠地帯(亜熱帯高圧帯という)を生みます。その空気はそのまま南下し、たっぷり水蒸気を吸収しつつ地球の自転の力(コリオリの力という)によって北東から南西へと流れる「北東貿易風」を生みます(この空気の循環をハドレー循環という)。

 

(『図解気象学入門:165頁)

 

このたっぷり水蒸気を吸収した北東貿易風が、ハワイ諸島の火山に遮られて雨を降らし、島の北東に湿潤をもたらし、島の南西は乾燥をもたらす。

 

JALボーイング767の窓より、上空から見たカウアイ島への雲のかかり方を見れば一目瞭然。

 

 

特にハワイ諸島最大の島、ハワイ島は最も新しい島であり火山。

(典型的な楯状火山:マウナ・ロア山)

 

長い間風雨に侵食されたカウアイ島やオアフ島と違い、海底からの標高差は1万メートル超(標高は4千メートル超)と世界一を誇るマウナ・ケア山や、マウナ・ロア山で遮られた北東貿易風は、世界有数の多雨地帯をハワイ島北東岸にもたらす一方、

 

(神秘的なワイピア渓谷)

 

北西岸は荒涼としたサバンナのような溶岩台地を形成。

 

 

オアフ島の場合、最高標高カアラ山でも1220メートルのため、貿易風は若干の水蒸気を残しながらホノルル方面に流れます。

 

(ワイキキビーチ)

 

このため「晴れ→曇り→雨→晴れ」と1日のうちで目まぐるしく天気が変わり、天気雨となって虹をもたらし、心地良いビーチでの滞在をもたらしてくれます。

 

(ホテルモダンホノルルのプールサイドより)

 

日本のビーチのように1日中ピーカンになってしまうと、暑くて暑くてしょうがありません。そして太平洋高気圧からのモンスーンがもたらす強烈な湿気。

 

一方、オアフ島では、ひたすら吹き続ける適度の湿気を伴った貿易風によって、こんなに心地よいのですね。ハワイ中毒が多いのも納得の気候。

 

 

以下、ケッペンの気候区分のほとんどを網羅するというハワイ島の多様な地域を紹介します。

 

高温多雨:アカカの滝周辺

いつも雨でしかも暑い気候が、ジャングルのような森をもたらします。

 

 

■暑くて乾燥:ハワイ島南部のマヌカ地区

ほとんど木も草も生えていません。荒涼とした広大な溶岩台地です。

 

 

■寒冷な高地:サドルロード&オニヅカビジターセンター

標高2,000メートル超の高地。気温は100m標高が上がるごとに0.65℃下がるので、2,000メートル超ということは、平地より13℃低い気温。オニヅカビジターセンターは標高2,800メートルなので18℃低くなる。ハワイ島平地の年間平均気温は25℃程度でしょうから、ここの平均気温は10℃前後。

 

(マウナ・ケア山とサドルロード)

 

■冷涼な高原(標高千メートル超):コナコーヒー地区

カイルア湾からは、激坂をひたすら登ります。この辺りは、標高1200メートル前後なので年間を通して20℃前後の快適な気候です。

 

 

■海洋性:カイルア湾

海抜0メートルのハワイ島西岸は、マウナロア&マウナケアの山を乗り越えた、乾燥した貿易風が快適な空気を醸し出してくれます。

 

 

■草原地帯:パーカー牧場
カメハメハ大王の側近だったJ・P・パーカーが運営していた米国最大級の牧草地帯。

(乾燥した牧場に北東から北西へと雲が流れる)

(ハワイ島東部の多湿と西部の乾燥の境界線のようす)

 

■多湿高原地帯:ハワイ島第三の街「ワイメア」
標高800メートルの高原都市、東岸から西岸へと貿易風が通過するので湿度高く1年中強い風が吹く街。


(ワイメアに吹き付ける貿易風がもたらす雲)

 

以上、多様な気候を味わえるハワイ諸島。

 

それもこれも全て北東からの貿易風と太平洋プレートし下から噴出するホットプレートによる火山によって、もたらされていることがよくわかります。

 

以下書籍参照