◆「課題の共有とプログラム説明会」開催のご報告(8/12)
8月12日(水)、第1回「フィリピン支援にかかわるNGO役員・職員の研修プログラム―課題の共有とプログラム説明会―」を開催しました。ゲストには、日本ヌエバエシハ・ファウンデーション代表理事の二瓶麻里氏、NGO組織経営アドバイザーの小林由紀男氏をお二人をお招きし、お話を伺った後、参加団体が抱える課題について自由に発言し、共有する時間を設けました。
■「フィリピン人から見た日比間の交流と協力」
二瓶麻里(日本ヌエバエシハ・ファウンデーション代表理事)
【Profile】
1978年カルチュラル・ダンサーとして来日。日本人男性と結婚し、「寿司処 梁川」を開く。店を切盛りする"名物女将"として活躍する一方、日比間の相互理解・友好促進を図るNGO「ジャパン・ヌエバエシハ・ファウンデーション」を設立。留学生・ボランティア団体・フィリピン大使館・フィリピン系企業など、様々な団体・個人とのネットワークを築きながら、日本とフィリピンの"架け橋"となる活動を続けている。

「二人の子どもが大きくなり、時間の余裕もできたので、フィリピンと日本をつなぐ活動をはじめました。
学校の子どもたちやお母さんと共に、フィリピンのダンスや料理を紹介する交流プログラムや、在日フィリピン人コミュニティや大使館と協働してコンサートなどのイベントを企画・運営しています。またフィリピン国内でも献血普及支援や植樹運動を行う他、日本で集めた古着や車いすなど中古品を送り届けています。"フィリピンと日本の橋渡し"ができるよう、日々活動しています。
日本人の夫との結婚に対しては、戦争での辛い体験を持つ祖父母から強く反対されました。私は日本に暮らしてもう30年近くになります。この日本という国を愛していますし、たくさんの方にお世話になりました。"どうしたら日本とこの国の人たちに恩返しができるか"と考えるようになりました。
たとえば、フィリピンのラジオ番組に、国際電話を通じて定期的に出演しています。そこでゴミの分別がきちんとしている日本の習慣や、中古の車いすを頂いたお話など、日本での生活を紹介しています。フィリピンでは電気がなくともラジオを聞く家庭は多く、私の祖母もその聴き手のひとり。
「遠くから、あなたの声を聞いています。日本の人々にありがとうと伝えてください」
と、以前言ってくれました。日本人を憎んでいたフィリピン人の気持ちが、次第に変化してきていることを感じています。

ひとりの力は小さい。私自身、高校しか出ていない普通のお母さんに過ぎません。
しかし、その小さな力が集まれば、誰にでも“何か”ができると知りました。
私の考える成功とは、自分が学び、学んだことを人と分け合い、人を愛し、愛される人になるということ。そのためにはまず元気であること。元気でないと家族や他人の面倒をみて、たくさん愛することができませんから。人に愛され、かわいがってもらい、世界中の人々と出会って、楽しく生きていきたい。人生は一度きりですから、後悔のないよう生きていきたいと思っています」
■「組織の財務改善・強化を図るための社会との関係性を考える」
小林由紀男氏(NGO組織経営アドバイザー)
【Profile】
外資系企業で経営管理業務に従事した後、青年海外協力隊でケニアに赴任、その後、東チモール、カンボジア、ラオスなどにて支援・調査活動に従事。元(財)日本ユニセフ協会 個人・企業事業部部長。 日本プロジェクトマネジメント協会会員

■非営利団体の存在意義
非営利団体の存在意義は、〈グローバル社会〉の急激な進行の弊害として生じた貧富の格差、環境破壊などといったグローバル・イシューへの対処にある。国家行政の手が届かない隙間を埋め、遅れを補い、問題を補正するのがNGOである。NGOの多くは目の前にある問題に対する行動から始めているため、ミッションについて自覚的でない場合もある。しかし構造的に見れば、社会的課題に責任を持つ〈市民からの負託〉を受けてNGOは行動しているのであり、〈公益〉を目指すものである。
■慈善活動と社会の倫理
欧米型の慈善(チャリティ)と日本型社会貢献活動について考えてみたい。まず、欧米型のチャリティはキリスト教精神に基づく行動であり、何か良いこと〈善〉のために浄財を市民に募る。この〈善〉が何かについては宗教的なものであり、俗人の介入する余地は無い。人は神の祝福に対する義務として〈善〉を行う。
一方、日本型の社会貢献活動における〈善〉は人間社会の判断に基づく。日本型の社会貢献とは、企業活動が利益を生み出し、それを社会に還元することによって社会が活性化され、そのことによって企業の繁栄が継続的に持続するという循環を目指すものである。

