*ジャンヌが聴いた「お告げ」「声」の内容を【処刑裁判記録(ジャンヌダルク処刑裁判の記録)】から抜き出し、それが霊的なものか、病的なものか、口から出まかせなのかなど考察を加えるべく、ご紹介させて頂いています。

 

1431年3月1日(木) 第5回審理(続き)

・聖女たちはいつも同じ姿で見掛け、頭上には素晴らしい冠が飾られていた。

・その声は美しく、優しく、慎ましいもので、フランス語で語られたものだ。

・以前、ドンレミ村にいた時、(妖精たちの)樹木の下で聖女たちはジャンヌに話しかけたか…話しかけた。泉のほとりで聖女たちの声をよく聴いたが、内容についてはもう覚えていない。しかしその中で特に、聖女たちは自分に向かい、国王の敵たちが望もうが望むまいが、ジャンヌの国王は王国内で王位を回復するであろうと話してくれた。

・ジャンヌは言う。…自分は聖ミシェルに会うと非常な歓喜を覚えた。聖ミシェルに会うときは『大罪』を免れているように感じた。また聖女カトリーヌおよびマルグリットは、すすんで交互に自分に「告解」をさせた。

 

1431年3月3日(土) 第6回審理

・ジャンヌダルクはこれまでに聖ミシェルは翼をもっていたとは述べたが、聖女カトリーヌ。マルグリットの肢体については明らかにしていないので、この点につき審問を行った。・・・(ジャンヌの答え)私の知っていることはすでに話した。ほかにお答えすることはありません。自分には聖ミシェル・並びに聖女たちがよく見えたから、これらが天国の聖者と聖女たちだということがよくわかるのです。

・聖ミシェルや聖ガブリエルに人間と同じ首があると信じているのか?・・・私はこの目で見たのです。神が存在しているのと同様に、彼等が聖者たちだということは確かなことだと信じます。

・トロアの町の門に到着したとき、修道士リシャールというものがいたのだが、ジャンヌにどんな応待をしたか?・・・トロアの町の市民たちが自分のところに修道士をよこしたのでしょうが、その市民たちは自分が神から遣わされた者かどうか疑っている、と言ってよこした。そのためリシャール修道士も自分の前に来るとき十字を切りながら近付いてきて、「聖水」を撒いた。

そこで自分は修道士に「恐れずに近付いてください。私は飛び去りは致しません」といった。(注・魔女でないことの証し)

・ジャンヌの党派の人々は、ジャンヌが神から遣わされたと本当に信じているのか?・・・あの人たちが信じているかどうかは知らないし、あの人たちの考えに任せます。しかし、もし信じていなくても、『私が神から遣わされてきた者』であることに変わりはありません。

~審理第一部は以上で終了した~

*続いて「審理第二部」が1431年3月10日から開始された。

 

1431年3月10日(土曜日」)第1回審理(審問官がピエールコーションからジャン・ド・ラ・フォンテーヌに交代)

・最後にコンピエーニュに来たときはどこから出発したか?・・・敵方に気づかれずに早朝に町入ったと思う。同じ日の夕刻頃に町から攻めて出て捕虜になった。

・出撃したのは「声」の命令によったものか?・・・復活祭の週に、ムランの障壁の上にいた時。「声」すなわち聖女カトリーヌおよびマルグリットから、自分はサンジャンの祝日が来る前に捕虜になるだろうと「お告げ」を受けていた。お告げは果たされなければならなかったことであり、自分は驚きはしなかったし、怨むことなくすべてを受け入れた。神が力を貸して下さるであろう思った。

・ムラン以後、「声」から捕虜になることを告げられたことはなかったか?・・・度々のことでほとんど毎日、そのお告げを受けた。私は声に向かい、捕虜になる場合は永く牢獄の苦しみを味あわないうちに死ねるよう依頼した。聖女たちはジャンヌにすべてを主の思し召しと考えて受け入れなければならないと命令した。

(審理第二部は次回へ続きます)