こういう話を聞くたびに「死んでからでは遅いだろ?」っていつも思うのだが。

 

 

今回の野馬追には馬361頭が出場し、日射病になった馬の救護は南相馬市内の会場だけで111件に上り、昨夏から約40件増えた。死んだ2頭はいずれも30日に倒れた。1頭は南相馬市内の行列前に倒れたまま死に、もう1頭はメイン行事のあった雲雀ケ原祭場地で倒れて日射病と診断され、救護後に安楽死処分された。昨夏は1頭が死に、2019~21年に死んだ馬はいなかったという。

 

昨年から40件増えて111件!?

・・・って、すでに昨年時点で71件もあった(うち1頭が死亡)というのに、また同じことをやって被害者(馬)を増やしている。伝統行事なんてものは、たとえ今すぐ無くしたって誰も死にゃあしないのに、何故「誰かが死ぬまで変えられないルール」の適用対象からいつまでも外せないままなのか。

 

野馬追は新型コロナウイルスの感染拡大を受けて20年、21年に規模を大幅に縮小し、昨夏から通常開催に戻った。3日間の観覧者数は約12万1400人だった。騎馬武者や観客など救護所で熱中症やその疑いと診断された人は同市内だけでも83人で、うち11人は救急搬送された。 

 

コロナ不況をくぐり抜けての開催に盛り上がりはあったにせよ、いつ死者が出てもおかしくない状況を予見出来なかったとは言語道断だ。褒められるとすれば、この期に及んで経済効果と平気で天秤にかけていられる無駄な勇敢さぐらいのものだろう。

 

相馬野馬追は1000年余の歴史があるとされ、国の重要無形民俗文化財に指定されている。明治初期から7月に開催されてきた。開催日程を巡っては、南相馬市が昨年12月に騎馬武者らに行ったアンケートで、変更に賛成の声が半数に上ったことを受け、執行委は今夏の開催後に検討会を開く方針を示していた。

 今年は初めて騎馬行列前の馬に散水車で水をかけるなどの対策に取り組んでいた。隣接する相馬市や双葉郡も会場となっており、日程変更検討会の初会合までに人馬の熱中症などの状況を集約する。

 
福島県人にとって、馬は大切な労働力であると同時に家族のような存在だったはずだ。様々有ったであろう想いは判らないでも無いが、2年連続で馬の命を落とさせたのは取り返しのつかないミスだったと断言する。
 
俺の親父は福島出身で、子供の頃から馬と共に農作業に勤しんだそうだ。福島では馬刺しが名物でもあるが、親父は「馬の顔を思い浮かべると可哀そうで食べられない」と言って生前一度も食することは無かった。
 
いい加減、「伝統は変えてはいけない」なんてルールには全く意味が無いことに気付いて欲しい。伝統とは、良いものが自然と残されていくプロセスなのであって、困難を乗り越え命をかけてまで守り抜かければならないものでは決して無いのだ。
 
そう考える俺は今、ハラハラしながら甲子園を見ているのだが。