エイミー・チェアの「最強国の条件」を読了。
やはり、最強国の条件は、寛容、つまりクレメンテ。
塩野七生女史もローマ人の物語で強調していたように、歴史上のあらゆる国家で、一時的にでも繁栄した国家は「寛容」という概念を国家のシステムに組み込んでいる。
NHKの塩野さんの百年メッセージでも、「格差は必ずある。大切なのは、その格差が流動的であること」。つまり階層が固定化しないことだ。出自等に関係なく、適材適所で、新しい人材が登用されるようなシステムを確立した国家がローマ帝国であると。
「最強国の条件」より、
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寛容さが国力に転換されるロジックは、次のようなものである。
「歴史上のいかなる時点においても、知能、体力、技術、知識、創造性、ネットワーク、商業の新手法、あるいは、技術上の発明などを豊富に有する人的資本が、ただ一つの地方、人種、宗教集団のうちに、偶然にも集まっているということは、ありえない。」
「したがって地球規模の競争において、ライバルに対して優位に立つには、世界中から優秀な人材、いわばベスト・アンド・ブライテストを、人種や宗教、出身背景に関係なく引き寄せ、存分に活躍させなくてはならない」
実際アケメネス朝ペルシャから、大モンゴル帝国、そしてイギリス帝国にいたるまで、歴史上の全ての「最強国」は、このロジックを実践してきている。そして、そのための手段として、これらの国家が採用してきたのが寛容さなのである。
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「ある国家の支配領域において、多様な人種的、宗教的、言語的集団や、それらに属する個人が共存し、それぞれが社会参加し、さらに誰もが社会的上昇を遂げられる場合には、その国家は寛容である」