【問題】
正n角形の頂点を結んでできる
二等辺三角形は何個あるか?


【注意】
問題を考える前に、
二等辺三角形に関する用語を確認しておこう。


2つの辺が等しい三角形を二等辺三角形という。
等しい辺を等辺、残りのもうひとつの辺を底辺という。
等辺がなす角を頂角、等辺の交点を頂点という。
等辺と底辺がなす角を底角という。



「頂点」は多角形(特に三角形)の「頂点」と紛らわしいので、
この記事では、二等辺三角形の「頂点」といえば
上図の頂点のことであって、底角のところの頂点ではないとする。




【数え方】
いきなりnだと難しいので、
とりあえず、正七角形の場合を考える。
いきなりnで大丈夫な人は飛ばしてください。


正七角形の七個の頂点をそれぞれA,B,C,D,E,F,Gとする。
まず、Aを頂点とする等辺三角形が何個あるか数える。
これは簡単に数えられて、3個である。(下図)



ところで、他の点(B,C,・・・)を頂点とする二等辺三角形も

それぞれ、3個ずつある。
よって、正三角形の頂点を結んで出来る二等辺三角形は
3×7=21個である。



ここで、注意しなければならないのは、
だぶって数えていないか?である。
つまり、Aを頂点とし、かつBを頂点とするような二等辺三角形は
ないのか?ということである。
正七角形の場合はないから上の21個でいいが、
たとえば、正六角形では、だぶりが出てくる。



上図の青い三角形は、二等辺三角形(正三角形!)であるが、
A,C,Dともに二等辺三角形の頂点と見ることができる。
よって、この三角形は3回数えられることになるので、
この三角形に関しては、個数を-2しないといけない。

そして、だぶりがあるとすれば、それは二等辺三角形が
正三角形のときである。
二等辺三角形の頂点が複数ある二等辺三角形は、
正三角形しかないからである。)

正七角形は、頂点を結んでも二等辺三角形はできないので、
だぶりはない。


正n角形の頂点を結んだとき正三角形ができるのは、
nが3の倍数のときであり、
そのときできる相異なる正三角形は、n/3個である。


よって

【数え方(正n角形場合)】
正n角形の頂点をA,B,C,・・・とする。
まずAを頂点とする二等辺三角形を数えると、[(n-1)/2]個。
各頂点について同じことが言えるので、
とりあえず、[(n-1)/2]×n個と計算する。([ ]はガウス記号)
そのうち、正三角形はだぶって数えてしまっているのでそれを除く。
正三角形は、
nが3の倍数でないときは、0個。
nが3の倍数のときは、n/3個で、それぞれ3回ずつ数えている。
よって、
正n角形の頂点を結んでできる二等辺三角形の個数は、

nが3の倍数でないとき、[(n-1)/2]×n 個。
nが3の倍数のとき、[(n-1)/2]×n-2n/3 個。





【補足】
だぶりのことは考えたが、反対に、数えもらしはないだろうか?
正n角形の頂点を結んでできる二等辺三角形は、
A,B,C,・・・のいずれかを頂点に持つ。
よって、上で数えたなかのどこかに入っているので
数えもらしはない。


【お詫びと訂正】
2015年1月6日に
「正六角形の場合に公式を適用したところ、正しい答えがでない」
という旨のご指摘を頂き、本記事の後半
「【数え方(正n角形の場合)】」の2行目

 「まずAを頂点とする二等辺三角形を数えると、[n/2]個。」

が誤りであることに気付きました。正しくは「[(n-1)/2]個。」です。
現在は関連個所を含め訂正してあります。
間違いのないよう気を付けていきますが、変なところや疑問がありましたら、
コメントいただけるとうれしいです。


≪[(n-1)/2]個になることの説明≫

正n角形の頂点を結んでできる三角形のうち、
Aを頂点とする二等辺三角形が何個あるか考える。
底辺が何通りあるか数えればよい。

n個ある頂点のうちAを除いた(n-1)個から
2個ずつ結んで底辺ができるから、[(n-1)/2]個である。

正偶数角形(たとえば正六角形)の場合、
Aの向かい側の頂点は、底辺作りに参加できないが、
それがガウス記号([ ])による切り捨てに対応している。