今更感満載の前々回受賞オンエア作の感想。
毎度のことながら、このコンクールの入賞作品は
某シナリオ雑誌(って、今1210円もするの!?)
を買わないと読めないので、お金の無い私は
今回も受賞作は読んでいません。
以下は今年(R2 3/27)オンエアされた
ドラマの感想です。
随分とテーマ性がぼやけてる話だな。
……というのが第一印章。
ストーリーは小さくまとまっていたが
欲張ってエピソードを盛った割には
途中に伏線が張られている訳でもなく、
かえって掴みどころがない仕上がりだと感じた。
タイトルからすれば
ゴールド免許の頑固な高齢ドライバーが
自分の運転技能を省みる話
の様に思われたが、
結局、主人公の老人は基本的に何も改めない。
序盤の展開からすると、
高齢ドライバーと交通課の新米巡査との
所謂「サルカニ合戦」かと見せかけて、
その攻防は中途半端。
これといった見せ場も無く、
勝敗をつけずに何となく手打ちとなる。
ここには善悪の概念も特に施されてないので
主人公と巡査の双方に感情移入し辛い。
では、
認知症の妻を献身的に世話する夫の老々介護の話
なのかと思えば、
その答えも最後まで示されない。
この作者は一体何を描きたいのだろう
と、ドラマ終盤で観る側が迷子になりかけた頃、
ようやく、この話の本題が解る。
それは、
夫の存在を忘れたと思われていた認知症の妻が
実は夫の事をちゃんと覚えていた。
と言う所謂、御高齢夫婦の愛
という事だったようだ。
結局、高齢ドライバーの問題も、老々介護問題も、
単につまみ食いをしただけで、ドラマの中で
何も落とせていない。
普遍的な要素だと言ってしまえばそれまでだが、
話に取り上げた以上は、一つ一つの問題を
丁寧に着地させないと見応えを得難い。
・完璧主義者の頑固老人は免許を返納した。
・現状でもっとも安全性の高い高機能自動車に買い替えた。
(機械を信用するようになった、とか)
・妻の認知症をサポートしきれないと悟り、施設入所を決意する。
等という様に明らかな変容を描いた方が絶対に良い。
その方がドラマ性のメリハリに繋がるからだ。
でも、
この主人公は最後まで寄る年波の敗北を認めず、
しかし、自己解決能力も乏しいので、
各エピソードがパッチワーク的に
ただ挿入されているだけに感じられ、
単に暴走老人が空回りするのを見せられるだけの
軽い話に留まってしまった感がある。
もったいないと思った。
この手の話は難しいと思う。
劇中でも、主人公の友人の高齢者Aが
事故を起こすエピソードが挿入されている。
「 高齢者は運転を控えろ 」
的な無言の風潮がある昨今では、
どうしてもその部分に
単純な老人の悲哀では片づけられない
強い「負」の要素が発生してしまう。
そうなると、そこから話を別方向に展開させるのは
なかなか容易ではない。
ましてや、コミカルな脚色は逆に軽薄で無責任な
イメージにも繋がり易く、話が破綻しかねない。
その点でこのドラマは、
キャスティングに救われたと思える。
主人公に藤竜也さんを置いた事で、
いい意味で話が締まった。
このドラマの良かった点は、
主人公は地元の人格者だという設定が
しっかりしていたところだ。
地元の交通安全協会の役員で元教師。
実際、地元自治の要職を担う人は元公務員が多い様で、
そうしたリサーチをちゃんとしているのだろう。
それを強いキャラ性を持つ藤さんが演じた事で
存在に説得力が出た。
一方で、その主人公の孫娘が登場するのだが、
これはハッキリ言って無駄なキャラクターだった。
終始、話に絡む事無く、ただ劇中に介在していただけ。
主人公が一時的に運転の自信を無くし、
祖父の車を代行運転する、という見せ場の件があったが、
本筋と全く絡まず、取って付けたようなシーンで終わっていた。
ジジババ中心の話だから、
若い娘を置いて華を添えよう、
という目論見があったのかもしれないが、
それならそれで、ちゃんと存在意義を持たせてやるべきだ。
例えば、思い切って、
若い巡査との恋バナに発展させる手もある。
紅一点とするのなら、何か一工夫が欲しかった。
運転に自信がある高齢者と
融通の利かない真面目な巡査との飽くなき戦い
と言う部分のみをじっくりと描いてほしかった。
そこには、話を面白くする要素が
もっといっぱいあったはずだ。