糖尿病からの生還…最終です


🔵毎日のことだから、マイペースでいこう

水をつくる
{家では、湯冷まし、コップに常時3杯用意}
横浜の水は、比較的おいしい。カルキの匂いが少ない。ほとんど気がつかないし、舌もそれを捉えない。日常的には、浄水器も使わず、蛇口から水を
出してそのまま飲む。
飲料水としては、やかんに水を入れて溜め置きにしておき、それをポットで湯にしておく。大きなコップに湯を注ぎ、塩5グラムを投入。そのまま、

湯冷ましにしておく。コップは2〜3個の場合

(家で仕事をしている時は、並べて置いておく)

一個飲むと、忘れずに次の湯冷ましを、というぐあいである。

そのうち、1 個には白と黒の薬一日分(3回用)を入れ、3回に分けて、その都度かきまぜて飲む。

その他、食事の時はお茶、コーヒー、紅茶など、努めて水分をとる。コーヒー、紅茶には必ずバターを落として飲む。紅茶は、レモンをたっぷり絞って

飲むこともある。

<外では、小さな水筒を持ち歩く>

普通のコップ3杯分ぐらい。外食の際、その場で補給してもらう。

行きつけのレストランでは、常に煎茶、氷の入ったウーロン茶、氷のボールが黙っていても出てくるようになっている。ガブ飲みでなく、おいしいお酒をたしなむように味わってゆっくり飲む。もちろん、落とし塩2〜3グラムを習慣化する。

外泊の場合、備えつけの湯沸かしがあるときは

夜のうちに翌朝の目覚まし用の湯冷ましを作っておく。熱いうちに塩を入れておく。

とにかく「水は塩水」で飲むのが定番である。

しかし、三度に一度ぐらいは塩を入れずに、お茶、コーヒー、紅茶のそのままの味を楽しむ。

塩えらびはお好みで

食塩は一キロ袋を購入しておく。

普通の食卓塩(塩化ナトリウム九十九%以上)は一キロで約百円である。

海の塩は、この約三倍である。高いといっても週刊誌、文庫本一冊分の値段である。それで命が守られるならこんな安あがりの薬はない。

人によって違うが、私のベスト3は次の通りである。

【1位】伯方の塩(愛媛県伯方島産)

「ハカタ?ああ、福岡の博多ですね」

「いいえ、伯爵の"伯"に、何々かたの"方"。松山と柳井の間、瀬戸内海にある島の産です」

全体に、舌ざわりがよく、口中にゆっくりと広がっていく感じが、味わい

深い。サラダにかけた場合、レモンとの混合がさらにうま味を倍加する。

ややふりかけすぎて、「塩っからい!!」と限度を越えてしまうことがあるので注意する。


【2位】天塩(兵庫県赤穂産)

一キロ三百円というところ。伯方の塩に比べると、ややしっとりした感じ。

煮物やステーキのベースにするとうまい。


【3位】瀬戸の島塩〔丸塩〕(香川県小豆島産)

