これは政府の認識が根本的に間違ってる。最初から「目視確認」などという行為を成り立たせようと発想している時点でおかしいのだよ。

 

 

河野太郎デジタル相は10日の記者会見で、偽造したマイナンバーカードを身分証として使い、スマートフォンなどをだまし取る事件が相次いでいるとして、事業者らに注意を呼びかけた。 

 

この手の詐欺はすべて、携帯ショップの本人確認で行われる「客のマイナカードの目視によるチェック」が原因だ。「見た目の偽造が容易」という点では健康保険証や運転免許証・パスポートといったマイナカード以外の「目視確認専用」身分証明書となんらリスクに差はなく、その文脈でマイナカードに優位性は一切無い。

 

河野氏は「目視でも丁寧にカードをチェックすれば偽造は見破れる」と強調。券面の印刷に特殊なインキが使われているかどうかなど、注意事項を記した文書を事業者らに配布する方針を示した。

 

元々マイナカードの存在意義はICチップに埋め込まれた電子証明書によってのみ担保され得るものだ。マイナカードの身分証としての有効性をまずもって「目視に頼るだけの場合でも担保しよう」という発想そのものが罪深い。重厚なセキュリティを構築しようという自身のプロセスに、わざわざ抜け穴を設けているようなものである。政府にはその余計な発想があるからこそ「マイナカードの券面にマイナンバーを記載する」といった浅はかな決定をも、まさになし得たのだと言える。

 

最初から目視による有効性を排除し、本人確認を行う際には確実にICチップ内部の電子証明書の読み取りが必須であると規定していればこんな詐欺事件は一件たりとも起こりようがない。にもかかわらず、この期に及んでデジ相が「目視でも丁寧にチェックすれば・・・」などと相も変わらず「目視」のサポートに言及するのだからどうしようもない。

 

銀行のキャッシュカードやクレジットカードの使用が「目視」だけでは決して成立しないのは、そんなものが成立したらいくらでも偽造詐欺の餌食になると判りきっているからだ。それすらも理解せずに「マイナカード1枚で身分証明書としてあらゆる場面でお使い頂けます」などと浮かれた宣伝文句を垂れ流す。要は何も判ってないヤツらが大それたことをしでかしているというだけの話だ。

 

何度も言うが、今の政府にマイナカード運用の資格は無い。なによりもまず、マイナカードの目視による有効性を法律で禁じるべきだ。もちろん、そうなればカードリーダーによる読み取りが確実に必要となり、読み取り用暗証番号の記憶がおぼつかない一部のワケ有りユーザーは、マイナカードを活用出来ない。使える人と使えない人が出てくるのだ。が、だからこその「所持は任意」という訳であり、完全に合理性の範疇に収まる。であれば当然にマイナ保険証の強制は不合理であろう。わずかな知恵さえあれば普通に辿り着く結論なのだが、政府のボンクラ加減は一筋縄では行かぬレベルに達している。