ずっと幅広を推してきたんですがいつのまにか幅46~48㎜みたいなのが当たり前のように出る時代になりました。

(自分は間違って無かったと信じたい)

 

とはいえ幅が広がったことの恩恵はどんなものがあるのでしょうか。

 

 

幅が広いということは

プレイヤー目線で言えば

・糸の上に乗せやすい

これ一択では?

スペックでいうなればトラピーズ有効幅が大きくできるってところでしょうか。

デメリットは

・乗せたくないところに乗る

当然のことですが、余計なところに当たるリスクは上がるわけで

ゴチャ系メインや3Aではそんなに幅いらないよねとなる訳です。

 

 

設計目線だと…

パワー上がるような

なんか安定するような

ブレやすくない?

etc…

なんかよくわからない推測が色々出てきます。

直径を大きくはオフスト機種など前例がありましたが幅は前例が無さ過ぎてだと思います。

 

パワーを出しやすいのは

 

重量を直径方向の端に持っていきたい、上の青い部分に重量を持っていきたいわけです。

となると青い部分が多いほどパワー面では有利ということで幅も広いほうが都合が良くなるわけです。

 

安定性は?

ここからが問題ですね

安定性は幅が広いほうが良いというのは本当でしょうか?

 

左右のヨーヨーの重心(青丸)ストリングの中心(赤丸)の位置関係を表してみました。

ここで気づいていただきたいのが

ヨーヨーは基本的に不安定ということです

ストリングの上にヨーヨーが乗るということは

綱渡りをしている人がフラフラしているのと同じ状態です。

では実際にどのような力が働くのか考えてみます。

ヨーヨーの傾きはじめはストリングを軸に始まるので上の図のような動き方になります。

左右の重心の幅をL、ベアリング半径をα、ヨーヨーの傾きをθします

そして傾いたときにヨーヨー全体のずれをdとしてみます。

するとこのずれ幅dは

αcosθとなります(計算してみて下さい。上手く図に入らなかったのでごめんなさい)

そこで

右に傾く力は

ヨーヨーの重さ

mに中心からの距離をかけるので

m(Lcosθ+d)

反対に左に傾く力は

m(Lcosθ‐d)

なので

ヨーヨーが傾き始めるとより傾こうと

m(Lcosθ+d)‐m(Lcosθ‐d)

=2md

=2mαcosθ

の力がより働こうとすることになります。

ところで

この計算は左右のヨーヨーをバラバラに考えた場合ですが

中心に全重量(重心)として考えた場合

全重量Mすると

傾きによるずれdは同じなので

傾く力は

Mdとなります。

M=2m

d=αcosθ

なので

2mαcosθ

同じ結果なので

傾こうとする力にヨーヨーの幅方向の違いは関係無いという結果になります。

むしろベアリング半径が影響している結果になります。

 

では何が変わるのか

綱渡りに話を戻します。

綱渡りの写真を見るとよく棒を持っているかと思います。

 

 

 

 

 

なぜ持っているかというと慣性モーメントが増えることで

傾きにくく、傾きはじめがゆっくりにできるからです。

ヨーヨーであれば

幅方向に重量配分を増やすことで

傾く方向への慣性モーメントが大きくなります。

結果として傾きがゆっくりになります。

傾く力が働いても変化が少なくなるため

安定しているように感じます。

また傾きの変化量が減らせることでジャイロ効果発生時の

エネルギー損失も減らせることからスリープロスも減るということで

回転力も上がったように感じるということです。

 

少々わかりにくい要素ですがこんな感じで重量配分を見てみると

幅も操作感、安定性の違いにも関わってくる重要な要素だとお分かりいただけるかと思います。