よく水商売をすると堅気の世界には戻れないと言われます。
私は自ら銀座でアルバイトをして、それは一流を知らない人の妄想なのだと学びました。
銀座でお店を構えるママさん達は、もちろんイメージ通りのステレオタイプのママさんも多いですが、それより多いのが、社長秘書のようなタイプです。
銀座の常連さんは、遊びに来るよりも、仕事の延長の方が多いのです。
世に出る情報より前に、銀座のお店の中で商談が進むことも多いのです。
もちろんただ楽しく飲む団体様も多いですが、皆さん羽目を外しません。
なぜなら、ママさんがとても厳しいのです。
お店で一番偉いのはお客様ではありません。
お店の価値を下げるようなお客様は、ママさんが出入り禁止にします。
全ては『銀座』というブランドを守るため、『銀座の店で安心して飲む』というブランドイメージをお客様に提供するため。
お客様にも厳しいですが、もちろんアルバイトの女の子にも大変厳しかったです。
私が大変お世話になったお店の女の子は、昼間は大企業の受付や秘書業務をしている身元の綺麗な女性ばかり。
そんな女の子が、
お店の入口で、
お客様がいらっしゃるまで、
ずっと笑顔を作って、
綺麗な姿勢で立ちながら待っているのです。
そんな日は、
誰が見ていなくても、
足が疲れても、
ママのお小言やお説教がどんなに長くても、
理不尽でも、
お店の女の子は笑顔で
「はい♪」「そうですね♪」と明るいのです。
お客様はドアを開けたら女の子が整列して笑顔で迎えてくれるのでいつも驚かれます。
そしてママさんは女の子が春夏秋冬毎日ずっと立って待っているということを話のネタにして、お客様の無意識下に「次は早くお店に行こう」とすりこむのです(笑)
ママと女の子数人で20人以上の団体様をおもてなしする時でさえ、
カウンターの中で洗い物をしながらも笑顔でお客様に気を配り、
大量のお酒を作りながらお客様のお話に耳を傾けながら全てのテーブルの状態を把握するなど、
本当に良く仕事のできるパーフェクトな女性ばかりでした。
毎日ママさんにダメ出しされるのです。
それこそ、重箱の隅をつつくような厳しさで。
ママさんは見た目は綺麗で上品な笑顔の絶えない大和撫子なのに、毒舌だしお客様はイジルし3の線でした。
お店という劇場の中で、毎日繰り広げられる事はお芝居と同じ、全てはナマ物なので、いつもと同じような接客だと怒られます。
お客様の前でも怒られます。
女の子は「注意していただいてありがとうございます♪」
とニッコリ笑って、何事もなく接客を続けます。
今時、こんなことを嫌な顔せずにできる若くて綺麗な女の子がいますか?!
銀座には今もいるんですよ!
当たり前です!!
だから高くても繁盛するのです。
お客様に個人的に近づいたり、お色気を出した女の子は速攻首にされます。
女の子の仕事は、
いかにそのお店を盛り上げるか、
いかにママさんが接客をやりやすくサポートするか、
それに尽きるのです。
あくまでも求められる立ち位置は良質な秘書であり、綺麗でも目立ち過ぎずお客様を立て、さらにママを最上級に立てることを求められました。
それが最上級の『ファンタジー』
あの頃私は、昼間はイベントや映像やモデルの仕事をしていたため、本当に毎夜毎夜ママのお小言が辛くて仕方がなかったですが、あの時の経験は宝だと今になって感じます。
それこそ日本を動かす方々の話を生で聞けて、その方々に気に入られる立ち居振舞いを肌で学んでいたのですから。
ママさんはまだ現役で銀座の一等地でお店をされています。
同じB型だからでしょうか、旦那様の接客にとてもよく似ています。
だからこそ旦那様のお店に必要な事が見えるのです。
旦那様はどうしても自分よりも若い人を前に出そうとするのですが、人には向き不向きがあります。
お店が個性的に唯一無二に輝くには、絶対的に求心力のあるカリスマが存在しなくてはいけないのです。
Facebookで毒舌で好き放題言っているカリスマ講師の方々を見てください。
最初濃すぎて『ウザッ』て思われても、だんだん毎日投稿を見ないと物足りなくなるでしょう?
カリスマ講師の方々の築く『ファンタジー』は素晴らしいと感じます。
そしてそんなカリスマに集まる人たちは、そのエネルギーが欲しいんです。
死ぬとわかっていても、虫は灯りに群がるでしょう?
灯りに直接触れて死ぬ虫もいるかもしれない。
でも灯りの周りにはたくさんの虫が集まっていて、たくさんの虫がパートナーに出会っているのです。
英雄がゲテモノを好むのも、他とは違う魅力を求めるからかもしれません。
正直、本当に仕事ができたりお金を稼いでいる人は、皆さま普通ではありません。
むしろ変態や変人です。
そんな狂人たちが世界を動かしているのです。
狂人だからこそやり抜けるのです。
仮面をかぶったイイコちゃんには、同じように仮面をかぶったイイコちゃんが集まります。
でも私は、狂人たちの中で生きていきたい。
なので、他人様からどれだけ非常識とディスられても、私は私が培ったアイデンティティーに従って生きていきます。
だってリアル社会でも、ちゃんと適応できますもの。
『お受験色の濃い幼稚園』にいても、『下町の遊び方の荒い公園』にいても、そこで求められる『ファンタジー』に染まることができるから。
これは私の才能であり、もっとも私が全面に出した方がいいところ。
毒を吐いてもお品良く爽やかでいられる、そんな立ち位置から離れるわけないじゃない。
誰にも真似できない、唯一無二の私の個性です。
人の顔色を見て生きることの無意味さ、
人を自分の思う通りに変えようとすることの無意味さ、
今の世の中は昔タブーとされていたことが急速に解禁されています。
私は先見の明のある風に愛された星の元に生まれているから、誰に何と言われようが譲れません。
私が見た未来は必ずそうなるから。
それがパラダイムシフトと言うならば、私はそういう運命の元に生まれたということ。

