以下 lim と書けば、
lim
n→∞
のことであるとします。
極限の足し算の公式(?)
lim(a_n),lim(b_n)が存在する
とき、
lim{a_n+b_n}=lim(a_n)+lim(b_n)
が成り立つ。
というのがあります。
「存在する」とは、有限の値(∞でも-∞でもない値)に
収束するということです。
この公式を使う問題として、たとえば、
lim{e^(-n)+sin(1/n)}を求めよ。
があります。
lim{e^(-n)}もlim{sin(1/n)}も存在するので、
limを分配
することができて、
lim{e^(-n)+sin(1/n)}
=lim{e^(-n)}+lim{sin(1/n)}
=0+0
=0
となります。
limをあたかも“数”のように思うと
lim{a_n+b_n}=lim(a_n)+lim(b_n)
c×(a_n+b_n)=c×a_n+c×b_n
となり、分配法則とよく似た格好になっている。
では、
lim{log(1+n)+log(1/n)}を求めよ。
の場合はどうでしょうか?
さっきのように、分配して、
lim{log(1+n)+log(1/n)}
=lim{log(1+n)}+lim{log(1/n)}
=∞+(-∞)
としたら、もちろん間違いで、
lim{log(1+n)+log(1/n)}
=lim{log((1+n)/n)}
=lim{log((1/n)+1)}
=log(1)
=0
のようにlimの{}の中を先に計算するのが正解です。
どこで間違ったかというと、
lim{log(1+n)+log(1/n)}
=lim{log(1+n)}+lim{log(1/n)} ←OUT!
=∞+(-∞)
lim{log(1+n)}もlim{log(1/n)}も存在しないのに、
1行目と2行目を「=」で結んではいけません。
では、逆に、
最初からlimが分配されていたらどうでしょうか?
lim{e^(-n)}+lim{sin(1/n)}を求めよ。
これは、そのままlimごとに別々に計算すればOK。
わざわざ
lim{e^(-n)}+lim{sin(1/n)}
=lim{e^(-n)+sin(1/n)}
と合体させても、なんの得にもなりません。
次に、
lim{log(1+n)}+lim{log(1/n)}を求めよ。
はどうでしょうか。
lim{log(1+n)}+lim{log(1/n)}
=lim{log(1+n)+log(1/n)}
=lim{log((1+n)/n)}
=lim{log((1/n)+1)}
=log(1)
=0
とかしてはいけません。
1行目と2行目を結ぶ「=」が成り立つには、
lim{log(1+n)} と lim{log(1/n)}
がともに存在しないといけません。
しかし、両方とも発散してしまいます。
じゃあ、正解はなんなのかというと、
申し訳ありませんが、問題に問題があります。
それは、
lim{log(1+n)}+lim{log(1/n)}は
収束するか発散するか述べよ。
と変えたとしても、解消されません。
lim{log(1+n)}だけなら、「lim{log(1+n)}=∞ 発散」です。
あるいは、
lim{log(1/n)}だけなら、「lim{log(1/n)}=-∞ 発散」です。
しかし、
lim{log(1+n)}+lim{log(1/n)}と足してしまうと、
発散ともなんともいえなくなってしまいます。
「∞-∞で不定形になるからダメ」なのではありません。
lim{log(1+n)}+lim{log(1/n)}における「+」に
問題があります。
「+」は、「1+2」のように、「数+数」という形で使います。
ところが、lim{log(1+n)}とlim{log(1/n)はともに発散していて
数ではありません。(∞は数ではない!)
ゆえに、lim{log(1+n)}+lim{log(1/n)}というのは、
「+」の使い方として不適切です。
lim{log(1+n)}+lim{log(1/n)}は
収束するか発散するか述べよ。
という問題は、いうなれば、
+
は収束するか発散するか述べよ。
と言っているようなものです。
数でないものを足し算してしまっているのです。
「収束しない数列にlimはつけない」
のが基本です。
そうはいっても、
lim{・・・}=∞
みたいな式をみたことがあると思います。
これは、数でないものを「=」で結んでいるので、
本来、等式としては間違っています。
しかし、「数列が無限大に発散する」ことを表すために、便宜的に
このような書き方をするのです。
イメージはよくわかります。
しかし、こう書くからといって、
∞が数として認められたわけではなく、飽くまで、
「lim{・・・}=∞」ひとまとまりで、「無限大に発散する」という
意味のひとつの記号であると考えておくべきものです。
ところが、
lim{・・}+lim{・・}
は、「+」の使い方がおかしいだけでなく、
便宜的にこういう書き方をする価値もないと思われます。
たとえば、
lim{a_n}+lim{b_n}=∞
などと書いたとしても、どっちの数列が発散しているのか
わからないし(a_n、b_nの片方は収束しているかも)、
あえて、このような表現をすることはないのです。
よって、便宜的に認めれば、こういう式(?)にも意味を
持たせることができますが、通常は、使っても、
lim{・・・}=∞くらいまでで、lim{a_n}+lim{b_n}などは
a_n、b_nがともに収束しない限り、意味がありません。