原因となっているシャントを閉鎖する手術が必要となることが多くなると説明しました。
ただ縫縮術も適応を考えれば十分に効果がある手術です。
シャント閉鎖の手術は、適応があっていれば
症状の劇的な改善を
期待できます。
シャント閉鎖手術と縫縮については別の機会にお話させていただくとして、
閉鎖のためには新たなアクセスが必要になります。
ここでは新たなアクセス作成についてお話してきましょう。
可能であれば新たなアクセスを作成して、使用可能となってから問題のシャントを閉鎖します。
一般的な方法としては
①反対の上肢に(小さめの)内シャントを作成する
②反対(同側)上肢に動脈表在化を作成する
③その他
の順に考えます。
①についてですが、動脈硬化を合併していることが多いため
次なるアクセスも注意しないと盗血症状の原因となってしまう
危険性があります!
このため、反対上肢の動脈血流をアレンテストなどで十分に評価して、シャント作成可能であると判断できた場合のみに作成を行います。
ただし、シャント作成可能な静脈が必要であることは言うまでもありません。
②は盗血症状を新たに引き起こしにくい、比較的安全で確実な方法であると言えます。
この方法を選択する場合、最も重要な点は
返血可能な経路(静脈)があるかどうか
です。
ただあるだけ、ではなく、どのくらいの期間使用可能か、さし具合は良さそうか、などいろいろ検討します。
もう一点注意しないといけない事として、
表在化動脈の使用は、それほど長くは使用できない
ことです。
透析学会のガイドラインでは、表在化動脈使用可能期間として、
上腕動脈の 3年の開存率(使用率)は 76.5~92.6%(静脈荒廃で使用不可となったもの含む)
とまとめております。これを長いととるか短いととるかは難しいところですが、
年齢が若い方
への適用は十分に検討すべきでしょう。
よく評価して十分に検討し、いい手術をすれば盗血症候群の次なるアクセスとしては満足できる方法と考えています。
気をつける点として、
表在化作成後すぐには使用できない(3週間を目安)
シャントが流れている上肢への作成は難しい
とにもかくにも、返血静脈の確保が至上命題
であるという事です。
余談ですが、
足の静脈、というと患者様はびっくりされることも多いですが、意外といいんですよ!
私がシャントの診察をするときは、シャツを脱いでもらうほか、靴下も脱いでもらっています。
問題がなくても、反対の上肢の状態も必ず確認してます。
この患者様は、もう何年も下肢の静脈を使用しています。

たとえこのように長い事使用しなくても、たとえばいつも刺しているところが腫れたときなど、数回使用できるところを確保しておくだけでも十分安心できます。
もし患者様がこのブログをご覧になっていたら、一度自分の足の静脈をみてみてもいいかもしれませんね。