ベクトル乗するとどうなるのでしょう?
まず、
「□乗」 を 「□の足し算・引き算 or □の内積」
に翻訳できないか考えます。
§1. 指数関数
□乗 といえば、指数関数。
指数関数 y=e^x を、xの足し算or引き算or内積 に書き直せるか?
よくわかりません。
§2. 対数関数
□乗 といえば、指数関数。 指数関数といえば、対数関数。
普通に考えると無理ですが、実は、微分すると
d/dx(log x) = 1/x ―①
となり、分数になります。
割り算なので、足し算でも引き算でも内積でもありませんが、
指数関数が微分しても(積分しても)指数関数のまま(三角関数もまま)なのに
比べて、おしいところまで来ています。
§3. 分数
分数を、足し算・・・(以下省略) に書き直せないでしょうか。
無限等比数列があります。
1/1+x = 1+(-x)+(-x)^2+(-x)^3+・・・
= 1-x+x^2-x^3+・・・ ―②
§4. 分数と対数を結びつける
①でxのかわりに1+xとすると、
d/dx{log(1+x)} = 1/1+x
②を代入
d/dx{log(1+x)} = 1-x+x^2-x^3+・・・ ―③
§5. 積分
③の両辺を積分して、logを出します
が、積分範囲には注意が必要です。
まず、logxが意味を持つような範囲で積分しましょう。
0<x
そして、1-x+x^2-x^3+・・・ が意味を持つような範囲で積分しましょう。
等比級数が収束する条件から、
0≦x<1
二つの条件が同時に成り立って初めて、③の積分は意味を持つので、
積分範囲は、
0<x<1
に収まらねばなりません。
0<ε≦X<1 なる ε、Xをとります。
③の両辺を、εからXまで、xについて積分すると、
log(1+X)-log(1+ε) = ∫(1-x+x^2-x^3+・・・)dx ―④
(ただし、∫はεからXまでの定積分)
です。
§6. ベクトル乗
さて、ここからは、類推です。
インチキくさいと思われるかもしれませんが、
新しいものをつくるには、こういうことも仕方なでしょう。
もし間違っていることがわかれば、また別の方法を考えればよいのです。
③のxにベクトルを代入します。
④はまだ使いません。§5は後のための準備です。
d/dv{log(1+v)} = 1-v+v^2-v^3+・・・
vはベクトルです。矢印を付ける代わりに、太字にして、ベクトルを表します。
ところが、上の式はおかしい。
(イ) 1+vでは、実数+ベクトルとなってしまいます。
(ロ) ベクトルのなんとか乗とはなんでしょうか?内積?(外積?)
(ハ) ベクトルで微分するとはなんなのでしょうか?
まず、ロ。
ベクトルのかわりに、よく似てるやつ―行列を使います。
(a,b) なら ( a -b で取り替えます。![]()
-b a )
2次元ベクトルに限定して、話を進めます。
なんでこうするのかには、ふか~い訳があります。
今は、時間がないので、また今度。
次は、イです。
1は単位行列Eにすればいいや。![]()
1と(1,0)は同じといってるようなもんですが、
まあ、とりあえず、これでやってみましょう。
そうすると、
d/dv{log(E+M)} = E-M+M^2-M^3+・・・
最後にハですが、
ベクトルで微分というのは、聞いたことないですが、積分はあるんですね。
高校では聞かない?
物理の仕事は、ベクトルについて積分しています。
W = ∫F・dx = ∫(f,g)・(dx,dy) = ∫fdx+∫gdy
Wは仕事、Fは力、xは変位、・は内積です。
計算の仕方(実数の積分への直し方)も書いておきました。
今日は、こんなものかと認めてもらいます。
というわけで、積分すると
log(E+M) = ∫(E-M+M^2-M^3+・・・)dv ―⑤
もうめちゃくちゃですね。
④で積分範囲とか、ごちゃごちゃいいましたが、
ベクトルで積分する場合、範囲(ある実数からある実数まで)ではなく、
経路(どんな道を通るか)で積分します。![]()
というのも、
実数で積分する=数直線上のある線分に沿って積分
でしたが、ベクトルは2次元(実数は1次元)ですので、
ベクトルで積分する=平面上のある曲線に沿って積分
となるからです。
そして、さっきの物理話では、ベクトルをベクトルで微分していますので、
○乗を計算したら、M^○はベクトルに直し、直したのを積分します。
それなら、log(E+M)も、E+Mを計算したあとで、ベクトルになおしましょう。
§7. 計算例
では、具体的に計算してみましょう。
2の(2,1)乗を計算してみます。(実数のベクトル乗です!)
⑤の右辺を log((2,1))にしたいので、
log((2,1))=log(( 2 -1
-1 2 ))
=log(( 1 0 + ( 1 -1
0 1) -1 1 ))
より、M=( 1 -1 です。
-1 1)
M^2=( 2 -2
-2 2 )
M^3=( 8 -8
-8 8 )
M^n=( 2(n-1)^2 -2(n-1)^2
-2(n-1)^2 2(n-1)^2 )
よって、
E-M+M^2-M^3+・・・=?
おおっと、収束しないぞ!
「級行列が収束する⇔足して出来た行列の成分(級数になる)がそれぞれ収束する」
なのですが、足してできる行列の(1,1)成分は、
1+Σ2×(-1)^n×(n-1)^2 (Σはn=1から∞までの和)
なのですが、Σの部分は振動します。nが大きくなるごとに
加えられる数(2(n-1)^2)は+と-が交互に来て、
しかも絶対値がどんどん大きくなるので、級数は振動します。
下図の赤点のy座標が加えられる数を表します。
実は、この図で振動しているからといって、
級数も振動するとは限りません。
もっといい図があるのかもしれませんが、
今日は時間がないので、もう書きません。
1/1+x = 1-x+x^2-x^3+・・・ ―②
が収束するためには、xの絶対値が十分小さいことが必要でした。
ベクトルでやるにしても、ベクトルの絶対値が十分小さくないといけないのでしょう。
次回は、小さいベクトルを使って計算してみたいと思います。
また、積分の経路についても触れていないので、次回はベクトルで積分するとき、
どんな曲線に沿ってなのか?にも気をつけられるようにしたいですね。
