“独りになりたい”
いつの頃からか、大勢で過ごしている期間が長くなると、そう思うようになりました。
想い返してみると、意識していなかっただけで、昔から団体行動が苦手でした。
でも子どもの頃は、なにをするにも団体行動が基本です。
幸いなことにそこそこの適応力があったので、学生時代はそのことで不便や問題を抱えたことはありませんでした。
最初に就職した地元企業を辞め、上京したとき。
初めて降り立った東京駅で、なんとも言えない開放感を覚えました。
『ここには、自分のことを知っている奴は1人もいない!』
それから10年が過ぎました。
開放感は孤独感へと変わり、孤独感はさらなる時間の経過とともに自分の身に染み付きました。
仕事は無難にこなしますし、持ち前の適応力で人間関係に悩んだこともありません。
でも、ある一定期間が過ぎると、嫌になってくるのです。
自分の居場所を求めているくせに、それが出来上がってくると、息苦しくなってしまうのです。
あるとき、僕は携帯電話の電源を切りました。
あのなんとも言えない開放感は訪れず、代わりに絶望へとつながるかりそめの安堵感が湧き上がりました。
今年の夏、北海道に自転車で旅行に行ってきました。
パンク修理すらしたことの無い自転車旅行初心者だったので、毎日がハプニングの連続でした。
自分独りではどうしようもないシチュエーションに陥ったりして、幾人かの人に助けていただいたりもしました。
圧倒的な大地の広さに、感激しました。
本州人の感覚では理解できないスケールの大きさに、無心でペダルを漕ぎ続けました。
調子に乗って、夜のすすきのに繰り出したりしました。
そして興奮に満ちた旅行は終わり、帰りのフェリーを降り、茨城→千葉→東京と、家路をひた走っていたときのことです。
クタクタに疲れているはずの僕の脚は驚くほど軽やかにペダルを回し、旅道具で重いはずの自転車は原付をも追い越そうかというスピードで真夜中の国道を進んでいました。
チャリを漕ぎながら、僕は道行くすべての人に話しかけたい気分でした。
『朝方までには家に着きたいな』
などと考えていたのに、夜中の1時過ぎには家に着きました。
さっそくシャワーを浴び、汗臭くない服に着替えました。
幸せな気分で布団に寝転んだ次の瞬間、とんでもない孤独感に襲われました。
それはまさに、叫び出しそうになるほどの強烈なものでした。
こんなに大冒険をしてきたのに、こんなにきれいな景色を見てそれをカメラに収めたのに、こんなに楽しいことを終えたばかりなのに、それを聞いてくれる相手がいない…。
友達に電話しようとしましたが、止めました。
自分には、この孤独を噛み締める必要があると思ったからです。
自分のツケを、自分で払わなければならないと考えたからです。
ある意味で、あの夜感じた孤独感は、僕にとって驚きでした。
なぜなら、自分はすっかり独りに慣れていると思っていたからです。
人と交わるよりも独りでいることを選択し続けてきた自分が、あんな激しい感情に襲われるとは思ってもみませんでした。
30代のいま、新たに人を愛することは、意外なほど難しいです。
たとえ好きな人ができても、いろいろなことを考えて、一歩前に踏み出すことができません。
『Somebody Stop Me!』
そんな自信に満ちた言葉を言えるように、自分を叱咤していこうと思います。
-------------
今日の映画:マスク ジム・キャリー主演
僕もあのMASKが欲しいです。
いつの頃からか、大勢で過ごしている期間が長くなると、そう思うようになりました。
想い返してみると、意識していなかっただけで、昔から団体行動が苦手でした。
でも子どもの頃は、なにをするにも団体行動が基本です。
幸いなことにそこそこの適応力があったので、学生時代はそのことで不便や問題を抱えたことはありませんでした。
最初に就職した地元企業を辞め、上京したとき。
初めて降り立った東京駅で、なんとも言えない開放感を覚えました。
『ここには、自分のことを知っている奴は1人もいない!』
それから10年が過ぎました。
開放感は孤独感へと変わり、孤独感はさらなる時間の経過とともに自分の身に染み付きました。
仕事は無難にこなしますし、持ち前の適応力で人間関係に悩んだこともありません。
でも、ある一定期間が過ぎると、嫌になってくるのです。
自分の居場所を求めているくせに、それが出来上がってくると、息苦しくなってしまうのです。
あるとき、僕は携帯電話の電源を切りました。
あのなんとも言えない開放感は訪れず、代わりに絶望へとつながるかりそめの安堵感が湧き上がりました。
今年の夏、北海道に自転車で旅行に行ってきました。
パンク修理すらしたことの無い自転車旅行初心者だったので、毎日がハプニングの連続でした。
自分独りではどうしようもないシチュエーションに陥ったりして、幾人かの人に助けていただいたりもしました。
圧倒的な大地の広さに、感激しました。
本州人の感覚では理解できないスケールの大きさに、無心でペダルを漕ぎ続けました。
調子に乗って、夜のすすきのに繰り出したりしました。
そして興奮に満ちた旅行は終わり、帰りのフェリーを降り、茨城→千葉→東京と、家路をひた走っていたときのことです。
クタクタに疲れているはずの僕の脚は驚くほど軽やかにペダルを回し、旅道具で重いはずの自転車は原付をも追い越そうかというスピードで真夜中の国道を進んでいました。
チャリを漕ぎながら、僕は道行くすべての人に話しかけたい気分でした。
『朝方までには家に着きたいな』
などと考えていたのに、夜中の1時過ぎには家に着きました。
さっそくシャワーを浴び、汗臭くない服に着替えました。
幸せな気分で布団に寝転んだ次の瞬間、とんでもない孤独感に襲われました。
それはまさに、叫び出しそうになるほどの強烈なものでした。
こんなに大冒険をしてきたのに、こんなにきれいな景色を見てそれをカメラに収めたのに、こんなに楽しいことを終えたばかりなのに、それを聞いてくれる相手がいない…。
友達に電話しようとしましたが、止めました。
自分には、この孤独を噛み締める必要があると思ったからです。
自分のツケを、自分で払わなければならないと考えたからです。
ある意味で、あの夜感じた孤独感は、僕にとって驚きでした。
なぜなら、自分はすっかり独りに慣れていると思っていたからです。
人と交わるよりも独りでいることを選択し続けてきた自分が、あんな激しい感情に襲われるとは思ってもみませんでした。
30代のいま、新たに人を愛することは、意外なほど難しいです。
たとえ好きな人ができても、いろいろなことを考えて、一歩前に踏み出すことができません。
『Somebody Stop Me!』
そんな自信に満ちた言葉を言えるように、自分を叱咤していこうと思います。
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今日の映画:マスク ジム・キャリー主演
僕もあのMASKが欲しいです。