これは、東京方面ではちょっと手に入りにくい。伯方、天塩が全国区なら、

これは瀬戸内区だろうか。見つけた時に、すかさず求めるようにしている。

にがりが口中に残る感じがする。つまり、塩としての自己主張が強い。

伯方も天塩も、他のものと混ざりあった時、うまさが現出されるが、これは「湯冷ましの中の塩」という形がもっともふさわしい。

これらの塩は、単独で使っている。

混ぜ合わせて使ってみたが、お互いが引き立て合わずに、分離してしまう感じで

味わいが損なわれることがわかったので、その時々の気分で使い分けをしている。

とにかく、塩についていろいろ調べてみた。その奥の深さは、人間、いや、生物すべての元であることを今さらながらに知る。

塩に関する科学実験法のあれこれも頭にうかび、これも極めたいと思っている。

日常行動的には、例のフィルムケース一つを使いきるようにしている。塩水六に対し、食事四の割合である。

旅行の際は、二十五グラム✖️日数分を大きめの缶ケースに入れて行く。

毎日、フィルムケースに詰め替え作業をする。

これを常に、上着のボケットに入れておく。

そうでないと、ついつい携帯を忘れ、食卓の塩化ナトリウム塩のお世話になるからだ。

実際は、三十グラム以上入れておく。

他の人との食事の際、必ず「ちょっとなめさせて下さい」とか「私のサラダにもかけて下さい」とか言われ、自分の絶対量が不足するからだ。


塩入フィルムケースの存在が、そこにあるだけで「生きている」実感が持てる。

生活そのものになっていることに気がつく。外出していて、財布がない時より、フィルムケースがないことの方がショックが大きいのに気づき、苦笑することがしばしばである。

食事は塩をベースに楽しく食べる

[定番①]サラダ・パン・コーヒー・紅茶

毎食、葉菜と青菜類が食事の半分をしめる。家にいる時は、必ず実行している、様々な葉菜・青菜類があるが、現在では一つのパターンが定着している。

レタス、キュウリ、ピーマン、トマト、ナチュラルチーズに、塩、レモンをかける。

大きめのボールにレタスが三分の一強で、あとはその他の野菜。これに時々、

スモークサーモン、コンピーフ、ローストハム、ベーコン、ソーセージが参加する。

大体、ナマのままでとるが、温野菜にするときもある。ゆっくり食べていられない時に、ザッと湯に通すか、ちょっと、紅花油で炒めるかする。

ベーコン類チーズ類は横浜元町の輸入食品専門店、NAKAYAで求める。添加物の入っていないヨーロッパ製品が手に入る。

パン類は例のフランス風"シャッポ"、サツマイモの粉が使用されていないフランスパンを月二回の割合で、鎌倉山か葉山のボンジュールに買いに行く。

冷凍庫に入れて、保存をしておけるので助かる。

この場合飲み物はコーヒー、紅茶。落としバターと甘味はPAL.SWEET(味の素社)一粒。(味がいいし、煮物などにも使えるので便利)

コーヒーは豆を買ってきて、ミルで挽いて粉にして使う。または缶入りの粉(好きなのはキリマンジャロ)をアメリカン風に薄めて飲む。

紅茶はずっと昔からNAKAYAのブレンド紅茶(これは安くてうまい)。カップを熱く

して百度の湯を注ぐ。カップに、バター10グラムを先に入れて紅茶を注ぐと、バターが素早く溶けて全体にいきわたり、まろやかな味になる。ポトリとレ

ン汁。これで、完全なる紅茶ができあがる。

ダージリン以上の一1,500円相当の値打ちのものである。一〇〇パーセントの幸せを感じる時だ。


[定番②]お豆腐・漬けもの・うどん・魚

日本人だと、どうしても和食ものが欲しいものだ。サラダも和風で登場である。

梅干、野沢菜、広島菜漬、きゅうりの塩漬、ぬか漬など。湯豆腐、冷奴。

それに、お魚貝類は、何でも0Kだからうれしい。

梅干は、父の故郷小田原産の塩だけしか使っていないもの。これも昔から食べている。子どもの頃、梅干はおやつであった。クスリといえば、やはり

小田原産の「ういろう」(黄色い小さな丸薬)がすべて。梅干は大好きだから何個食べても平気。

野沢菜などの菜ものは、野生学園のある富士吉田市の小野建設さんと、埼玉県行田市の大井保育園園長さんから、定期的に送っていただいているので、塩漬、ぬか漬にして保存し、いつでも食べられる。

キュウリは、和・洋サラダの主役、命綱である。

大豆そのものを使ったものは許可されていないが、お豆腐は0K。大好きなので一丁や二丁はペロッと食べてしまう。市販されている削りぶし(おかか)は、添加物があるので使わない。家でかつおぶしを削って、それをふりかける。醤油は先生おすすめの小豆島名産タケサン生搾醬油。

私のお気に入りは、山口県柳井のしぼり醤油。

魚は、家から歩いて一分の京急ストアで。

私の町は金沢八景にある柴崎漁港(東京湾でとれる魚貝類が、毎日水揚げされる)に近いので、新鮮なものが多い。三浦半島の三崎、相模湾の佐島あたりと近海ものが安く手に入るのでありがたい。


