『 夜明けのララバイ 』
受賞した元原稿は読んでいません。
創作TVドラマ大賞は元となる応募作(受賞作)を
大きくいじって映像作品化するという話なので、
受賞作の完成度が "まんま" ではないのだろう
という事前提で以下の話をします。
前もって言っておきます。
恐れ多くも大賞受賞作に対して辛辣な指摘をしています。
受賞歴の無い素人が生意気を書いて
本当にごめんなさいごめんなさいごめんなさい......
……では、書かせていただきます。
ネタバレも含むので、未見の方は読まない方がいいです。
え!? これがNHKの大賞受賞作???
というのが正直な感想でした。
まるで抜け殻の様な脚本だと感じたんです。
内容から推察して、もしかしたら、
元のシナリオの出来はかなり良かったけど
NHKでは映像化に難のあるファクターが多すぎて、
それを割愛したらああなってしまった、という事なのかな???
元非行少女らしいヒロインは、生活背景が一切描かれないので
どこで寝泊まりしてるのか、生活観が全然見えてきません。
何故、母親は自殺したのか。父親は何者か。
その後、どんな環境で育ってきたのか。
観る側が想像しようにも、情報が少なすぎて
イメージがとても湧き辛い。
売春行為の件も、単に下世話なおかずとして挿入されているだけで
最後まで話に対して意味を成していなかったと思いました。
そんなヒロインが、同世代の謎の女性と出会います。
その女性は公園の植え込みに何かを埋めて涙している。
後述で、その女性はその時、死のうとしていた事が判明しますが、
そこは一見して特別な何かがある様な場所ではありません。
何故、女性はその公園の植え込みに死に場所を見出したのでしょうか?
やはり、見えてきません。
女性が去った後、ヒロインは彼女が埋めた物を勝手に掘り起こします。
翌日(だったかな?)、女性は埋めた物を捜しに来ますが、
それらが無くなっていて困惑します。
そこへヒロインがやって来て「拾っといてやった」と告げます。
その埋められていた物とは診察券などの小物類なのですが、
そういった個人情報を勝手に盗み見られたら
大抵は、持主は少なからず憤慨すると思われます。
しかし、その女性はヒロインに怒りません。
それどころか、金髪のヒロインをすんなりと受け入れる。
まったくもって物足りない展開です。
ヒロインもヒロインで、診察券に書いてある生年月日を読み違えて
相手の年齢を誤認します。
二十歳前後という年齢層ならば、年齢の上下には、
より敏感に反応して立場の優劣を計算をするものだと思います。
特に所謂ヤンキーの世界では上下観は絶対的ではないでしょうか。
それを読み違える金髪ヒロインの人物像は、それだけでボヤけました。
そんな観点からも、この話のディテールには疑問が尽きませんでした。
ちなみに、二人の若い女性が打ち解けて行く姿は、
演者の表現力のおかげで良かったと思います。
しかし、この作品の最大の脱力感は、
「海に行こう」という女性の誘いに対し、
「別にいいけど」と二つ返事で受け入れる
ヒロインの思考にありました。
本来、ココにこのドラマの葛藤が集約されるべきではないでしょうか?
海はヒロインの母親を奪った場所です。
どう見ても、話の設定としてヒロインの自傷行為は
母の自殺が引き金の大部分を占めていた筈。
そんな忌むべき場所である海に、
ヒロインは何の抵抗もなく、すんなり足を向けるのです。
変です。ドラマが成立していません。
やがて、女性が余命幾ばくもない病の身である事をヒロインは知ります。
別に、それがどんな病気か、なんて事は、
もはや話に影響する要素ではないので描かれなくても良かったけれど、
ただ、女性の様子があまり重病そうに見えなかったのが
臨場感を欠いていました。
これはシナリオのせいではなく、演出の問題でしょう。
このドラマの焦点は、自傷行為を繰り返す元非行少女が
仲良くなった女性の死を通して、生きる意味を見出す
という部分にあったようです。
でも、最終的にヒロインがどんな境地に達したのか描き切れていません。
もっと掘り下げて具体的に語って〆てほしかったです。
以上が、ドラマ本編に対する私の感想です。
ここで再度、言いますが、
創作TVドラマ大賞は元となる応募作(受賞作)を
かなり弄くって映像作品化するそうです。
その点で、今回のオンエアを見て、
一般公募作である元シナリオを更に劣化させている
と思わせる映像化に、疑問を覚えました。
上記の指摘の数々は、受賞した元のシナリオに対して、というよりは、
映像化したドラマの製作サイドに対する物言いと言えます。
大賞作として映像化するなら、元シナリオ上の不完全部分を
しっかりと補完して見せてほしい、と言いたいのです。
受賞者が素人作家であったなら、尚更です。
その部分では、フジテレビのヤンシナは上手いと思います。
不羈奔放に指摘しまくりましたが、
実際、同賞に応募なさった作家さんの中には、
この作品より自分の作品の方が良かった筈だ!
と感じた方も少なからずおられたのではないでしょうか。
確かに、コンクールは受賞した者勝ちの世界。
同賞では、「運も実力」と明言して選考の偶然性を
ハッキリ肯定なさっている選考委員の先生もいらっしゃいます。
なので、今回の大賞受賞作に対しては素直に称賛します。
でも、これは民放ではなくNHKがバックアップしている賞なのだから、
何故、この作品を大賞として選んだのか、
を番組枠内で評してほしい気もしました。
受賞は称えても、何故この作品だったのか、
についてははやり疑問が残るのです。
今回、良かったと思える点は、
一見、ヤンシナ系?と思えるこの手の内容(勝手な思い込み;)も
同賞(即ちNHK)は受け入れるんだ! という
光明が示された気がした、というところでしょうか。
ちなみに、この第35回(2年前)は私も応募しましたが、
コンクーラーとして参戦したばかりで、
この時は1次にもかすりませんでした。
しかし、あれから2年。
手前味噌ながらも創作の感覚は日々養っている自負が少なからずあります。
次回応募に向けて、一層の意欲が湧いてまいりました。