井上尚弥選手の対戦相手、マロニー兄弟は、チャーロ兄弟に続く今売り出し中のオーストラリア人ツインズボクサーで、今回は、その兄ジェイソン・マロニーですが、技術的にもチャンピオンになるに値する、正統派ボクサー。
先に弟はライトフライでチャンピオンになったので(今は陥落)、今度は兄貴の番だとばかりに2度目の世界挑戦。
入場曲は、同じオーストラリア出身のロックバンド「メンアットワーク」のダウンアンダー。せっかくなんだから、パッキャオ同様、同じくオーストラリア出身の世界的ロックバンドAC/DCの曲にすれば良いのにと思いますが、ちょっとカッタルイ感じのメンアットワークの方がお気に入りなのかもしれません。
さて試合が始まると、ガードが高くてフットワークのよさが目立つマロニーに、早い段階からのKOは困難と見たのか、井上選手も慎重に戦ってラウンドを重ねます。
ボクシングは、喧嘩っぱやい男たちの野蛮な競技のように感じるかもしれませんが、実は全然違います。いかに相手の隙をつくか、そして何よりも相手のパンチを喰らわないか、常に試合中から冷静に計算できる選手が大体、名選手になる。
試合直後の井上選手のコメントを聞いていても、ガードが固くてフットワークの良いマロニー選手にどうやってパンチを当てるのか、ずっと考えながら戦っていて、相手の選手の手が出てガードが空いたところに、見事にカウンターパンチをヒットさせての勝利。
ここは、井上選手のパンチ力の賜物というより、パッキャオがマルケスに喰らったカウンターのように、相手を隙を冷静に計算した結果としての見事なタイミングでのパンチ。
「パワーで勝ったというより、頭脳とテクニックで勝った」という試合でした。
とはいえ、やっぱり理屈抜きでの一撃の魅力は堪らない。その意味で井上選手は貴重なスーパースター。KOパンチャーはいろいろいますが、一発で倒せる選手はそうそういません。
次はカシメロか、ドネアとウーバーリ戦(12月12日)の勝者か、次戦も本当に楽しみです。
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