数のコスモロジー
齋藤正彦 著
ちくま学芸文庫
です。
おもしろそうなところだけパラパラ読みました。
背表紙見たときは、「数学のコホモロジー」かと思いましたが、
「数のコスモロジー」でした。
いろいろな話題が書いてありますが、
印象に残ったのは、はじめに書いてある、超準解析の話と、
後の方に書いてある、漢字の話です。
超準解析といっても、はじめて見ると何なのかわかりませんが、
英語では、nonstandard analysisです。
といってもやはりなんなのかわかりませんが、
要するに、∞を実数に含めて考える数学です。
こないだの記事では、実数であろうと∞であろうと、
極限は実数ではないと考えたので、それとは反対の発想です。
反対というと語弊がありますが、実数を外に出すか、∞を中に入れるか
と言う意味での反対です。
本当の超準解析は、(齋藤さんの書いた本もありますが、)
たいへん難しそうですが、この「数とコスモロジー」では、
やさしく書いてあります。
超準解析の理論が書いてあるのではなく、高校数学に関連した話や、
超準解析の歴史などの話題が書いてあり、おもしろく読めます。
超準解析とはじめて出会ったのであれば、けっこう興味を感じるのではないでしょうか。
漢字の方は、前にAccademia Nutsでも記事にしましたが、
楕円の楕がひらがなだとか、そういった類の話です。
ただし、このブログでの扱い方とはあまり重なるところがなかったように思いました。
(楕円の楕は、割りと親近感のある意見だったと思いますが)
そして、「漢字の話」と書いたのですが、実際は、漢字の話だけでなく、
数学用語の表記(日本語の中でのあり方)をテーマとした鼎談の形をとっており、
漢字表記の話は、3人が言い争う“お題”のひとつに過ぎません。
「ユニタリー」とか「リー環」とか、高校では見慣れない単語も出てきますが、
数式が出てくるわけではないし、概念そのものの話ではないので、
雰囲気がつかむことはできると思います。
ユニタリーのところでは、unitaryと書くのかユニタリーと書くのかみたいな(本当は
もう少し複雑)ことを議論しているのですが、これは、数学だけでなく、
外国語を使うすべての文章にあてはまることです。
全体としても、高校では出てこない、言葉が割りと出てくるので、
高校数学のレベルという観点からは、読んでて若干不満を感じるかもしれませんが、
知らない言葉が出てくるのが逆に興味をひくかもしれません。
また数式があまり出てこなかったはずなので、数学の“文章”が読みたい人には
良いと思います。○○文庫で、数学の本と言うと、数式がばんばん出てきたり、
問題を解いたりと、「数学的」な本が結構ありますが、これはそんなことがないので、
気楽に読めます。