わたしたちと内積
↑社会の教科書に出てきそうなタイトルです。
数学がもっと生活に密着した存在になってほしいという
思いを込めてこのようなタイトルに・・・
内積は、なんなのかよくわからないものなので、
既知のものとの関係を見て少しでも親しみましょう~
で、まず
x・y=1 x、yは2次元ベクトルとする
が表す図形はなんでしょうか。
意外に見なれない方程式ですが、
yをxにした、
x・x=1
はベクトル方程式のところで出てきます。
x・yの方はどうでしょう。
x・xのときと違うのは、
文字の種類がxとyの2種類に増えているところです。
文字をみたら、変数なのか定数なのかハッキリさせなければいけません。
今、2次元のベクトルを考えているので、
xとy両方を変数と思うと、求める図形は4次元に描かれることになり、
それはそれで興味深いですが、面倒なので、
ここでは、xだけが変数で、yは定数(定ベクトル)ということにしましょう。
図形を求める方法は、たとえば、
その1. x=(p,q)とおいて、成分ごとの方程式を導く。
その2. xにいくつか具体的な値(ベクトル)を代入してみて
方程式を満たす点をプロットして推測する。
があります。
“その1”のほうが厳密に図形を特定できますが、
試験じゃないので、その2をやってみましょう。
xになにを代入するかですが、まずは、
yを代入してみましょう。素直な発想でしょう。
y・y=|y|^2
yは定数であるということ以外、特に情報がないので、
y・y=1とは限らないことに注意。
求める図形の一部(点)であるためには「=1」でないといけません。
「=1」にするため、長さを調整しましょう。
yはやめて代わりにを代入すると、
(y/|y|^2)・y=1
ですが、ここで、「y/|y|^2」という分数みたいな書き方に関して
釈明しておきます。
まず、y/|y| は (1/|y|)×y のことです。
つまり、yに「yの大きさの逆数」を掛けたものです。
同様に、y/|y|^2 は (1/|y|^2)×y のことです。
ちなみに、すぐわかることですが、
y/|y|は、yと向きが同じで、大きさは1のベクトルになっています。
そういうわけで、
(y/|y|^2)・y=1
より、y/|y|^2は求める図形の一部であることがわかりました。
つまり、求める図形(そろそろ面倒なので以下Gとします)は
点y
を通ることがわかりました。(下図)
“点y”と言う書き方をしましたが、
上の図を見ると、要するにyの先っちょ(終点)を通るということです。
ベクトルなのになぜ点という言い方をするのでしょうか?
上図のy’を見ると、大きさと向きが同じですから、
ベクトルとしてはyと全く同じものです。
しかし、Gがy’の先っちょを通るというのはおかしい。
ベクトルは「平行移動しても同じ」という約束がありますから、
単なるベクトルでは位置を表すことはできません。
そういうときに使うのが、「位置ベクトル」という概念です。
これは、ベクトルの始点を原点Oに固定することで
平行移動を出来なくし、位置を表すのに使う方法です。
点yというときには、yを位置ベクトルとしてとらえているわけです。
そういうわけで、
取りあえず、図形Gは点yを通ることがわかりましたが、
他にはどんな点を通るのでしょう?
まあ、他にいろいろ代入して見てもいいんですが、
x・y=1
という方程式を見て、自然な発想で出てくるのは
x=y/|y|^2ぐらいのものです。
ほかはこれが定石というのは特にありません。
そこで、ちょっと工夫してみます。
(y/|y|^2)・y=1を使って、1を消すと、
x・y=(y/|y|^2)・y
となります。yについて整理すると、
(x-y/|y|^2)・y=0
内積の得意の形になりました。
内積が0なら直交です。
これならGを求めるのに図形的なイメージを働かせることが出来ます。
そうすると、なんか直線が出てきました。(上図破線)
直線を上図の位置から平行移動させて、
点y/|y|^2を通るようにすると(この直線をLとする)、
点xは直線L上にあります。
【補足】上図を見ると、1/|y|^2ではなく1/|y|になっていますが、
これは、誤植ではありません。
ベクトルじゃなくて“大きさ”です。
y/|y|^2の大きさは、1/|y|。
よって、求める図形Gは、直線L上にある(式で書くと、G⊂L)
ということになります。
逆に、直線L上の点は、方程式x・y=1を満たすので、
LはGの上にあります。(L⊂G)
つまり、GとLは等しいということになるので、
求める図形は直線Lです。
方程式x・x=1の表す図形は円でしたが、
x・y=1の表す図形は直線なんですね。
y=x^2は放物線ですが、y=xは直線です。
これとどことなく似ています。(放物線と円はともに円錐曲線!)
以上より、内積には
内積=一定 ⇒ 直線
正確には、
x・y=一定 ⇒ これを満たすx全体はyに直交する直線
という性質があることがわかりました。
上の話では「一定」の部分は1でしたが、
別に1じゃなくても直線は出てきます。
たとえば、kを0でない実数として
x・y=k
とすると、
x・(y/k)=1
です。上の話では、yの大きさは具体的には指定してなかったので、
yのところをy/kで置き換えてやれば同じ議論が成り立ちます。
で、
x・(y/k)=1において、kの値をいろいろ動かすと・・・
このとき、kのことをパラメータ(または日本語で「径数」)といいます。
あるいは、
kをyに込めてしまって、
x・y=1
においてyの大きさを変化させると考えることも出来ます。
yの大きさを|y|=1,1/2,1/3,1/4,1/5と変化させると
さっきと全く同じで、

が出てきます。
このときは、yがパラメータです。(あえて言うなら「径ベクトル」か?)

