内積とは何なのか?
たとえば、平面ベクトルで、
(x,y)・(z,w)=xy+zw ・・・①
あるいは
→ → → →
s・t=|s||t |cosθ ・・・②
と定義されているが、なんでこんな定義なのか? なんか意味があるのか?
また、せっかくベクトルを導入したのに、なんでスカラー化させてしまうのか?
まず、意味だが、
物理をやっている人なら気づいてるかもしれないが、
内積は、”仕事”である。上の②式で、s、t を力と考えればよい。
力がベクトルであることは物理の初めのほうで習う。
日頃物理でベクトルを表立ってで使っていなくても右辺のスカラー計算はお馴染みだろう。
ここの書式では→をかくベクトル表記は面倒なので、代わりに太字でベクトルを表します。
なんか、「である」調だと偉そうなので、「です、ます」調で書きますです。
ベクトルについては、いろいろなことを考えますが、今回は上記の疑問のみを扱います。
s=(x,y)、t=(z,w)とおけば
①⇒② も ②⇒① も計算で示せるので、内積の定義は①でも②でもよい。
いや、実は①と②はちょっと違う。
②の方は、左辺なんか”矢印”しか書いてなく、図形としてのベクトル(幾何的な面)を全面に出している。
右辺も、長さの積、すなわち面積であり、やはり図形的。
しかし、①の方は平面座標が持ち込まれているではないか。
まあ、確かにこれも図形的と言えなくはないけど、座標は矢印を拘束する。平面の中に閉じ込めてしまうのだ。
②は平面とはいってないのでその分一般的である。
よって、上の①⇔②はs、t が平面に収まるときは正しい。
なんだ? ①と②が並べて書いたら平面ベクトルと考えるのが常識だって?
まあ、細かいことはどうでもよろしい。
②は一般的かつ抽象的な定義だということをかんじてほしかったのよ。
今、われわれは中学校まで暮らしていたスカラーの世界からベクトルの世界へたどり着いたわけですが、
スカラーからは逃れられません。
①なんかは、ベクトルをスカラーの成分から生成しているので、スカラーがないと崩壊します。
では、ベクトルは、スカラーを作らずに作れるのでしょうか?
②はスカラーは見えませんが、抽象的なベクトルのままで解ける問題はあまりないでしょう。
もちろんスカラーが出ずに解ける問題もありますが、多くは成分が関わってきます。
ベクトルはスカラーなしで作れるかもしれませんが、ふつうスカラーとは切り離せません。
ベクトルの定義を思い出しましょう。
ベクトルとは、大きさ(長さ)と向きを持つ量である。
注目すべきは「大きさ」という要素です。これはまんまスカラーです。
いや、大きさはベクトルだ。という人は、また後日考察するのでお楽しみに。
で、大きさはスカラーということにして、ベクトルの大きさを知りたい、あるいは計算で求めたい、式に織り交ぜたい、式で記述したい・・・というときがきっとあります。
大きさを持ってるのに、大きさがわからないなんて困りますよね。
というわけで、大きさの要素をベクトルと関係づけているのが内積なのです。
ベクトルの大きさとは x・x の平方根 なのです。
大きさを記述するために内積がある。
2乗(みたいなもの)以外の一般的な内積は、大きさの概念の拡張だ。
と思うのですが、物理の”仕事”こそが内積の始まりだ!と考えても、それはそれでいけそうです。