問題

複素数zが与えられた時、zを

  z=a+ib (a,bは実数)

の形に表せ。




zが具体的にどんな複素数かわからないとき、
zの実部と虚部を求められるだろうか?


ちょっと実験。

z=a+ib・・・①と書けたとしよう。
複素数らしく、zの複素共役z*をとってやると、

   z*=a-ib ・・・②

である。①②をa,bに関する連立方程式だと思って、
解いてみると、
①+②より、z+z*=2a
①-②より、z-z*=2ib

したがって、

となる。


この実験から、

与えられたzに対して、

を計算すれば、これらが、それぞれ
zの実部、虚部になるのではないかと期待される。

実際、これらの数をそれぞれ実部、虚部にもつ複素数wを考えると、

となり、wはzに他ならない。

よって、zの実部、虚部は、確かに上で出てきた形に書ける。
問題の解答としては、

である。



ちなみに、
同じ方法で、行列の実部、虚部なるものを考えることが出来そうである。
ただし、行列の複素共役とはなんなのか、定義しておかなければならない。
成分が実数の場合は、「行列の複素共役とは転置のことである」とすると、
具合が良い。

実際、複素共役の著しい性質として、

というものがあるが、
転置を横ベクトルに適用して、同じ計算をすると、

となり、類似の関係が現れる。

これだけでは、転置を使う根拠がよくわからないかもしれないが、
今回は、これ以上続けない。



こないだ出てきた『ヒルベルト空間と線型作用素』(日合、柳)では、
この分解を「デカルト分解」と称している。
もっと簡単な本では、斎藤正彦の線型代数の本にも載っていると思う。
筆者が使っていた本には載ってなかった。
斎藤本は、二種類あるみたいだが、どちらでも載ってるでしょう。