みそ汁は、お豆腐、ワカメ類が主流。みそは越後の田舎みそを使っている。

夜中、仕事の合間にみそ汁をあたためて飲むことも多い。間食用として最適。

肉類も、何でも食べて良いのでうれしい。ステーキ、しゃぶしゃぶ、焼肉、

ナマのままなど、好き勝手に食べられる。ジュウジュウしたステーキを、バターたっぷり、塩十分で食べる時「命のあかし」を感じてしまう。しかし、内蔵を食べるのはピタリと止めている。

そうめんは、もっぱら揖保乃系オンリー。冷やしたり、にゅうめんにしたり、炒めたり、とコシが強いのでいろいろできるのがいい。

うどん(ほんの少量)は秋田の稲庭うどん(細い乾めん)と、香川県讃岐の乾めん(太め)、それに、スーパーに時々出ている、讃岐の生うどん。これらを釜揚げうどんにしたり、ザルうどん、煮込みうどんにして食べる。

煮込みの場合は、油揚げの刻みが主役。熱くして、フウフウぃって食べる。冷やしうどんの時は、青ネギをたっぷりいれておろし醬油で食べる。十年以上も漬けてあるという

タクアン(飛び上がるほど塩っからい)の信州のお寺さんものがあれば文句なし。

お茶は、一に埼玉県狭山茶。丸みのある味が口の中に広がる。茶こしで熱い茶を注ぐと、トロッとした感じで茶わんに落ちる。

これは新宿小田急デパートの近くにある、狭山茶専門店で買い求めている。

二に鹿児島のさつまみどり。薩摩焼の十四代沈寿官さんからいただいて以来、二十年間愛飲してい

る。最近、東京でも売っているお店が増えたので、手に入りやすい。

三は静岡のやぶきた茶である。いずれも、手頃な値段でおいしいので気に入っている。高くておいしいのは、あたりまえで珍しくもない。「安くておいしい」のが毎日つきあうお茶である。

特別な水でいれなくてもおいしいお茶こそ、「命の素」である。


おやつなら、昔えびせん、今ポンせんべいい

M先生に診ていただいた初めの頃は、もっぱら「かっぱえびせん」ばかり食べていた。

駅のキオスクで買うと量が少ない。

スーパーでは100円か108円で、倍の120g入りが買える。「青のり」「フレンチサラダ」も

あるが、純粋のかっぱえびせんが好きだった。

コーヒー、紅茶、お茶、水、すべてに合うところがお気に入りであった。

しかし、時の流れは恐ろしい。

砂糖や甘味料などが過剰に含有されるようになり、今風の糖分の入ったもの

になってしまった。

現在(平成四年一月)では、食べないよう指示されている。

かわりに今は、もっぱら「ポンせんべい」か「南部せんべい」を食べている。兵庫県朝来町のマルサ製菓の「ぽんせん」がいい。いい水、いい醤油で手焼だ。南部せんべいは、岩手県銘菓で、スーパーでも売っているので手に入れやすく好都合。バリッという感じは草加せんべいには及びもないが、

ロ中に広がるサッパリとした塩味、歯応えはなかなかのものである。その他、明治製菜のクラッカー(塩味だけのものがある)に、ナチュラルチーズを乗せて食べるのもよい。これは、そのまま一食分に変身することがある。

外食 定番外編

外食にも二つある。

事務所周辺でとる日常的な場合と、旅行などで東京以外へ出かけ、数日間以上過ごす場合とでは異なってくる。

【日常的な外食の場合】

1、まずお弁当持参

これは最もポピュラーであるが、毎回というわけにはいかない。内容は家で食べているものと変わらない。

2、調理する

会社へ行く途中、スーパー等に寄って材料を買い込む。トマト、キュウリ、レタスが中心のサラダを自分で作る。お豆腐、わかめの味噌汁など簡単なも

のも作る。魚はあまり使わない。バラ肉やこま切れ肉をバター、紅花油などで炒め、塩味たっぷりで味つけする。水はポットに沸かしておき、コーヒー、紅茶お茶ウーロンなどお好みで。


3、外食をする(A)

