板倉聖宣
変体仮名とその覚え方
仮説社
2008.3.1 初版
変体仮名というのは、
みたいなやつのことです。
これは今パソコンで書いたものなのでなんかわざとらしいし、
そもそも見よう見真似なので多少字の形がおかしいかもしれません。
よき こどもは ちちははの こころを よろこばせ
と書いてありますが、なんの個こっちゃと思うかもしれませんが、
明治時代の教科書です。
「こ」が「古」の変形になってるのは店の名前などで
現在でも見かけることがあります。
で、
『変体仮名とその覚え方』ですが、
この本は、変体仮名を読めるようになりたいという人のための本です。
著者は、江戸時代のことを研究していて変体仮名を読む機会も多いの
ですが、なかなか覚えられなかったそうです。
その経験と、独自の調査(江戸時代の文献にどの程度の変体仮名が
使われているか。たとえば一音あたり何種類くらいの文字が使われているか)
をもとにこの本を書いています。
ですから、昔の文献を読んできた勘だけで本書を書いたのでもないし、
実体験のない理屈だけで書いているわけでもないので、
実践と理論の両方で著者が努力して生まれた本だといえます。
この本を読んで(まだ途中までしか読んでいませんが)良いと思ったのは、
実際に変体仮名が使われた文章(たとえば明治時代の小学校の教科書)
そのものが掲載されていることです。
現代人が新しく書いたものではなく、変体仮名を普通に使っていた人が書いた
ものであり、したがって本場の変体仮名で勉強できるのです。
しかも、手ごろな量と難しさです。
一度表を見ながら読んで見ると、よい練習になります。
自分でこれに相当するような教材を手に入れようとすると、
明治時代の書物を手に入れるか、それが載っている現代の本を
探すことになりますが、明治時代の本は古本屋にあるにしても、
古いものなので取り扱いが面倒です。
(分解しないように丁寧に扱わないといけないし、変色していると案外
読みにくいものです。)
また現代の本には載っているとしても一部で、切れ切れだったり、
難易度が適切でなかったりするでしょう。
そういうわけで、
変体仮名を学びたいなら、この本を入手するのが手っ取り早い。
また、この本の本文は、変体仮名を読みそうもない一般人でも読めるような
親切な文章です。
前半では、変体仮名についての知識が語られており、
なぜ、ひとつの音を表すのに二つ以上の文字を使っていたのかなど
興味深い疑問に答えています。
後半は、さっき先述のような実際の文献と、著者が作った練習問題を使って
覚える作業をするようになっています。
変体仮名を表を参考にしながら読んでみて、
小学校で感じを習っていたころを思い出しました。
「書」の横線は何本だったかとか考えていて、小学生のころは
視覚的な認識能力がまだ未発達だったのだとか思っていましたが、
変代仮名を読むためになんども表を見返さなければならなくて、
今になっても、慣れないものに対する認識能力はこの程度なのかと
思い知らされました。。
