いつも傷つけてごめん。

 

 いつも怒鳴ってごめんね。

 

 自分で二人を傷つけないようにと言い聞かせているのだけれど、本当は一番傷つけているのはパパだね。

 

 パパは君たち二人をずっと支援するつもりでいるのに、二人だけでなく、君達と同じような発達障害の要素を持つ子たちの支援をするつもりなのに、誰よりも傷つけている。

 

 こないだ、またしーちゃんを泣かしてしまった。タイが製作しなくてはいけない学校への提出物が出来ていない事に、パパが怒って、怒鳴ったから。

 PCでの作業中、パパが部屋に入ると慌ててブラウザを隠して作業画面に切り替える。

 隠そうとすること自体がやましい事を、サボっている事を証明していると思って、そう怒鳴った。本当は、

「やましい事をしていないのであれば、堂々としていればいいんだよ」と伝えたかっただけなんだ。

 

 しーちゃんはタイを庇って、タイはただヒーリング音楽のサイトを開いて音楽を聞きながら作業していただけだと言ったね。多分それは本当。

 

 タイは今、沢山怒るパパが怖くて、委縮してしまっている。自分に自信をなくして、何がパパの地雷になるかわからなくて、自分がする事全てを「これでいいのかな?」と怯えながらしている。

 ごめんね。パパはそういう理不尽な怖さで怯えさせる事が一番嫌いだから、君たちのような子どもが笑っていられる、支援できる施設を造りたいと思ったのに。

 

 きっとこれはパパの甘えだね。家族だから、何をいってもいいと思っているのはパパ。

 パパはパパである責任として、タイやチイをまっとうな大人に育てなければならない。

 

“育てなきゃならない”という思いが、きっと一番危ない。

 

 しーちゃんを傷つけたチャンバァも、この“育てなきゃならない”という大人の一方通行の思いが強すぎて、虐待に発展してしまった。「何でこんな事も出来ない?」「何故分らない?」と、発達障害の負の側面だけを見て、「この子が将来、ちゃんとした大人になるように躾けなきゃ」と思う事から、虐待が始まる。

 

 パパが怒鳴った時の、タイの怯えた顔。パパは一生忘れません。

愛している者を怯えさせて、何が親か!

 パパは父親だから、父性で息子を育てなければならないから、厳しさも大切と思っている。でも。それはきっと間違い。

 本当の父性がわからない。パパもまだまだ未熟だね。

 

 タイを、自分の子どもの頃に重ねているしーちゃんは、タイが怒鳴られて、自分が怒鳴られているのと同じ思いになるんだと思う。それどころか、自分よりも大切なタイを怒鳴られるのだから、もっと辛いだろう。

 

 タイとしーちゃんを傷つけているのは俺。

 タイとしーちゃんを傷つけるな。

 

 ごめんね。

 

 

 

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