『眼中の人』(小島政二郎)を読み終わりました。
物語終盤で、地震が起こりました。
主人公(小島)は地震を機に、
家族を守るという意思を一層強くし、
明日への希望を感じさせながら終わります。
今読んでいる別の本、
『クラヴィーアの大家 ドメニコ・スカルラッティ』
ヘルマン・ケラー 著
原田宏司 小山郁之進 共訳
音楽之友社 昭和49年
の主人公、スカルラッティも大地震にあいました。
スカルラッティも地震をきっかけに、なにかを思ったのでしょうか?
まあ、スカルラッティはいいとして、
『眼中の人』では、地震の後、
“ガチャガチャ”という、なぞの動物?が出てきます。
吠えたりするので、どうせ犬なんですが、
それまで一回も出てこないのに、地震のあとに突如登場し
(小島の家で飼ってたことになっている。)、
ガチャガチャとしか書かれないので、不可解です。
以前の記事で、
『眼中の人』は「嫉妬の話」というような説明を
書いたと思いますが(これは、ある本に書いてあったのですが、)
読んでみると、全くイメージが違います。
嫉妬というと、なにか悪いイメージがありますが、
『眼中の人』は、そういう暗い話ではありませんでした。
“建設的な”嫉妬というなら、その通りです。
この小説にはいろいろな本が出てきます。
その本を読んでみたくなりますし、
不思議なことに、読んだような気にもなります。
話の筋が書いてあるからというわけではなく、
主人公(小島自身)に感情移入して、
自分も読んで偉くなったような気になるのです。
内容を知ったというより、読んだという優越感を感じます。
最近、最後まで読めない本が多い中で、
無事最後まで読むことができました。
ところで、
さっき、チラッと出てきた
『クラヴィーアの大家 ドメニコ・スカルラッティ』
ですが、こちらは、
スカルラッティという音楽家についての本です。
難しすぎることもなく、それなりに理解して読めますが、
斬新なことが書いてあるわけでもなく、普通な感じです。
(つまり、楽しい曲を「実は暗い曲だ」というようなことはありません。)
スカルラッティの作品におけるチェンバロ技法の説明が
とくに参考になりました。
バロック音楽関連の本やサイトを見るとき
役に立ちそうな知識を得ることができます。
たとえば、“アルベルティ・バス”がなんなのかの説明が書いてあります。
他の本にも書いてるのかもしれないけど、
筆者は、この本で初めてアルベルティ・バスと何かを読みました。
自分の思っていたものとだいたい一緒だったので安心しました。
しかし、こんな当たり前みたいなものが、
当時は新発明だったとには驚きました。
スカルラッティのソナタには「もっと初心者向けのもあるよ」
という話は聞いたことがあるもの、そういう簡単な曲は
きいたことがなかったので、この本で楽譜を見られたのはよかったです。
楽譜(断片)は豊富に載っています。
簡単な曲なら是非練習してみたい。
仕事も音楽も意味を考えてやることが大事です。
簡単な(単純な)ものこそ、意味を見出しがいがあると思います。
複雑なものにももちろん意味はあるでしょうが、
それを言い出すと桐がない。
本を読むことに優越感を覚える人には、共感できる小説です。