テーマ:変身・女子高生


見慣れていたはずの景色が、心なしか鮮やかに見える。こんなにも変わるものなんだ。

今までは、なんだか怖くて避けていたけど、やってよかった。

なんでもっと早くしなかったんだろう……みんなはとっくにやっていたし、私もその時にすぐすれば良かった。

きっとみんなも驚くに違いない。夏休みの間お姉ちゃんに教えてもらったし、雑誌を見て勉強もした。

みんなが驚いた顔を想像するだけで、とてもドキドキする。

もしかしたら、変わり過ぎててみんな私だって気付かないかもしれない……。


真衣は学校につくと、急ぎ気味にクラスへと向かった。

途中すれ違う人は、皆真衣の方を見たかと思うとすぐに視線をずらしていく。

なんだかひそひそと話しているけど、なんだろう……?


廊下を一歩一歩進んでいく足取りが、心なしか軽く感じる。

みんな私だって気付いたらなんて言うだろうか……たぶん最初は声も出ないに違いない。

これで、今までの冴えない私とはおさらばなんだ。

真衣は少し深呼吸して、クラスに入った。自分の席へと歩いていく間も、やっぱりみんな、こっちを見たかと思うと視線をずらしていく。真衣が自分の席に座ると、さすがに皆気付き始めたのか、真衣の席の方をちらちらと見始めた。真衣を見るみんなの顔は、なんだか悲しそうな表情をしている。

なにかな……皆もしかして、まだ私だって気付いてない?

誰かほかの人が私の席に座ってると思ってるのかも。

みんなが気付かないほど、私うまくやれたんだ!

色々教えてくれたお姉ちゃんに感謝しないとな。

真衣は心が浮きあがるような、この感覚を楽しんでいた。

その間、クラスの皆は真衣の方を見たかと思うと、悲しい顔をして、ヒソヒソと話していた。いつもは自分の事を悪く言っているような気がして嫌だったこの空気も、自信に満ちた今の真衣には、心地よく感じられた。


真衣が、どうやって自分だということを皆に教えようか、でももう少しこの気持ちを味わっていたい、と悩んでいると、チャイムが鳴った。皆が静かに自分の席に着き始めると、すぐに先生がクラスに入ってきた。先生は真衣の方をちらと見ると、やはりすぐに悲しそうな顔をして、目を背けた。

先生も私だって気付いてないんだ……ちょっと悲しい気もするけど、やっぱりうれしいな。

でもそろそろ私だって言わないと、他人だと思われてクラスから追い出されちゃうかも。

十分楽しめたし、もういいかな。

真衣が、自分のことをみんなに明かそうとした時、悲しそうな顔をした先生が、私の席に向かって、泣きそうな声で言った。

「今朝、この部屋のクラスメイトが事故にあって、亡くなりました」