いい加減面倒くさい話だが、なにも突っ込まずに置いておくわけにもいかないだろう。
デジタル庁は23日、マイナンバーとひもづけて年金や給付金の受け取りに使う「公金受取口座」に関し、誤登録を防ぐためのシステム改修を完了したと発表した。今後は本人確認のためマイナンバーカードを読み込ませる作業が、登録を始める時だけでなく、手続きを終える時にも必要になる。別人の情報を誤登録するミスの原因となった「ログアウト漏れ」を防止する。
メディアというものは、どうしてこうもテキトーな嘘を垂れ流すのか。政府の説明を聞きかじっただけで、自力では一切検証せず瞬発的に書き綴る。何も考えられず何も判断出来ない、デジタル庁と同レベルのバカさ加減だ。
この改修が「ログアウト漏れ」を防止する可能性は全く無い。ゼロだ。にもかかわらず、一体どこからこんな嘘情報が出て来たのか。読売がこんなふうに紙面で「防止する」と言い切れば、大衆は「そうなのか」と思いこむだろう。が、ログアウト漏れ自体は今後も間違い無く発生する。
この改修の真の意義は、「仮に(前の人の)ログアウト漏れの状態であれば、後の人による口座登録を一切受け付けない」というものだ。改修前は残念ながらこれを受け付けてしまうシステムだったため、前の人のアカウントに、後の人が自分の口座を紐づけてしまう形で誤登録が起きたわけだ。今後はそれを抑止出来ることになるのだが、それは後の人による他人への紐づけを抑止するだけであり、決して前の人のログアウト忘れを抑止するというわけではない。
本来ならATMのような専用機を設けて、利用者の能動性とは無関係に、カードを抜き取った時点で自動的にログアウトされているようなシステムが理想ではある。だが、これまでどおりマイナポータルを「共用パソコン」で提供するような状況では、引き続き「ログアウトの徹底」を口うるさく啓蒙すべきであり、安易に「改修によりログアウト漏れが無くなる」かのような認識を人々に与える記事は相当に罪である。
そんなこと、ちょっと考えれば判りそうなことではないか。ITシステムの知識とか関係ないだろう?ただ合理的思考さえあれば良いだけのことだろうに、本当に情けない。
このログアウト忘れによる誤登録問題(家族名義の登録問題は全く別)の防止策については以前の投稿で詳細に触れた。
結論:
誤登録防止には、情報の登録実行の際に必ずカードから「利用者証明用電子証明書」を読み込み、それがログイン時に使用された「利用者証明用電子証明書」と同一の証明書であることを確認する。
これ一択である。
結果的に今回の改修はその通りになっているのだが、にしても実運用への反映までに一か月近くかかっており、いかにせん対応が遅すぎる。問題を把握してから発表までといい、そこからの対応といい、この運動神経の鈍さそのものがまさにデジタル庁のボンクラ度を象徴するかのようだ。
それに加えて、このメディアによる報道のテキトーさよ。およそ世の中の真ん中あたりで派手に立ち回っているヤツらには、まともな頭脳の持ち主はほぼ含まれていないのではないかと訝る。流石、SNSにインスタグラムが登場する遥か以前、二千数百年の悠久を誇るインスタ映え国家だけのことはあるというものだ。
ちなみにマイナポータルのマニュアルを確認したが、このブログを記述している時点では「口座登録を実行するタイミングで再びマイナカードの読み込みを行う」は反映されてなかった(※すでに現在は反映されている)。本来、公的個人認証APの操作に暗証番号の投入は不要なので、カードリーダーに差し込んだままにしておくか、非接触型読み取り機でもかざすだけでOKなはず。それくらいの説明は添えておいて欲しい。