今日(2006/3/02)、ひさびさに昔住んでいたことのある場所のガジュマルに会いに行った。
会いに行った。というより、ある場所に用事があり車でそのガジュマルがある場所を通りかかったので声をかけてみたのだ。
そのガジュマルは崖の上の方にあり、道路の真下からは見えにくい。
車の速度を緩めながら挨拶するのだが、以前は大きく枝が伸びて、存在感があった。最近、通りかかったとき、ガジュマルを見落として『え?あれ?』と、思ったものの、すでに通り過ぎてしまっていたので引き返す事が出来なかった。
今日は、改めて速度を落とし、挨拶しようと近くまで行ったが、昔のような元気がない姿になっていた。
大きな枝が全部切り落とされ、葉も無くなって見るも無惨な姿だった。
あ~。だから、この間は見落としたんだ。。。
そう、思いながら、このガジュマルと話をした昔のことを思い出していた。
もう、12年(14年)程前のことになる。
沖縄の南部にある親戚の家で仏壇係として独りで住んでいた時だった。
夜、軽い金縛りに会い、目が覚めた。
あれ?なんだろう?と、思うと、
『僕は、北谷のガジュマルだけどね。』
と、ガジュマルが語りかけて来た。
それは、声ではなく、テレパシーのような感じで意識が飛んで来るような感覚だった。
ガジュマルとは沖縄に沢山ある『木』なのだが、きじむな~という妖怪が住んでいる木として有名である。
北谷?ガジュマル?
と、思いながら聞いていると、目の前にある風景が広がった。
丘の上から下を眺めているような景色だ。
緑が沢山あり、下の方に下がって行くと海が見える。
のどかな美しい風景だ。
その風景がビデオの早送りのようにスピードをあげて変わっていった。
どんどん緑が無くなって行き、家が建ち、ぽつんぽつんと明かりが灯るようになると海がだんだんと遠くなっていった。
浜が埋め立てられ、土地が広くなって行ったようだ。
コンクリートで出来た家が建ち並ぶようになり、コンクリート製の道が出来た。
あちこちに悠々と生えていたガジュマル達は切り倒され、根はコンクリートの下に残されたまま、コンクリートで覆われてしまった。
北谷のガジュマル?
私は、北谷町というと、海の側の町しか知らない。
こんな、丘の上の方まで北谷町なの?と、疑いながら見ていた。
ガジュマルは、
『僕たちガジュマルは、切り倒され埋められているけれど、根は繋がっている。そのことを伝えたくて。。』
と、言った。
その時、私は、ただ、その事を伝えたいというガジュマルの言った事を素直に受け取った。
『根は、繋がっているのね。ただ、その事を誰かに知っていてほしかったのね。』と。
それから、何ヶ月も経ち、仕事の関係で引っ越す事にした。
南部に住んでいると中部にある仕事場まで朝のラッシュ時に2時間かけて出勤することになる。
それよりは、仕事場の近くに引っ越そうと考えた。
犬が飼える家を探した。
1人なのでアパートにしたかったが、ペットと一緒じゃ~アパートは無理だったので一軒家を借りる事にした。
一軒だけ安くて広い家があったので見に行くことにした。
その家は、小高い場所にあり、その家までの道はくねくねと曲がりくねった細い道路を上がって行った。
その家に案内されながら着き、車から降りると目の前には凄い景色があった。
なんとも奇麗な景色。
町中が見わたせられる程小高い場所にある。
海がきれいに見えた。
私は呆然と立ち尽くした。
見た事のある風景だった。
その風景は、あの夜、ガジュマルが見せた風景と同じだったのだ。
うわ~~~~~~~っ!!と、声をあげながら後ろを振り返った。
道路を隔てた崖側の上にあのガジュマルが大きな枝を広げていた。
『ああ。あなただったのね。』
もちろん、私は、その家に住む事に決め、2年程の間そのガジュマルと風景と供に暮らした。
その場所は、北谷町のじゃ~がる。
最近になって、やっと分かったことがある。
私は言葉のまま素直に聞いていただけだったが、その言葉の意味は違う所にあった。
『根は繋がっている。』
その根は、根っこのことじゃない。
私たちの意識というか魂というか、核のところのことである。
私たちは一つの存在で私たちはすべての場所に同時に存在しているということ。
ある種族はその種族同士で潜在意識は繋がっているというが、
(人は人、犬は犬、猫は猫、ガジュマルはガジュマル。。。)
自然界は大きな輪になっている。
草を食べる者、肉を食べる物、糞をし、土が肥え、芽が出、花が咲き、食物は実り、それを食べる者。。。
人間も然り、自然の恵みで生かされている。
すべての動食物は自然のサイクルで生かされている。
私たちは皆、根っこで繋がっているのだ。
一つの種族だけでなく、すべての生きとして生きるもの。
すべての物までも根っこは一緒なのだ。
ガジュマルが伝えようとしたのは、ガジュマルの事ではなく、私たちの事だった。
今日、久しぶりに会ったガジュマル。
『ありがとう。』