エチオピア北部で2009年に出土した340万年前の人類骨化石「ブルテレの足」がアウストラロピテクスのデイレメダ猿人だったとの論文が11月26日付で米ネイチャー誌に発表された。この猿人は「ルーシー」ことアファレンシス猿人とは同時期に近い場所で生きていても縄張りが異なり、ルーシーの人類唯一起源説を脅かしている。
ブルテレの足はアファール地方のウォランソ・ミル遺跡のブルテレ地区で見つかった8片の骨である。発掘した米アリゾナ州立大学のヨハネス・ハイレセラシエ教授は歯の破片も発掘し、アウストラロピテクス・デイレメダ(deyiremeda)という新種だったと2015年に唱えたが、ごく少数の例外と論駁されてきた。教授は今回、歯付きの顎骨などを新たに発掘し、デイレメダ猿人は2番目の指で地面を蹴って二足歩行していたと主張した。
また、歯の化石の炭素同位体を分析し、デイレメダ猿人が樹木を主食として、ルーシー
らアファレンシス猿人と棲み分けていたと主張。のみならず、アウストラロピテクスとして先行するアナメンシス猿人や後のアフリカヌス猿人とよく似た食性を指摘。アファレンシス猿人でなくデイレメダ猿人からアフリカヌス猿人に進化した可能性を示唆した。
ここだけみると、300万年前の時点で唯一生き残ったと看做されてきたルーシーの方が少数派だったかもしれない。