これは行きつけのお店に依頼しておいて、自分なりのメニューで楽しむ。

(みや本/寿司」ほとんど毎日「夜はここ」というくらい良く行く店。

高速飯倉インター入口のそばにある。和風サラダを作ってもらう。ダイコン、しそ、キュウリ、みょうが、しいたけといったものが主体。鯛のかしらの塩

焼き、お造り、冷たいウーロン茶と熱いお茶のチャンポン、湯豆腐、冷奴、鍋ものなど、お寿司屋さんにないものでも、いろいろ作ってくれるのであり

がたい。

(新北海園/北京料理】飯倉片町交差点のすぐそばで、いつでもお客でいっぱい。突然ではダメなので予約しておく。ここでは支配人にすべてお任せ。

私向きのお料理がコースで出てくる。

例えば、野菜を中心に魚、肉、小麦粉と塩と青ネギだけを焼いて作ったネギパイ。ぜんぜん胃にもたれないし、何日続いても平気という感じ。

他の人が一緒の場合は、一般的なメニューも加えてくれる。

支配人が「今日はこれまで、これ以上はダメ」と

オーダーストップを出すので、量についても安心。


4、外食をする(B)

散歩の帰りに寄るうどん・そばの店がある。京急ストアの並びの「辰味庵」である。開店前の一休みの時間、おやじさんとよもやま話をする。「お米をと

ぐのは腰、一回の水で往復ご百回とぐのがコッ」とか、「魚の見分け方」「包丁の使い方」「油の温度」などあれこれ教わる。

開店時間中には、お客として「うどん類」を作ってもらう。特製のおしんこ、付き出しがうれしい。

私の体を気使って河岸で求めてきたものを分けてくれる。

 日曜日や休みの日に突然行くお店がある。自宅近くの能見台駅そばにあるレストラン〈山水〉。

ここは、元米軍厚木基地でコックさんをしていたマスターと若夫婦のお店。ここもサラダがたっぷり。肉、魚貝類がおいしい。スープがとってもいい。

ちょっと足を伸ばすとJR磯子駅のそばに横浜プリンスホテルがある。

M先生から「天ぷらはいい」と許可が出てから、月に何回か出かけるようにしている。

金沢区の柴崎漁港から揚がる魚貝、それに三浦半島の野菜類、全てご近所ものなのがうれしい。

横浜とくれば中華街である。

五十年も前の子どもの頃から慣れ親しんだ町である。現在はすっかり観光地になってしまい、とても味を楽しむどころではない。どこもかしこも行列

である。それでも、昔ながらの店はある。本通りからはずれた「順海閣」「徳記」といったお店は混んでいても、必ず寄るようにしている。

山下公園近くでは「ホテルニューグランド」のティーラウンジがいい。かつては秘菓「レモンパイ」が大好きだったが、今は紅茶かコーヒーでムードを楽しむ。

その他、札幌・仙台・名古屋・京都・大阪・神戸・岡山・広島・福岡などで、その地その地のものを探したり、教えていただいたりしてリストにしている。

排便は無臭が最高である

以前はトイレにいる時間が長かった。もよおしてくるまでに間がある。それがまた楽しみでもある。ゆっくりとトイレで時間を過ごすことができるか

らだ。気張って、ガンバッテ、ウンウンいって排出、しばらく休んで、またひとふんばりということで十分や二十分は時間が過ぎてしまう。それが正常、それが普通だと思っていた。


