22573)SHORT STORYS カケガエノナイモノ⑦ | くわっちの推しと好きなことのブログ

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優馬は龍一の畑を手伝っていた。畑仕事なんか当然したことなどあるわけなく、初めは悪戦苦闘していたが、夕方には要領を覚えたのか龍一も目を細め笑顔になった。


1日の仕事を終え、


龍一)「風呂入るぞ、おらの背中流してくれるか?」

優馬)「はい!」いわゆる裸の付き合いをした。

龍一)「優馬、お前なかなか骨のあるやな」

優馬)「いえ、ただ楽しかったです。」

龍一)「優馬、しばらくここで働け。悪くはせん。」

優馬)「ここにいる間、これと言って決まってませんから」

龍一)「なら決まりだ。風呂でたら話したる俺のこと。」とかなり優馬の事を気にいったようだ。


しかし龍一の事は優馬は現実世界で咲姫と、阿弥が、探し当てた人物だとは当然知らなかった。



現実世界…


阿弥が見つけた記事は30年前の少年の失踪事件のものだった。


名前は相澤龍一当時10歳。家族は殺人事件に巻き込まれ、犯人から逃げたあと失踪。黒い穴に落ちたと通報されたが穴はなく、警察や消防で捜索したが見つからなかったとその新聞には書いてあった。


咲姫)「とりあえず修一のとこいこ。あっちもなんか見つけたらしいから。」とタクシーで急いで杏実のとこへ向かった。



迷山村…


龍一家で、夕食を頂く優馬。

龍一)「優馬、俺はここに来て30年になる。」

優馬)「あっちには帰らないのですか?」

龍一)「俺の家族はここにいる。だから帰らないよ。向こうにはもういないんだ家族。」

優馬)「どういう事ですか?」

龍一)「死んだんだ。いや殺されたんだ。俺は逃げた。逃げてあの穴に落ちた。」

優馬は言葉を失った。


龍一)「だけどな、ここにきてまた新たな家族ができたんだ。それも悪いことではない。でも…」

龍一)「お前は帰れ。帰る場所はある…まぁ、呑め。ここにいる間は俺の弟にしてやる」と、そういう横顔は本当に後悔のない幸せを物語ってるように見えた。