駐車場を見れば3台に1台以上がミニバン、そしてオートマ(AT)が9割8分以上の現代日本クルマ事情。
走り屋ブームが完全に去ってしまった現在では想像もつかないでしょうが、僕が20歳前後だった頃、特に関西では、シビックは気合いの入ったクルマでした。
ほんの小さな段差を超えただけでバンパーが小刻みに震えるほどガチガチに固められた足回り、ロールバーが張り巡らされた室内はフルバケットシートと小径ステアリングホイールで武装され、当然排気系は直管!
僕のシビック(特にEF)のイメージは、だいたいこんな感じです。
忘れもしません。
初めて六甲山にドライブに出かけたあの夜。
あれは土曜の真夜中、僕は当時18歳でした。
『夜の六甲山には走り屋が集まっている』との情報を聞きつけた僕は、代車の軽自動車(4速MT)を操り、再度山を目指しました。
神戸から走ること数分。
果たして、再度山の駐車場には、おびただしい数の走り屋たちが集結していました。
ベッタベタに落とした車体に、好き者以外には騒音に他ならない爆音をまき散らすクルマの群れは、小さな駐車場でUターンを繰り返しては峠を暴走していました。
少なく見積もっても、50台以上はいたでしょうか。
想像してみてください。
真夜中の峠、50台以上の走り屋のなかを、4速MTの軽自動車で走る恐怖を…。
『終わった……』
当然、そう思いました。
前方には走り屋、後方にも走り屋、駐車場にも走り屋、道路沿いにはギャラリーもいます。
震える右足がアクセルから離れようとしたその瞬間、不思議なことが起こりました。
耳をつんざくエキゾーストノートは一瞬にして途絶え、シャコタンのクルマで溢れ返っていた峠道はモーゼの十戒のように道が開けました。
わけが分からないままステアリングにしがみつき、僕は再度山のコースを4速MTで静かに走り抜けました。
山頂の駐車場に入り、震える手でタバコに火を付けつつ、クルマを降りました。
あたりは、またしても爆音に包まれていました。
まわりに停車しているクルマと自分の代車を見比べ、ようやく合点がいきました。
『なるほど、オレはかわいそうな人か、もしくはおじいちゃんに間違われていたんだな』と…。
気を取り直した僕は、ギャラリーコーナーで走り屋を見物することにしました。
ターボサウンドを響かせるシルビア、絶妙のドライビングテクニックでリアを流すAE86、なかでもシビックの走りに僕は夢中になりました。
なにに興奮したって、やはりその排気音です。
低回転から中~高回転へと移行する際の、エキゾーストノートのダイナミックな切り替わり!
高回転型1600ccエンジン、そしてHONDA独自のVTECが奏でるエキゾーストは、とんでもなく野蛮で危険な音色でした。
ヘアピンからの立ち上がりで『バババン!』とレブに当てながらシフトアップしていく様は、失禁しそうなくらい興奮しました。
その夜からです。
『シビック=イカしたクルマ』というイメージが、僕のなかで確立しました。
あれから10年以上が経ちました。
シビックはいくつかのモデルチェンジを行い、排気量も2000ccまで拡大されました。
type Rもありますが、CVT採用のハイブリッド車もあります。
シビック(=市民)という名のクルマは、進化し続けてきました。
しかし、僕にとってのシビックは、シャコタンであり、直管であり、5速MTの、ヤンチャな若者のクルマなのです。
余談ですが、先輩のシビック(EF。当然シャコタン直管)を借りたとき、シートの隙間から使用済みのコンドームが出てきました。
運転席/助手席ともフルバケットシートのクルマでカーセックスを敢行する先輩に、僕は畏敬の念を抱きました。
-------------
今日の映画:アドレナリン・ドライブ
こういう邦画をもっと創ってほしいです。
走り屋ブームが完全に去ってしまった現在では想像もつかないでしょうが、僕が20歳前後だった頃、特に関西では、シビックは気合いの入ったクルマでした。
ほんの小さな段差を超えただけでバンパーが小刻みに震えるほどガチガチに固められた足回り、ロールバーが張り巡らされた室内はフルバケットシートと小径ステアリングホイールで武装され、当然排気系は直管!
僕のシビック(特にEF)のイメージは、だいたいこんな感じです。
忘れもしません。
初めて六甲山にドライブに出かけたあの夜。
あれは土曜の真夜中、僕は当時18歳でした。
『夜の六甲山には走り屋が集まっている』との情報を聞きつけた僕は、代車の軽自動車(4速MT)を操り、再度山を目指しました。
神戸から走ること数分。
果たして、再度山の駐車場には、おびただしい数の走り屋たちが集結していました。
ベッタベタに落とした車体に、好き者以外には騒音に他ならない爆音をまき散らすクルマの群れは、小さな駐車場でUターンを繰り返しては峠を暴走していました。
少なく見積もっても、50台以上はいたでしょうか。
想像してみてください。
真夜中の峠、50台以上の走り屋のなかを、4速MTの軽自動車で走る恐怖を…。
『終わった……』
当然、そう思いました。
前方には走り屋、後方にも走り屋、駐車場にも走り屋、道路沿いにはギャラリーもいます。
震える右足がアクセルから離れようとしたその瞬間、不思議なことが起こりました。
耳をつんざくエキゾーストノートは一瞬にして途絶え、シャコタンのクルマで溢れ返っていた峠道はモーゼの十戒のように道が開けました。
わけが分からないままステアリングにしがみつき、僕は再度山のコースを4速MTで静かに走り抜けました。
山頂の駐車場に入り、震える手でタバコに火を付けつつ、クルマを降りました。
あたりは、またしても爆音に包まれていました。
まわりに停車しているクルマと自分の代車を見比べ、ようやく合点がいきました。
『なるほど、オレはかわいそうな人か、もしくはおじいちゃんに間違われていたんだな』と…。
気を取り直した僕は、ギャラリーコーナーで走り屋を見物することにしました。
ターボサウンドを響かせるシルビア、絶妙のドライビングテクニックでリアを流すAE86、なかでもシビックの走りに僕は夢中になりました。
なにに興奮したって、やはりその排気音です。
低回転から中~高回転へと移行する際の、エキゾーストノートのダイナミックな切り替わり!
高回転型1600ccエンジン、そしてHONDA独自のVTECが奏でるエキゾーストは、とんでもなく野蛮で危険な音色でした。
ヘアピンからの立ち上がりで『バババン!』とレブに当てながらシフトアップしていく様は、失禁しそうなくらい興奮しました。
その夜からです。
『シビック=イカしたクルマ』というイメージが、僕のなかで確立しました。
あれから10年以上が経ちました。
シビックはいくつかのモデルチェンジを行い、排気量も2000ccまで拡大されました。
type Rもありますが、CVT採用のハイブリッド車もあります。
シビック(=市民)という名のクルマは、進化し続けてきました。
しかし、僕にとってのシビックは、シャコタンであり、直管であり、5速MTの、ヤンチャな若者のクルマなのです。
余談ですが、先輩のシビック(EF。当然シャコタン直管)を借りたとき、シートの隙間から使用済みのコンドームが出てきました。
運転席/助手席ともフルバケットシートのクルマでカーセックスを敢行する先輩に、僕は畏敬の念を抱きました。
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今日の映画:アドレナリン・ドライブ
こういう邦画をもっと創ってほしいです。