■NGOのプロジェクトと市民社会
NGOの場合、市民の中の社会問題を解決する意欲と能力のある人間が活動を形成している。義務ではなく〈ボランティア精神〉がその基底にある。よって、市民ひとりひとりが、その負うべき社会的責任や義務を自覚した時、NGOを支援する動機が生まれる。
一方、NGOはその活動が〈公益〉に適っていることを市民に示す必要がある。NGOのミッションは「フィリピンで学校が必要だ」といった、誰にでも理解できる「これがあったら社会が良くなる」ものを示す〈要求ガイド〉である。また、「良いことをやっているのだからわかってくれる人たちだけで素朴にやっていたい」、という気持ちはわかるが、それだけではNGOは成立しない。効率性、環境性、有効性、成果責任、獲得価値、倫理といった要素を含む「総合価値指標」を考え、広く市民にその公益性を問う必要がある。さまざまな社会的要求をバランス良く満たすことで市民の信頼を得ることができるのである。
■「フィリピン人から見た日比間の交流と協力」
二瓶麻里(日本ヌエバエシハ・ファウンデーション代表理事)
【Profile】
1978年カルチュラル・ダンサーとして来日。日本人男性と結婚し、「寿司処 梁川」を開く。店を切盛りする"名物女将"として活躍する一方、日比間の相互理解・友好促進を図るNGO「ジャパン・ヌエバエシハ・ファウンデーション」を設立。留学生・ボランティア団体・フィリピン大使館・フィリピン系企業など、様々な団体・個人とのネットワークを築きながら、日本とフィリピンの"架け橋"となる活動を続けている。

「二人の子どもが大きくなり、時間の余裕もできたので、フィリピンと日本をつなぐ活動をはじめました。
学校の子どもたちやお母さんと共に、フィリピンのダンスや料理を紹介する交流プログラムや、在日フィリピン人コミュニティや大使館と協働してコンサートなどのイベントを企画・運営しています。またフィリピン国内でも献血普及支援や植樹運動を行う他、日本で集めた古着や車いすなど中古品を送り届けています。"フィリピンと日本の橋渡し"ができるよう、日々活動しています。
日本人の夫との結婚に対しては、戦争での辛い体験を持つ祖父母から強く反対されました。私は日本に暮らしてもう30年近くになります。この日本という国を愛していますし、たくさんの方にお世話になりました。"どうしたら日本とこの国の人たちに恩返しができるか"と考えるようになりました。
たとえば、フィリピンのラジオ番組に、国際電話を通じて定期的に出演しています。そこでゴミの分別がきちんとしている日本の習慣や、中古の車いすを頂いたお話など、日本での生活を紹介しています。フィリピンでは電気がなくともラジオを聞く家庭は多く、私の祖母もその聴き手のひとり。
「遠くから、あなたの声を聞いています。日本の人々にありがとうと伝えてください」
と、以前言ってくれました。日本人を憎んでいたフィリピン人の気持ちが、次第に変化してきていることを感じています。

ひとりの力は小さい。私自身、高校しか出ていない普通のお母さんに過ぎません。
しかし、その小さな力が集まれば、誰にでも“何か”ができると知りました。
私の考える成功とは、自分が学び、学んだことを人と分け合い、人を愛し、愛される人になるということ。そのためにはまず元気であること。元気でないと家族や他人の面倒をみて、たくさん愛することができませんから。人に愛され、かわいがってもらい、世界中の人々と出会って、楽しく生きていきたい。人生は一度きりですから、後悔のないよう生きていきたいと思っています」
■「組織の財務改善・強化を図るための社会との関係性を考える」
小林由紀男氏(NGO組織経営アドバイザー)
【Profile】
外資系企業で経営管理業務に従事した後、青年海外協力隊でケニアに赴任、その後、東チモール、カンボジア、ラオスなどにて支援・調査活動に従事。元(財)日本ユニセフ協会 個人・企業事業部部長。 日本プロジェクトマネジメント協会会員

■非営利団体の存在意義
非営利団体の存在意義は、〈グローバル社会〉の急激な進行の弊害として生じた貧富の格差、環境破壊などといったグローバル・イシューへの対処にある。国家行政の手が届かない隙間を埋め、遅れを補い、問題を補正するのがNGOである。NGOの多くは目の前にある問題に対する行動から始めているため、ミッションについて自覚的でない場合もある。しかし構造的に見れば、社会的課題に責任を持つ〈市民からの負託〉を受けてNGOは行動しているのであり、〈公益〉を目指すものである。
■慈善活動と社会の倫理
欧米型の慈善(チャリティ)と日本型社会貢献活動について考えてみたい。まず、欧米型のチャリティはキリスト教精神に基づく行動であり、何か良いこと〈善〉のために浄財を市民に募る。この〈善〉が何かについては宗教的なものであり、俗人の介入する余地は無い。人は神の祝福に対する義務として〈善〉を行う。
一方、日本型の社会貢献活動における〈善〉は人間社会の判断に基づく。日本型の社会貢献とは、企業活動が利益を生み出し、それを社会に還元することによって社会が活性化され、そのことによって企業の繁栄が継続的に持続するという循環を目指すものである。

■NGOのプロジェクトと市民社会
NGOの場合、市民の中の社会問題を解決する意欲と能力のある人間が活動を形成している。義務ではなく〈ボランティア精神〉がその基底にある。よって、市民ひとりひとりが、その負うべき社会的責任や義務を自覚した時、NGOを支援する動機が生まれる。
一方、NGOはその活動が〈公益〉に適っていることを市民に示す必要がある。NGOのミッションは「フィリピンで学校が必要だ」といった、誰にでも理解できる「これがあったら社会が良くなる」ものを示す〈要求ガイド〉である。また、「良いことをやっているのだからわかってくれる人たちだけで素朴にやっていたい」、という気持ちはわかるが、それだけではNGOは成立しない。効率性、環境性、有効性、成果責任、獲得価値、倫理といった要素を含む「総合価値指標」を考え、広く市民にその公益性を問う必要がある。さまざまな社会的要求をバランス良く満たすことで市民の信頼を得ることができるのである。