綾巴は痛みを堪えて黙っていたが
綾巴)「負けないんだから…」と立ち上がって再び歩きだした。
ゆっくりゆっくり前だけをしっかり見て歩いた。歩いてるうちに痛みは増していった。
応急処置をした足の包帯から血が滲み出し見た目も痛々しかった。
足を引きずりながら歩いていると綾巴の視界の先に一番会いたかった人が血相を変えてくるのが見えた。
阿弥)「綾巴~」綾巴の姿をみたら今にも泣きそうな感じだった。
綾巴)「阿弥ちゃん…なんか格好悪いね…」無理やり笑顔を取り繕うとしていた。
阿弥)「血が…」包帯から滲む血を見て
阿弥)「行ける?」
綾巴)「行く!だから止めないで」と再び歩き出した。その横を阿弥、優、涼花、玲麗が一緒に歩いた。
必死な表情を玲麗は見て、言葉が出なかった。しばらく一緒に歩いていて玲麗は今の自分自身の状態を考えていた。
綾巴は35キロまでの1キロとケガをしてからの1キロいや100mがスゴく長く感じた。
痛みが増して苦痛の表情を時折浮かべた。
残り5キロになり痛み止めの注射を打った。
あんだけキライな注射もガマンして受けていた姿に玲奈は涙を浮かべた。
玲麗と涼花は一旦ゴールに戻った。綾巴のそばに言ってから黙ったままの玲麗を見て
涼花)「玲麗?どうした?」
玲麗)「うん…なんで…あそこまでするんだろう?」
涼花)「綾巴の想いだよ!」
玲麗)「想い…」
涼花)「大切なものへの想いかな?」
玲麗はその想いの重さをその時はわからずにいた。
綾巴は残り3キロまできた。いつの間にか沿道からファンだけじゃなく通りすがりの人達からも温かい声援をもらっていた。しかし足も限界に近づいきて、汗も冷や汗となってきていた。
阿弥)「あともう少しだよ!ゴールしたら歌ってよ!」
綾巴はただ頭をコクンと縦に振るだけだった。
意識が朦朧とする中、綾巴の眼にはしっかりゴールが見えていた。
そして涼花と玲麗のゴールテープが見え、ようやく綾巴に笑みが見えた。
綾巴)「着いた…新センター、バトルタッチ!」とそのまま気を失った。
その姿を見て玲麗は初めて人前で大泣きした。改めてこのグループで頑張りたいと思った。
阿弥)「綾巴の歌、お預けですね!病院、私も着いていきますね!」阿弥も玲奈も涙がでてるのに笑顔になっていた。
しかし次の日想いもよらない事が起きようとしていた。