先ずは、
何はともあれ、このインディーズ作品が
良くも悪くも広く世に認知された事が
邦画界においては画期的な出来事だった
と思える。
映画レビューサイトを見てわかる通り、
話題になっているから観た
という人が多い事から、
アナ雪現象の再来
といったところでもあるけれど、
この映画には、
単に、それだけでは片付けられない
言い知れぬ魅力がある。
初めに言っておくと、
出来栄え自体は
大絶賛するほどのものではない
と思う。
名前だけは立派な日本アカデミー賞において
8部門も受賞する程の完成度ではない
という事だ。
そもそも、あの賞はアレだから……
但し、話題賞と編集賞の受賞は妥当だった
と言える。
某大手検索サイトの映画レビューで
「否」を唱えているコメントを見ると、
「ゾンビホラーだと思ったら違った」
「ホラーなのかコメディなのかハッキリしない」
「ホラーなのかコメディなのかハッキリしない」
という不満を覚えた人が多い様に感じたが、
ハッキリ言って、これを
ゾンビ映画として捉えてはいけない。
実際、劇中では誰も死なないし、
蘇った死体も出てこないのだから、
本作をゾンビ映画としてダメを出すのは
殴られてもいないのに殴られた
と因縁をつけるようなものだと思う。
この映画はホラーではなくコメディであり、
話の根幹は映画人を描いたヒューマンドラマだ。
この映画におけるゾンビ(ホラー)要素は
単にテイストでしかない。
そう思って観ると、
「ゾンビ専門チャンネル」
という設定が妙に面白く思えてくる。
劇中、生々しく血のりを使っているが
その辺りの加減の無さも
ホラー好きには、往年のスプラッター作品への
オマージュとして受け取れ、どこか微笑ましく映る。
要は、ゾンビ愛 なのだ。
ロメロ監督がゾンビを世に放って以来、
数えきれないゾンビ映画が世界中に出現しているが、
それらすべてに共通しているのはゾンビ愛であり、
カメ止めにもそのスピリットが確かに感じられる。
劇中でのゾンビ出現の理由として
「床の血文字を映さないと。
血の呪文を唱えたからゾンビは蘇った、
この作品にはその画が必要なんです」
この作品にはその画が必要なんです」
と、ストーリーのオチとなる部分への
こだわりを絶叫させるあたりからも
それがしっかりと伝わって来た。
更には、ゾンビ愛以上に作品に強く込められているのが
映画愛
だ。監督をはじめ、演者、スタッフ、
この作品に携わった全ての人が、
これを楽しんで作っているのだろう
という、まさに「熱々」感が伝わってくる。
それが、映画の良し悪しは製作費とは関係ない
という事を見事に示してくれている。
作品の完成度ではなく、
作品を完成させるパワーだ。
この作品が億単位の製作費を投入した作品と
肩を並べるほどの成功を獲得したのは、
まさに、作り手の熱が観客にも伝わった
という事だろう。
だからこそ、
そこはかとない自主製作感さえも
この作品の売りの一つとなっているのでは
ないだろうか。
また、
前半のポンコツ長回しドラマを観て、
つまらない、飽きた、として観るのを止めた、
というレビューも多く見かけた。
そう感じるのは人それぞれだし、
そういう感想もありだろう。
でも、本当に映画を楽しみたいなら、
なんでこんなポンコツドラマのプロットを
映画の前半に置いて観客に観せるのか
というところまでもう一歩突っ込んで観ると良い。
あのポンコツ長回しドラマが
ワザとポンコツに作られている、
という事に気付けないと、
上記の様なコメントしか書けない事になる。
何故なら。計算されたポンコツ具合が
全体の完成度を形成しているからだ。
それでも、
最初に完成作を見せておいて
第二部的に制作過程とロケ裏を見せる
という作りが、
所謂、伏線回収のあざとさとして
小賢しく見えるというのも確かに理解できる。
半面、その部分にこそ面白味があるのも事実。
折角、映画を観るのなら
否定的に観るより肯定的に観た方が
楽しいに決まってる。
という事で、映画本編に対する感想。
私は、この作品、とても楽しめた。
笑わせてもらいました。
撮影者が3人いる所がミソ。(エンディングも含めると4人?)
主人公の監督(=撮影者)を撮る劇中劇の撮影担当者、
そして、作品本来の撮影担当者。
この3者が入り乱れる隙間に
楽しませる工夫が介在していたと思う。
演者達がパッとしないのは
無名俳優ばかりだから仕方がない。
でも、
ヒロイン役の秋山ゆずきさんは
顔立ちが蓮佛美沙子さんに似ているし、
酔いつぶれる役者役の細井学さんは存在感が
螢 雪次朗さんあたりを彷彿させていたり、
監督の妻役、しゅはまはるみさんに至っては
シーンによっては鈴木京香さんに見えたりして、
割と早い段階で、演者に対する偏見は
感じなくなった。
脚本については、要所要所で葛藤の薄さ
が気になったけれど、まあ許容範囲内。
キャラの個性や笑わせるポイントも
もちゃんと考えて作り込まれていたし、
ラストのオチとして、
クレーンの替わりの人間ピラミッドなどは
成程と感心させられた。
ただ、
監督の力量をこの作品のみで推し量るのは
監督の力量をこの作品のみで推し量るのは
適当ではないと思う。
今後の作品に期待といったところです。
最後に、
この作品は、決して名作ではない。
これが邦画の代表作だと
胸を張って世界に紹介できる程のものではない。
しかし、快音を響かせた大ヒット作
である事は周知の事実。
映画に直接携わっていない一般庶民が
低予算な駄作、凡作と
好きに言う事は自由だと思う。
※行き過ぎた誹謗中傷は論外ですよ
でも、
現在、映画製作に関わっている
全ての関係者達は、
この映画を素通りしては絶対にいけない。
そして、絶対に貶してはいけない。
プロの立場で、本作を「この程度」と言っちゃう人は、
映画に携わる事を辞めた方がいいと思う。
あんた達はこの映画より
面白い映画を作れるか?
製作費300万で
この映画と同等以上のヒット作を
作れるのか?
プロの方々には、是非、
この作品から自分達に欠けているモノを
学び取ってほしい。
そして、
ハリウッドより面白い実写邦画を
是非、作り出してもらいたい。
そう感じさせてくれた映画でした。