排便はトマトケチャップの

やわらかさがベスト


【ご腸内はいつでもキレイに】

(M先生)私の治療法で大切なのは、排便です。

必要な栄養分が体内に吸収された残りのものは、

なるべく早く体外へ出さなくてはいけないのです。腸の中に留まっている時間が長ければ長いほど腐ります。

いわゆる便秘というのは体内に溜まったものが、次から次へと増えていくことです。

そして腐って有害毒素となって体内に入っていきます。バイキンがどんどん腸壁を通って、やがてよどんだ血液となって体内を駆けめぐる。

ドロドロした血液が巡回するのですから、体のあちこちが、いつ何時おかしくなっても不思議じゃない。

あなた、便秘は?

(阿部)便秘というのは、子どもの頃からありませんでした。むしろ下痢便に近いほうです。

(M先生)それはましな方です。よく、良い便の軟らかさはバナナ状といわれますが、これではまだ硬いのです。

トマトケチャップ状の軟らかさがベストです。

(阿部) ビチビチウンコですか?

(M先生)そうです。体外に排出するのを早める、つまり大腸に滞留させないために、用済みになったものはドンドン外へ出すのです。

大腸はあなたの場合、六十年間、一日も一時間も休まず働いてきたわけですから、

汚れ放題汚れています。そしてあちこち無数のキズができています。

大腸はひたすら吸収します。バイキンだってキズから一緒に吸収します。余程の事がない限り、拒絶反応を示しません。それくらいタフでもあります。

だから食べ物を選んで、いいものを送り込まなくてはいけないのです。

腸内に留まるものが、増えれば増えるほど有害毒素ができます。オナラの臭い人は、体内での毒素が溜っている人ですよ。無臭のオナラ、臭いオナラ、

それだけでも腸内のようすを判別することができます。

(糖尿病の治療の中で、食事のとり方、食べ物の選び方、カロリーの目安などはどこの病院でも指導を受けてきたが、排便についてはどこでも教えてもらえ

なかった。

また、たくさん出版されている糖尿病関連の本でもほとんど書かれていない。食事をすれば当然排便があるものの、それについて少しも疑問に思わなかった。同じ思いの人が多いと思う。「便秘をどう治すか」と言うことよりも「病気治療のコースの完結は排便にある。よって、排便にもっとも気を使う必要性がある」というわけなのだ)

カゼひきは、腸内警戒警報】

(M先生)お腹の中で、ものが腐り出し、体内にその毒素が回り始めるには三日か四日ほどかかります。

大体その兆候は「カゼをひく」という形で始まります。

(阿部)カゼですか? カゼは人からうつるのではないのですか? 急に寒くなったり。

暖かいところから冷たいところに出たりして、ひくのではないのですか。

あるいは人込みの中で、悪い空気の中でうつるのでは?

(M先生)カゼは伝染病ではありません。人から人へうつるものではないのです。

カゼをひくというのは

「バイキンが体内に入りましたよ」という警戒警報なのです。

体を守る組織が緩んでいるスキをついて、体内にバイキンが侵入したのです。

「さあ皆さん、頑張ってバイキンを体外に出しましょう」というのが、カゼをひいたという形で知らせてくれるのです。

腸内から体内各機関に侵入したバイキンの原因は

食べ物です。だからカセをひいたとわかったら、

少なくとも三、四日前に何を食べたか、何を飲んだかを調べるのです。

ほとんどの場合。青菜の野菜類が少なく、粉っぽいテンプン質のものを多くとっていたという場合が

多いのです。

カゼ薬を飲まず、二、三日テンプン質のものを

控え目に青菜類を多くとるようにする。

これで回復し、警戒警報は解除されます。

カゼ薬を飲むと体内の警備機関が働きません。薬におまかせで、私たちは働かなくてもいいとなり、

サボってしまうのです。

薬に頼るというのは、自らの体は自らの力で守るという、生物本来の持っている力を弱めることに

るのです。

(阿部 )カゼひきが長びくというのは、どういうわけなのですか。

(M先生)三日以上もカゼが治らず、ぐずついているとすれば、それは警戒警報から空襲警報に切りかわったということです。

B29の爆撃が始まり、一方的にやられていますよ、というわけです。こうなると、勝ち目はない。血

液の中にも容赦なく入ってくるから、体のあちこちで故障が起きてきます。

これが病気です。自力で戦う力がないから、薬を飲んだり、注射を打ってもらったりする他力本願の形になります。

カゼは伝染病でないからうつりません。

家族が次から次へとカゼをひいていくというのは、同じような環境、体質、食生活の共通性があるからで、うつっているわけではないのです。

(いや、驚いた。「うつるんです、カゼが⋯⋯」ではない。「クシャミ三回、ルル三錠」ではないのだ。カゼひきの主犯は食べ物なのか。

家族のほとんどがカゼをひいても、子どもの頃から一人だけカゼをひかなかった私。

みんなから「バカと犬はカゼをひかない」とからかわれたが、あれは間違いであったのだ。

カゼをひくようなものを食べなかったか、バイキンが入ってきても守る体の組織が強かったのである。しかし今さら、えばってみても始まらな

い。今では、バイキンが暴れ回っていてもなすすべもないのだ。反省!!)

