このまま書かないとまた何年後になりそうなので続きを

前回の内容を一言で表すと

慣性モーメントが大きい=良く回る

となります。

一般的にはモノメタル<バイメタル(インナーリム)<バイメタル(アウターリム)

ミッドシップリムと、プラ系に関してはまぁなんともってところです。

 

形状で比較すると

インバース<ストレート<ラウンド
 

ステップ形状になると
ストレート<インバース<ラウンド

となる傾向なんですがそれはまたの機会があればにします。

 

さてこの「良く回る」

この時の回転数はどうなるでしょうか。

 

慣性モーメントが大きくなると回りにくく止まりにくい性質になるということから

 

同じ力で投げれば

回転数は少なくなります

 

これで「良く回る≠高回転で回る」

ということが分かるんですけどまぁこれが中々伝わりません。

なんで回転数が少ないのにスリープ時間が長いの?って言われるわけです。
これは摩擦を含めたエネルギー損失の問題になってきますこの辺りはエッジについての所で少し触れていますが1分当たりの回転数×エッジの円周とベアリングの1回転当たり摩擦抵抗

等から回転数が多い方が損失が多くなる。という訳で良く回るようにするにはいかにゆっくり長く回せるかが基本になります。

 

さて話を戻して。

 

メンドクサイ計算が続きますが

いわゆる投げる時の運動方程式などを考えます。

単純にヨーヨーを下に降ろした時を考えます(投げた初速は無しとしてみます)

下に向かって落ちるヨーヨーとそれを支える糸

実際は回りながら落ちていくので落ちようとする力と、回転による糸の伸びでおこる速度変化が一致しなくなります。このずれが糸に加わる張力(テンション)として指に伝わります。

この差が大きいほど「引っ張られる感じがする=投げ出しが重く感じる」

理由になります。

 

ここからは計算してみましょう。

まずは力は質量m×加速度a

ヨーヨーに加わる重力はによる力は質量m×重力g

そしてストリングが支える力はテンションとしてTとしてみます

するともともとの質量による力と回転による加速運動を合わせることになるので

T=ma+mg
となります。

このaの値はヨーヨーの回転によるストリングスのほどける速さに影響されるのでそれを計算します。この動きを並進運動というのですが検索してもらえればより詳しい解説が見つかるかと思います。

 

ここでヨーヨーの回転の加速(角加速度α)とベアリングの半径r、慣性モーメントをIとすると

運動方程式として
Iα=Tr

となります

ここから

αとaは

rα=aの関係になるので

T=aI/r²

と慣性モーメントからもストリングスの張力が計算できました。

つまり慣性モーメントに比例してストリングスの張力が強くなるということです。

ちなみにここから

T=aI/r²=ma+mg

として

a= g/( I/mr²-1)

となるので

慣性モーメントが大きくなるほどゆっくり投げ出されることになります。

ここからも本来落ちる速さと実際の速度のズレが起きることが分かります。

 

さらにこの結果を

rα=aに入れて

rα=g/( I/mr²-1)

α=g/〔r( I/mr²-1)〕

慣性モーメントが大きくなるほど分母が大きくなるため

角加速度は慣性モーメントが大きいほど小さくなることから

慣性モーメントが大きくなるほど回転は加速しにくい

つまり最終的な回転はゆっくりになるため回転数は低くなります

 

ここに投げ出しの初速を加えると実際の投げ出しの力含めた計算ができますが

よりめんどくさいのと結果は同じなのでこれで勘弁してください。

 

余談ですが投げ出しで一番軽くなるのはスカッた時ですね。今の計算無視してストリングスのテンションほぼ0でそのまま飛んでいきますから。