ソ連にはね、コサックって言う、ナチスの突撃隊も恐れる怖い部隊があったのね。そのコサックがね、恐れるのが「極東軍」って言われる人たちだったの。今の北朝鮮軍(正確には北朝鮮軍じゃないけど)その極東軍のオッチャンと、仲が良かったのね俺。10歳くらいだったかな。俺、そのオッチャンの話が好きだったの。ある日ね、俺が御幸森神社の賽銭を盗もうとしたら、「こら」って言われたの。それが元極東軍のオッチャンだったの。そこからオッチャンと知り合いになって、いろいろ話を聞かされたんだけど、そのオッチャンって人種が分からないの。ソ連って、そんな人が多いんだって。白人なのかアジア人なのか分からないの。そのオッチャンがね、「俺はコサックとかナチスとか、怖い奴等を見てきたけど、お前ほど怖い奴を見た事が無い」って俺に言ったの。俺ってその時10歳だよ?「え?」って言ったら、「この子がいなければ(アゾォのこと)お前は恐ろしい人殺しになってる」って言ったの。もう一回言うけど、その時、俺10歳だよ?確かにね、俺は人を落とし穴に落とすのは、子供の頃から得意だったけど、極東軍のオッチャンから恐ろしいって言われるとは思わなかったの。オッチャン死んだけど、「決断は自分一人でするんじゃなくて、みんなで決めなければならない。お前は勝手に決めすぎる」って言ってたな。©洪 経世