物語 ビルマの歴史 - 王朝時代から現代まで (中公新書)/根本 敬
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著者は国民国家としての枠組みでの歴史記述に疑問を感じながらも、ビルマという地域を特に近現代史を中心に記述。そうしないと、ビルマという地域の枠組みでは記述できないからであろう。特に近代国家は、西欧の概念によって切り貼りされた枠組みであり、むしろ日本のような国の有り様の方がレアケース。
上座部仏教を信仰するビルマ族が中心民族となるが、特に西欧列強(イギリス)の侵略と彼等の民族分断政策により、少数民族も東西南北の国境近辺に多数存在し、それぞれイスラム教・キリスト教等、他の宗教も同じビルマの中に包含され、アパルトヘイトほどではないが、国籍も民族によってそれぞれ区分けされ、ビルマ民族から少数民族への明らかな差別もあるらしい。
インドネシアののように多様性の統一の精神で、アウンサンスーチー氏が今後統治すればよいが、そのことは彼女も十分承知しており、後はその未知数の政治力によって、国軍との関係含め、今後どのように和解を図っていくか?がポイントになろう。
それにしてもアウンサンスーチーの思想については、実にリアリスティックで共鳴する。むしろ、彼女の思想に追いついていないビルマ人たちの意識の方がこれからのビルマの発展に向けては障害になるかもしれない。