白と黒の薬のなぞ?】

(M先生) 食事のカルテで示した食べてよいものとは、大腸にとってやさしい、体にとって頼りになるものを選んであるわけです。

だからそれが吸収されて、体内の血液や栄養物になって体が甦るのです。その際、水分の果たす

役割が大きいのです。大腸内で腐らせないために、たっぷりとした新鮮な水分が必要なのです。

それは吸収しやすくする働きをします。その供給が少ないと、汗やオシッコに回す分が大便から回収されて使われます。汚水です。

だから夏場で5リットル、その他でも3.5リットルの大量の水がいるのです。

下水の水では、腐らすのに手を貸すようなものだからです。塩分の役割も、わかりましたね。

体に水を留まらせる役割、そして塩分はオシッコなどで外へ出てしまうから、高血圧の心配はないのだということを、ここでもう一度確認しましょう。

それと、この薬を十四日分あげます。白い薬と黒い薬です。

(何だ、やっぱり飲み薬があるんだ。自分の体は自分が守るといっても、毎日飲まなくてはいけない薬があるんじゃないか。ウソッキ!!)

(M先生)薬といっても、これは病気を治すための即効薬ではありません。

白い方の粉薬は一種の下剤だと思ってください。便をトマトケチャップ状にするのが役目です。

1 日 3 回、大さじに軽く一杯ずつです。

黒い方の薬は、木を燃やしてできた炭です。これは腸壁にある細かいキズをガードします。

バイキンの侵入を防ぎます。

それと同時に、便が体外に出やすいように誘発する働きがあります。これは毎回小さじ一杯です。

合わせて飲む。無味無臭です。味気ないと思ったら、塩を加えてコップ一杯分の水に溶かして飲むようにしてください。

なお、便がトマトケチャップ状にならないときは、量を少し増やして下さい。

夕食後、寝る前に水と一緒に多めにとると、オシッコなどで水を無駄使いしないで腸のほうへと回ってくると思います。

便は真っ黒になります。初めは驚きますが、すぐに慣れます。これは黒い粉の影響ですが、心配いりません。お腹がゴロゴロ鳴ってきたら、便意をも

よおすのも間近です。ガマンしないで、トイレにすぐ駆け込むことです。私も診療中に失礼することが、チョイチョイあります。ガマンはいけません。

(トマトケチャップ、つまりビチビチ下痢便なのだから、ガマンなんかできるもんじゃない。場所選ばず、人も選ばず、これは困った事になりそうである)

(M先生)これは糖尿病の患者さんだけでなく、健康になりたい人全てに当てはまるのです。有毒と思われるものを含んだ食べ物をとらない、その上に

毒素が発生する芽を摘んでしまうのですから、健康が維持されるのです。不健康な人は健康へと向かっていけるのです。

赤ちゃんのウンコを思い出してください。ベチャベチャウンコじゃありましかも無臭に近い。色もいい色をしているのでしょう。だから、わずか一年足らずで、生まれたときの倍以上の体重に増えるのではありませんか。

お母さんのおっぱいで育った赤ちゃんは、健康で元気がいいのですよ。

犬だってそうです。ごく自然のものを食べて、外で飼われているものは病気をしません。この犬たちのウンコも、トマトケチャップ状ですよ。

コロンコロンのウンコをする犬は、決まって缶詰の調理されたおいしいものを食べているのです。

人間と同じに成人病にかかっている犬は、ほとんど人間のペットとして飼われている犬です。

犬としての生活権が与えられて生きているものは、長生きで元気に楽しんでいます。

老衰で、ある日コロッと大往生します。

良い排便ができるということは、有害毒素を体内に留めておかないこと、これがすべてなのです。

顔の吹出物も、アトピーの症状も、これすべて

食べ物と排便の状態で治すことができるのです。ニキビは決して青春の象徴ではない。

単に、食べ物と排便がうまくいっていないだけなのです。