『どのメーカーのクルマが好き?』という問いに、『もちろん日産!』と即答するのは、多分昭和40年代生まれの人たちです。

僕がクルマに興味を持ち出した頃、日産のクルマは輝いていました。
ひときわスタイリッシュなフォルムが目を惹いたシーマ、ヤンキー車の代名詞であったセドリック/グロリア、斬新なスタイルと力強いダーボパワーで人気を博したフェアレディZ、プレリュードとともにスペシャルティカーというジャンルを切り開いたシルビア、農家のおっちゃんから走り屋の兄ちゃんまで幅広い層に愛されたサニトラ、……。
そして、『技術の日産』『走りの日産』の代名詞と言えるのがスカイラインであり、日本のスポーツカーの頂点に君臨し続けている名車中の名車、スカイラインGT-Rです。

僕が中学2年生のとき、初めて我が家がマイカーを購入することになりました。
さっそく、当時すでに免許を取得していた兄が、『国産車オールカタログ』という当時発売していた国産車すべてのスペックを網羅したムック本を買ってきました。
クルマのクの字も知らなかった中学生の僕は、メガネをかけた5歳児の鉄道博士のように、わけもわからないままクルマの種類やスペックを覚えていきました。
セダンの意味もわからないままに、パッと見で好きになったクルマ、それがスカイラインGT-R(BNR32)でした。
いわく、羊の皮をかぶった狼。
いわく、レース用エンジンをそのまま搭載してしまったモンスターマシン。
いわく、“伝説のスカG”の再来。
いわく、レースでの常勝を約束されたクルマ。
数々の刺激的な煽り文句に相応しい性能を、スカイラインGT-Rはそのクーペボディに秘めていました。
その後のレースでの活躍、日本のチューニング業界に革命をもたらしたRB26DETTエンジンなど、クルマ好きなら一晩中話せるほどのネタがあります。

二十歳をいくつか過ぎた頃、僕はスカイラインGT-R(BNR32)を少しだけ運転させてもらったことがあります。
当時の市販車としては例外的に薄くてホールド生の高いシートに身を委ね、革巻きの3本ステアリングホイールを握りしめ、重厚な直6ターボエンジンを始動させたとき、なんとも言えない高揚感に包まれたことをいまでも鮮明に思い出します。
そして、スカイラインGT-Rは、R33へと進化し、R34でその最終型に至ります。

平成21年も終わりを迎えたいま、現行スカイラインに憧れる若者がいるでしょうか?
『日産自動車』と聞いて、多くの人がイメージするものはなんでしょうか?
日産の代表車種はなんでしょうか?

スカイラインの冠が無くなったGT-Rというクルマがあります。
日産自動車の技術の粋を尽くした、素晴らしく速いクルマです。
GT-R自体をどうこういうつもりはまったくありません。
ただひとつ、僕は日産の企業としての在り方に、大きな不安というか不満を感じました。
日産は、GT-Rをこう表現して世にアピールしました。
『JAPANESE SUPER CAR』
これまで、自社のクルマを“スーパーカー”と表現したメーカーは1つだってありません。
スーパーカーとは、その素晴らしすぎるクルマを目の当たりにした人々が自然発生的に名付けた名称です。

日産は、今後どうなっていくのでしょう。
とりあえず、次期型シルビアの動向を見守ることにします。

余談ですが、我が家の最初の自家用車は、サニーの5MTでした。
この歳になって、あらためて父の偉大さを思い知らされます。

-------------

今日の動画:http://www.youtube.com/watch?v=HtOegY1U2tA&feature=related
      スカG、イカしまくってます。