『宇宙と宇宙をつなぐ数学』
加藤文元 著
角川書店
初版 2019.4.25
第7版 2019.12.25
を読みました。
1年も前に出版されていたようですが・・・
加藤文元さんは、『数学する精神』等の著書で名前を知っていた。
実は、ABC予想で話題の望月新一さんと親しいらしい。
2人で、“数学+焼き肉の会”をしたほどの仲だという。
数学のことだけでなく、望月さんの人柄がうかがえるエピソード、新理論発表に関する苦悩もたくさん書かれていて、
IUTをちょっと身近に感じた。
IUTは「宇宙際タイヒミュラー理論」"inter-universal teichmoeller theory"の頭文字である。
「ABC予想を証明した」というより、もっと広く、「全く新しい数学のやり方を提唱した」ということらしい。
発端はABC予想かもしれないが、IUTが完成された今では、それは応用の一つでしかないので、
ABC予想を解決したというより、IUTを作ったというのが適切であるようだ。
{inter-national(インターナショナル)は国-際である。この類推で
inter-universal(インターユニバーサル)は宇宙-際である。
「現在は国際化が完了し国際社会になった」とすると今度は「宇宙際社会」を目指すのか?
宇宙際の他に「銀河際」などというのもあるそうだが、その前に「惑星際」かなと思う。
「金輪際」はなんて言うのだろう。inter-???
ところで、たし算とかけ算の間には「壁」がある。
これは本書を読む前から自分も感じていたし、けっこうみんなが持っている感覚ではないか。
たとえば(本に書いてあるのではなくて、自分が勝手にあげる例だが)、
これを解くのは難しい。
「これは指数・累乗の問題じゃないか」と思うかもしれないが、
「2をx回かけるのと、2をx回たすのとが混ざっている」から難しいのである。
ほかの例として
「素因数分解」を考える。6を素因数分解すると
6=2×3
であるが、これは「かけ算」に分解した(し尽くした)のである。
6を「たし算」で分解し尽くすと
6=1+1+1+1+1+1
となる。こうしてみると、素数は「かけ算」に由来するものであって、「たし算」からは遠い。
素数とたし算の関係を述べる定理があれば、それはけっこうすごい定理なのだと思う。
以上、たし算とかけ算の間に横たわる「壁」の例として適切だったかはわからないが、
ともかく、IUTを使えば、その「壁」を(なんかよくわからないけど)やわらかくして、切り抜けることができるらしい。
今回読んだ本『宇宙と宇宙をつなぐ数学』では、数学の説明が大変丁寧である。同じことを繰り返し書いており、
「多くの人になんとか伝えたい」という熱い思いが感じられる。
記号は、logがちょっとでてくるが、高校数学程度だと思う。背理法を知っているとフェルマ-の大定理のコラムを読める。
あと最後に「群」(大学で勉強します)の話が出るが、なんとかわかってもらおうとシンプルな例でじっくり説明されている。
逆に言うと「イメージ」以上の数学目当てだとちょっと物足らないと思う。
そういう人は、望月さんのブログ『新一の「心の一票」』(すごいタイトル!)から論文をダウンロードして読んでみてはどうかしら。
「事実上、高校数学でわかる具体例」が載っている。私は、読んでも理解できなかったが、(記号がわからん
)
最初からちゃんと読めばわかるのかもしれない??
(おわり)