ところが、そうではないことを知った。

腸の中に食べたもの、消化されたものが吸収されないで残っていればいる

ほど腐敗する。だから、臭いオナラが出る。便も当然、臭いにおいを残す。

便もオナラも臭いのが当り前と考えていた。

良いオナラや便は無臭であるのが健康なのだ、ということが毎日の排便の中で分かってきた。

良い養分となるものは体内に吸収され、残ったものは腐敗しないうちに体外に出すという要領がわかってきた。

M先生方式を始めた頃は、お腹がゴロゴロ鳴るたびに起きてトイレに行っていた。

現在は、朝一回が基本。

夜中に水を飲んで横になると、お腹の中で運動会、雷様ゴーロゴロが始まる。その鳴り方を聞きながら気持ちよく眠りの続きに入る。朝、目が覚める

とまず水を一杯欲む。そして、ゆっくリトイレに入る。腰掛式のトイレだ。座るか座らないかぐらいのタイミングで、一気にトマトケチャップ状のものを連統的に排出する。


お腹の中がスカッとしたとき、「やった!!」と快哉を叫ぶ。今日も一日元気でいけるぞという充実感がいっぱいに広がる。

反対にどうもイマイチ残量感があるとき、無理に排出しない。「ああ、残っているな。十一時頃かな、一時頃かな。満を持すようにしよう⋯:」と

保留することにしている。何事も無理しないコツを身につけた。

すると見当をつけた時間にちゃんと排便したくなるし、できる。これで成功、大成功である。

便がトマトからバナナへと硬化したなと思ったら、水量と白・黒の薬の量

を増やす。トマトケチャップ状が、より下痢便に近いときの方が、体の調子も良いようである。

胸焼けというものをここのところすっかり忘れている。

腹に何かたまっている、もたれているという感じもどこかに置き忘れたようである。

家の洗浄憶能つきトイレで、排便後シャーッと水でお尻を洗うのが習慣に

なっている、外出先でトイレを使う場合、そういうわけにはいかないのでお尻を拭いた後、ちり紙を水でぬらして洗うようにしている。いつでも清潔に

しておくことが大切だと思うからだ。

外出先で借りるトイレは、次の通り。

(1)デパートの子ども、女性用品売り場の階のトイレ(ここは男性客が少ないので突然その気になっても、まず十分間に合うので便利)

(2)シティホテルの一階のトイレ(ここも必要品が十分揃っているし、個室も広々としているので気持ちがいい)

(3)新幹線の洋式トイレ(和式と並列になっているが、利用度は和式の方

が圧倒的に多いようだ)停車駅が近くなると利用者が多くなるので新横浜〜

名古屋間では、静岡ー浜松あたりですませるのがもっともすいていて落ち着ける。


(4)在来線の場合はトイレがついていないので、小さな駅(乗降客の少ない駅)で降りて用を足し、次の電車に乗る。

(5)飛行機のトイレは洋式だけ(まだお世話になったことはないが)

(6)船のトイレは和・洋併用(とにかく個室が狭い。機能的にはできているが、なかなかその気にならない。船を降りた時、慌てて埠頭のトイレに駆け込んだことあり)

(7)知らない一般家庭のトイレ(小便でお借りしたことは2〜3回あるが大便はない。借りるこちらより貸して下さる家の方が恥ずかしがることが多いので、これはやらないようにしている)

しかし無臭ということは素晴らしいことだ。

お腹の中が腐っていない。いつでもきれいだという実感が持てる。

満腹感というのは臭いにおいと一体であったのだ。

体に必要なだけの量をとるという本来の食事のあり方になれば、必然的に便もそうなってくる。

人生六十年にして初めて自分のウンコに愛しさな

じるような毎日である。

自分の歩幅でゆっくり歩く

【イ】家の周りを一回り

朝と昼の二回、我が家の愛犬グル(秋田系の雑種で拾われたのが回り回って我が家に来た、現在十年目)が家人と散歩にでかける。住居は屋外。家の中にはいれないが、グルの実力行使で年間三、四回は家の中に侵入することがある。散歩のときは太い綱でしっかり持つ。絶対に離さない。離したら最後、喜び勇んですっとんでいき、帰ってこない。家中総出(といっても現在三名)で探し回る。人にかみついたりはしないが、ハシャギ回るので驚きあわてる人がいる。他の犬の二〜三歳的な感じである。その前に飼っていたのがベラ。これは十四年。まず天寿を全うしたといって良い。グルはそれ以上生きそうである。

 朝の散歩についていく。家のすぐ下が公園である。土の道、まず九十段ほどの階段を降りて土の道を上がる→下がる。

野球のグランド横を通って、テニスコートを右に見て、左の坂道を上がる。この間に、中学校の朝礼に出会う時がある。これがなかなか面白い。朝礼担当の先生、校長先生の話。私だけ残ってついつい聞きほれてしまう。


