前回最後にちらっと言った「剰余の定理の一般化フグ」ではないですが、

   フグ
   剰余の定理は、一次式で割った時の余りに関する定理。
   これを二次以上の整式で割った場合に拡張できたらいいね、とかいうことを
   前回述べた。

問題集に載っている剰余の定理の応用問題の一つを、
もとの形より少しだけ一般化してみました。



まず、もともと問題集に載っていた問題(ただし数値は変えてあります)は、

【もとの問題】
整式P(x)をx^2+x+1で割ると2x+2余り、x-1で割ると7余る。
P(x)を(x-1)(x^2+x+1)で割ったときの余りを求めよ。

です。(この問題の解答は省略します。)
これを一般化します。


【一般化された問題】
P(x)は整式で以下の条件を満たすとする。

 [条件]
 P(x)をm次式f(x)で割った余りは、整式s(x)であり、
 P(x)をn次式g(x)で割った余りは、整式t(x)である。

このとき、P(x)をf(x)g(x)で割った余りを求めよ。



もとの問題のx-1がf(x)、x^2+x+1がg(x)になって、
一般化されています。
(逆に、x-1がg(x)、x^2+x+1がf(x)でも構いません。)


一般化するため、全部の整式を文字で表しましたが、そうすると、
困ったことに、問題文で具体的に与えられている整式(x^2+x+1とか)なのか、
未知の整式(P(x)とか)なのかが分かりにくくなってしまいます。
そこで、少しでもわかりやすくするために、
未知の整式は大文字で、具体的に分かっている整式は小文字で表すことしました。


さて、この【一般化された問題】を解いていきたいのですが、


実は、この条件だけでは解けるとは限らず
(少なくとも、筆者の方法では解けるとは限らず)、
もうひとつ条件を追加する必要があります。
これを加味して、問題文を修正します。


【一般化された問題(修正版)】
P(x)は整式で以下の条件を満たすとする。

 [条件]
 P(x)をm次式f(x)で割った余りは、整式s(x)であり、
 P(x)をn次式g(x)で割った余りは、整式t(x)である。

さらに、方程式g(x)=0の解はすべて相異なるとする。

このとき、P(x)をf(x)g(x)で割った余りを求めよ。




g(x)に上のような条件があれば解くことが出来ます。
g(x)は重解をもたないということですね。
【もとの問題】のx-1とx^2+x+1はともにこの条件を満たします。


では、解いていきましょう。


[一般化された問題(修正版)の解答]
P(x)をf(x)g(x)で割った商をQ_1(x)、
余りをとすると、

 P(x)=f(x)g(x)Q_1(x)+R(x)

と書ける。さらに、f(x)の[条件]より、

 P(x)=f(x)g(x)Q_1(x)+f(x)Q_2(x)+s(x)
 
と書き直せる。ここで、R(x)をf(x)で割った商をQ_2(x)とした。
R(x)はm+n-1次以下なので、Q_2(x)はn-1次以下である。

方程式g(x)=0の異なる解をx_1,x_2,・・・,x_nとすると、
連立方程式

が得られる。ここで、f(x_k),s(x_k),t(x_k)はすべて定数だから、
未知数は、Q_2(x)の係数(n個)だけである。
この連立方程式はn元一次であるから解ける。
よって、Q_2(x)が具体的にわかり、
R(x)=f(x)Q_2(x)+s(x)が求められた。//



以上により、
重解がない場合は、
「二段階割り算」と「連立方程式」で解けることが分かりました。
【もとの問題】ではn=1なので、「連立方程式」の部分は
(連立でない)単なる方程式になり、剰余の定理を使うことなります。




この一般化により、たとえば次のような問題は解ける、といえます。


【問題の例】
整式P(x)を(x+1)^4で割るとx^3+2x^2-x+1余り、
(x+1)(x^2+x+1)で割るとx^2+3x-1余るとする。
P(x)を(x+1)^5(x^2+x+1)で割ったときの余りを求めよ。


数値は適当なので、答えはきれいな数字にならないかもしれませんが、
上と同じ解法を使って解けるはずです。



---英語版



エディタの機能上、日本語では、数式と文章を混ぜて書けない。
今のところ、問題文をきれいに書くためには英語で書かないといけない。