シャントって何? 第3章 手術部分別のシャントの特徴5  ちょっとしたジレンマ | 日々是シャント 〜群馬のシャント専門医のブログ〜

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透析用バスキュラーアクセス(いわゆるシャント)専門医が日々の透析からシャント、アクセスそして腎移植までの相談内容を分かりやすく?詳しく紹介していくブログです。

前回は、シャント吻合部を手の先、つまり手首の近くで作れば、広範囲に使用(穿刺)できるという内容でした。

シャント吻合部を作ると、血流はそこからカラダの中心、心臓に向かって流れていくので、前腕、肘、上腕と発達してくる静脈血管をまんべんなく使用できるわけです。

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唐突ですね。これは木です。

私は患者様に説明するときに、人間の血管を木に例えます。



木は、幹に近いほど枝が太く、先の方にいくほど枝が細くなっていきますよね。

まぁ当たり前ではあります。


人間も、カラダの幹、つまり心臓から出入りしている血管が一番太く、手や足の先に行くに従って細くなっていきます。



シャントは高速道路と説明しました。

つまり、車線が多く交通量の多い道路同士を、広いインターチェンジでつなげばとても大きな高速道路になるわけです。

太い血管同士を大きくつなぎ合わせればシャントが大きくなると言う訳です。




血管をつなぎ合わせることだけを考えれば、肘の血管のほうが手首近くの血管より太く、しっかりしているといえます

しかし、できるだけカラダの外側、手先近くでつないだ方が広範囲に使用できる、ここにジレンマがあります。



肘で作れば確実そうだけれど、手首で作ってもし成功すればその後の経過が良い・・・

手術前に手術部位の決断に悩むことはよくあります。そんなとき、私は、以上の内容を説明して、患者様と一緒に相談して決めるようにしています。