公園内にはいろいろな樹木がある。鳥も季節によっていろいろと違う。ちょっとした野鳥探索会の感じ。しばらく行くと住宅通りに出る。そして、再

び公園内に入り右側の階段を上がって終り。私の歩幅(胴長短足の典型的日本人)で約1300歩。

13〜15分の時間である。

ここでグルと別れて私の単独歩行が始まる。

朝は水と、軽くチーズ、バター、パンを口に入れてから動く。朝食は散歩が終ってからとる。仕事で朝早く出かけるときは、グルの散歩も単独歩行もない。

【ロ】通勤時は駅まで歩く

ルとの散歩時間がない時は、京急電車の態見台駅まで歩くことにしてる。能見台センターというバス停まで1分。駅まではバスで最高10分で着くが(バス利川ももちろんある)、歩いても約25分で行ける。バスはラッシュで道路が混んでいたりすると、電車に乗る時間とタイミングがずれる。でも、歩けばびったし。これが気にいっている。

先の90数段の階段を降りて遊歩道に入る。自動車道路をはさんで林に囲まれた歩道である。

これがいい。鳩がいるし、シジュウカラもいる⋯⋯私の好きな土の道。約10分で信号に出て、能見台通りの住宅街を抜けて行く。平らな道から残り5分ほどダラダラの下りで駅に着く。全所要時間25分。約2600歩である。何本もの通りがあるのでその日の気分で選ぶ。グルの散歩と合わせると約4000歩。

一日の最低歩行目標6000歩は、まずこれで達成の見通しとなる。

その後は、京急電車が品川から都営浅草線(地下鉄)へそのままつながり、東銀座乗換で営団日比谷線(地下鉄)で神谷町下車。そこから麻布台の事務所まで約800歩。何だかんだでまず6〜7000歩は確保できるのである。

【ハ】通勤中のアラカルトが好き

何でも早め早めと時間を調整すれば、いろいろなことができる。

通勤定期は能見台↔︎泉岳寺である。泉岳寺から先は都営線で、地下鉄料金としては営団より割高である。私は事務所の代表であるけれども、ここの仕

事は皆さんがしっかりやってくれているので特別な出勤時間の制限はない。

むしろ講演会などで家から直接出かけることが多いので、都営線の定期券は持っていない。泉岳寺と東銀座間で170円、神谷町間で270円、その都度切符を購入する。泉岳寺ー三田―大門ー新橋ー東銀座間は、大門まで140円である。

●大門の駅で降りると国道15号線に出る。JR浜松町駅と反対方向に歩くと大門の主、芝増上寺山門に突き当たる。中を通り抜けて東京プリンスホテルの側道を通ると信号。それから坂道。右に東京タワー、イトーヨーカ堂本社の右側を抜け信号。

狸穴のロシア大使館を左、外務省飯倉公館を右に見ながら飯倉片町の交差点を右に折れて、港区立麻布小学校の一軒先隣が私の事務所である。若い女性に人気のスパゲティの店「象の食卓」、日本最初のピザの店「ニコラス」の間にはさまれている。

