こんにちわアッチパパです。

 

 

 

 

 今日は、ちょっと昔話をしようと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 あれは、もう20年ほど前。

 

 

 

 

 20代の前半だった世間知らずの青年と、20代後半に差し掛かった不器用な女性の話です。

 

 

 

 

 二人は同じ『演劇』という夢を持って、事務所に所属し、そこで日々演技の鍛錬を積んでおりました。

 

 

 

 

 芸事(芸能界も含まれます)の世界は、先に入った方が先輩。事務所に半年早く入った青年は、7歳年上の後輩新人女優が、気になりました。

 

 

 

 

 最初は、なんて不思議ちゃんなのかと思いました。芝居であろうと、恋愛シーンが演じられないのです。

 

 

 

 

 『愛のエチュード』と題された、プリント1枚にしかならないごく短い練習用台本があります。

 

 

 

 

 最後は、思いあう二人が抱擁をし、終了するというもの。

 

 

 

 

 内容の無いのが特徴で、どのようなアレンジを利かす事も出来、コメディにも、シリアスにも、そのままラブシーンにもなるという、まさに練習用の台本です。

 

 

 

 

 不思議な新人女優は、演技は出来ても、最後の抱擁が出来ないという不思議な子でした。

 

 

 

 

 どうしても、どんなシュチュエーションで演じても、最後は抱擁で締めます。それがこの台本の唯一の制約。だから、抱擁が出来ないと、まあ、締まらないのです。

 

 

 

 

 当時世間知らずの青年を含め、男性陣は、誰が最初に”不思議子”のまともな抱擁を勝ち取るか!を競っていました。

 

 

 

 

 しかしながら、誰と組んで演じても、最後の抱擁が出来ない。どう出来ないのかというと、『腰が引けている』のです。

 

 

 

 

 面白いぐらいの違和感を感じられます。台詞では「好きだよ」と言っているにも関わらず、抱きしめてみると不思議子の腰は引け、上半身も強張っているのです。

 

 

 

 

 みんなむしろ面白がって問います。「何で腰引けんの?」と

 

 

 

 

 すると、不思議子は、自分は男性不審なのだというのです。

 

 

 

 

 詳しく聞くと、父親がろくでなしの遊び人で、結婚離婚を繰り返しているとのこと。

 

 

 

 

 不思議子にとって男とは、信用の出来ない、異質な生物だったようです。

 

 

 

 

 そしてその『愛のエチュード』で、不思議子のまともな抱擁を勝ち得たものは最後までいませんでした。

 

 

 

 

 しかし、プライベートでは、最終的に世間知らずな青年が彼女の信頼を勝ち得ます。

 

 

 

 

 でも、その理由を聞いて、青年は笑ってしまいます。不思議子曰く、

 

 

 

 

「佐藤さんは、男性っていう気がしないの」

 

 

 

 

 果たしてこれは名誉なことなのか…?

 

 

 

 

 しかし青年は自分が、かなり中性に近い性を持っている事を自覚しているので、嫌な気は実はしていないのでした。

 

 

 

 

 そうこうしているうちに、定期発表会と呼ばれる新人俳優のお披露目舞台がもようされる事となりました。

 

 

 

 

 青年はその時の舞台には裏方で(音響オペレータ)参加していました。役者もやりますが、スタッフも皆自分達が適した事を行います。

 

 

 

 

 青年は、そこで不思議子の天性を発見しました。

 

 

 

 

 不思議子の役は、子どもを育て、見守り続ける母親役。

 

 

 

 

 子ども役をやっているのは、不思議子のさらに後輩として入ってきた新人君。でも青年です。

 

 

 

 

 しかし、不思議子は、この新人君に本当に母親のように接します。

 

 

 

 

 後輩だから面倒を見なければならない。という思いもあったでしょう。新人君は初舞台で右も左も分らず、頼れるのは母親役の不思議子だけという構図も、彼女に母親たらしめたのかもしれません。

 

 

 

 

 不思議子は、舞台の上だけでなく、稽古場にいる時から常に、新人君の”母親”でした。

 

 

 

 

 その様子は、スタッフとして稽古を見ている青年にも、ほほえましい。慈愛溢れるものでした。

 

 

 

 

 青年は、その慈愛に溢れた、まるで、聖母のような不思議子に、見惚れていました。

 

 

 

 

 

 

 

 後に、その不思議子は、自身が自閉症スペクトラムだと知ります。

 

 

 

 

 物心ついた頃には母親が存在せず、祖母に毎日虐げられながら成長した彼女は、「自分がどうしたらいい母親になれるのか分らない」と、嘆くようになります。

 

 

 

 

 母親を知らず、他人の存在が自身の中に希薄で、自分が情報過多の世界にいるために、他人を慮る事が苦手な彼女は、世間一般の”いい母親”が分らないのです。

 

 

 

 

 いい母親なんて、ないよ。

 

 

 

 

 そして、君は世界一の、母親だよ。

 

 

 

 

 何も思い悩むことなんてないのに。ただ、目の前の子ども達を愛するだけで、それだけでいいのに。

 

 

 

 

 不思議子はギフテッドだと、青年は思っています。

 

 

 

 

 その能力は、聖母。

 

 

 

 

 あんなにも清らかで、全力で、力強く、暖かい光を纏っている。あんなすばらしい母親を、青年は他に知りません。

 

 

 

 

 ギフテッドの才能を、開花させたい。伸ばしてあげたい。

 

 

 

 

 そんな事を思って、青年も、おっさんになりましたとさ。

 

 

 

 

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 今日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

 

 

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