大門ー事務所間は約3100歩。

寄り道するのは大門駅上の本屋さん。食事時は「大門立ち食いそば・うどん」の店。ここはおばさんが三人。てんぷら数種類その他いろいろ、全てその場

で作っている安くておいしい店。ここではもっぱらかきあげうどんを食べる。

増上寺ではいろいろな催しがあるのでしばし休憩。茶店で一服。

余力があれば帰りはほとんどこのコースを通って大門まで。能見台からバスで帰ったとしてもその日は1万歩を越える。気に入っているコースである。

●さらに時間に余裕があるときは泉岳寺で降りる。泉岳寺の坂道はかなり厳しいが、上がりきって下りは魚籃坂から平らな道、霞ヶ関方面に向かって歩

いて一の橋、飯倉片町の坂を上って交差点。そして、事務所に。約4000歩。これはちょっとハードなコース。途中自動販売機でウーロン茶など2本

は購入することに。ここはサッサと歩くのがいい。この道、往復歩いたことはない。大体往きのみ。

●その他、事務所を拠点として新橋まで5000歩、赤坂見附3800歩、

青山三丁目4500歩、時間にして3〜40分程度の距離の場合、ほとんどタクシーを使わずに早めに出かけるようにしている。

●家周辺での散歩コースは常に開拓を続けている。定番の犬の散歩コース以外、この一年半の間にずいぶん開拓をした。まだまだ新規コースが生まれること間違いない。

◾️第一コース

京急ストア→能見台マンション群を抜けて能見台小学校→公園→能見台三丁目住宅地を抜けて家へ、約3500歩。

◾️第二コース

家へ戻らず富岡西住宅街の丘を抜け、ぐるっと回って氷取沢高校前→能見台一丁目住宅地から家へ、約5000歩。

◾️第三コース

京急能見台ゆとりの町マンション街から金沢文庫―鎌倉天園ハイキングコースに入る。山陵の森林の中である。左に折れて尾根を上ったり下ったりし

て能見堂跡に至る。昔は金沢八景の展望台といわれ、江戸時代に賑わったところで茶店などもあったそうである。現在は市が整備してちょっとした梅林

があり、白梅、紅梅がある。内田康夫さんのベストセラー推理小説、浅見光彦シリーズの「横浜殺人事件」の発端になった場所である。

近くの屋根のある休息所でゆっくりタバコを吸う。そこから左に下って不動池に出る。

(冬はカモが10〜12羽来ている。一般的にほとんど知られていない小さな池だが丘のふもとの森の池という感じでいい)ここから能見台五丁目、三丁目、を回って帰る。グルの散歩と合わせると8000歩となる。

◾️第四コース

能見堂からさらに足を伸ばして尾根を下り、金沢文庫の駅に出る。こういうときは時間にたっぷり余裕がある時で、線路に沿って横浜市立大学のそば

から金沢八景の駅に至る。運河、入江のモーターボート、ヨットなど数十、いや数百隻を楽しみながらドンドン行ってしまう。

柴崎漁港に至ってハッ、これは遠くに来すぎたと反省。でも歩ければ海の公園まで行ってシーサイド

ライン(新交通システム)に乗って金沢八景に戻り、京急電車で能見台、バス

で自宅へたっぷり22,000〜25,000歩となる。これは月に一回ぐらい。

◾️第五コース

能見台三丁目の外れから鎌倉天園ハイキングコースに入る。これはかなりハードなコースであるが、30分くらいで金沢自然動植物公園に出る。コアラがいてゆったりしたところである。帰りは公園の遊歩道を降りて釜利谷高校前から能見台六丁目を経て、家に帰る。これも約13,000歩コース。天園コースの終着駅は北鎌倉の円覚寺の裏手に出る三時間コース。

◾️特別コース

車を使う。ある地点まで車で行って駐車場に入れ、そこから散歩コースへ出るわけである。

横須賀の市街地を抜けて、防衛大学の丘の下を通り、観音崎の京急ホテルで車を止める。そこから歩いて観音崎の灯台を一回りする。

東京湾で、もっとも眺めがいい。大、中、小の船が、それはひっきりなしに出入りしている。船は何時間見ていても飽きない。これは大、大好きのコー

スである。気がつけばここだけで6〜8,000歩を万歩計は指しているが実感はない。ホテルのグリルで東京湾の魚、貝類を主としたサラダを食べるとき、幸せ感がいっぱいに広がる。

◾️京都での仕事が多いが、ここでももっぱら歩け歩けである。新幹線で降りて、七条通りからパークホテルまで約2,800歩。四条河原町でもどこで

も大体4〜5,000歩は歩いてからタクシーに乗ったりする。

とにかく歩くのがこんなに楽しいものだということを知ったのはこの1〜2年である。

万歩計を持たなくても、東福寺までは約650歩かな、御所までは150歩ぐらい? 目測と実際との誤差はせいぜい3〜50歩ぐらいになっている。時間も計算できる。

「よし、30分あるか。20分から25分ぐらいで歩いて行けるな」と判断して歩きだすまで10秒かからない。

これも糖尿病のおかげである。

さしたる体操やジョギングをしたりすることはない。

ひたすらにマイペースで歩くだけ。

これが私には一番ぴったりしていると思う。歩くことで、一年を通じた四

季との関わり、心も体も確かな自分を感じている。



【完】