北海為五郎の読書日記
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司馬遼太郎著「功名が辻(一)」

司馬遼太郎の「功名が辻(一)」、文春文庫、543円+税、2005年2月10日新装版第1刷、2006年1月25日第10刷

NHKの大河ドラマの原作を読んでみた。4分冊からなる長編時代劇である。

その第1部は織田信長が尾張清洲城から岐阜に本拠を移す永禄十(1567)年9月18日の行列から始まり、千代の持参金黄金10枚で織田家中では誰も購入することのできなかった駿馬を手に入れ、天正9年2月28日に京で行われた信長の馬揃え(観兵式)にその馬で参加した山内一豊が名前を天下に知られたところで終わっている。

大河ドラマとはかなりストーリーが異なっている。違うのは出だしだけではなく、一豊と千代の出会いやNHKテレビでは佐久間良子が演じていた一豊の母親が原作では千代の母親であることなど多くの部分で違っている。但し、この違いは歴史認識の違いに基づき意識的に行われていることがNHK大河ドラマHPのQ&Aの中で理由が紹介されている。

また、テレビで千代役を演じている仲間由紀恵は原作の千代にピッタリのイメージであると感じた。原作の千代も明るく利発で男勝りの策略家であり、且つ美人で大酒のみである。

司馬遼太郎の文章を読むのは久しぶりであるが、心なしか千代のイメージを彷彿とさせる軽快なタッチの読み味である。

<参考>
(1)「功名が辻」: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』>http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8A%9F%E5%90%8D%E3%81%8C%E8%BE%BB
(2)NHK大河ドラマ「功名が辻」のHP>http://www.nhk.or.jp/taiga/

司馬遼太郎著「功名が辻(二)」

司馬遼太郎の「功名が辻(二)」、文春文庫、543円+税、2005年2月10日新装版第1刷、2006年1月25日第10刷

NHKの大河ドラマの原作を読んでみた。4分冊からなる長編時代劇である。

第2部は信長の馬揃えの翌年即ち秀吉の備中高松城攻めの天正9(1581)年の春から始まり、本能寺の変、柴田勝家との戦、北条氏の小田原城攻めの後、三条河原で秀次の妻妾30余人が惨殺された文禄3(1594)年8月で終わっていた。

一豊の石高も2000石から長浜城代3000石になり、第2部の終わりには遠州掛川6万石の城主になっていた。

千代の秀吉に対する評価も、第2部の初めは絶賛していたのが終わりごろには酷評に変わり、代わって徳川家康の評価が高くなってきた。一方、一豊は相変わらず謹厳・実直で千代ほどの変化は描かれていない。

また、一人娘のよね姫を天正13年の大地震で失ったときの山内伊右衛門一豊が言った「禍福はあざなえる縄の如し」という言葉が気に入っている。

この第2部を読んで感じたことは、最近読み続けていた藤沢周平小説の文章と比べて、司馬遼太郎の文章は飾りが少なく淡々としていることである。それだけにすらすらと気軽に、且つ分かり易く読むことが出来た。もっとも、「功名が辻」だからそうした印象を持ったのかもしれない。

<参考>
(1)「功名が辻」: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』>http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8A%9F%E5%90%8D%E3%81%8C%E8%BE%BB
(2)NHK大河ドラマ「功名が辻」のHP>http://www.nhk.or.jp/taiga/

司馬遼太郎著「功名が辻(三)」

司馬遼太郎の「功名が辻(三)」、文春文庫、543円+税、2005年3月10日新装版第1刷、2006年1月20日第8刷

NHKの大河ドラマの原作であり、4分冊からなる長編時代劇である。

第3部は秀吉治世下の慶長元(1596)年9月5日の伏見大地震から始まり、次のようなストーリーで構成されていた。
1)秀吉の秀頼溺愛物語
2)一豊が掛川城に出かけた朝に山内家をしのびで訪問した秀吉と千代との男女の駆け引き
3)秀吉の明るい統率者としての再評価
4)甲賀忍者の六平太と千代のからみ
5)淀殿閥と北の政所閥の比較と両派と千代の関係の物語
6)醍醐の花見の物語
7)千代が画策して一豊に側室を持たせようとしてうまくいかなかった物語
8)慶長3(1598)年8月18日の秀吉の死後の派閥闘争
9)一豊が徳川方に付く決心をするまでの経過
10)遠州掛川城で一豊が上杉討伐に向かう家康を向かえる場面
11)伏見に残る千代と石田三成派の人質になるかならないかの駆け引き
12)大阪方からの手紙を上杉討伐軍に従軍中の一豊へ伝えるために密使を送る物語と千代の一豊に宛てた8行の手紙の物語
13)石田三成の挙兵を知った上杉討伐軍の小山軍議に向かう前日、一豊が家臣団の意志を徳川支援の方向でまとめる物語

一豊の石高は第3部を通じて遠州掛川6万石であった。

第3部での司馬遼太郎が千代に語らせる秀吉と家康の評価は、第2部の評価に比べより公平・妥当な評価に変わっていた。それぞれの良い面と悪い面の評価を均等におこなっていた。また、一豊の行動も千代一辺倒ではなく、武将としてのそれなりの評価も展開されていた。

<参考>
(1)「功名が辻」: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』>http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8A%9F%E5%90%8D%E3%81%8C%E8%BE%BB
(2)NHK大河ドラマ「功名が辻」のHP>http://www.nhk.or.jp/taiga/

司馬遼太郎著「功名が辻(四)」

司馬遼太郎の「功名が辻(四)」、文春文庫、543円+税、2005年3月10日新装版第1刷、2005年12月15日第7刷

今年のNHK大河ドラマの原作で、4分冊からなる長編時代劇の最後は上杉討伐に向かった徳川・豊臣混成軍の小山評定から始まった。

第4部は石田三成の反徳川の旗揚げが行われたことを受けて、今後の軍事方針を協議するために現在の栃木県小山市で開催された評議会は慶長5年(1600)7月25日から始まった。

物語は以下のようなストーリーで構成されている。
1)小山評議会の模様と一豊の掛川城明け渡し発言
2)徳川家武将鳥居元忠が守る伏見城落城前後の千代の様子
3)福島正則を初めとした徳川・豊臣混成軍が霞ヶ関に向かう途中の物語
4)関が原の戦い
5)山内一豊と千代の再会と論功行賞で家康が土佐24万石を一豊に与える物語
6)土佐藩引渡しの長曾我部盛親と井伊直政との駆け引き
7)一豊の土佐上陸と高知城築城計画
9)一領具足の叛乱と一豊の虐殺
10)一豊の土佐での病死(61歳)と千代の京都桑原町での最後(61歳)

一豊の石高は遠州掛川6万石から関が原の論功行賞による土佐24万石の一国一城で最後となった。土佐24万石は一豊本人をはじめとして本多正信等誰もが疑問視したが、小山評定での一豊の発言効果を高く評価した結果であったとしている。

一豊は長曾我部の家臣団、特に一領具足の叛乱に手を焼いた。その平定のために相撲大会という名目で一領具足のリーダーを集め、これを虐殺した物語があった。虐殺後にこのことを知った千代は、一豊を一国一城の主にすることを夢見てそれが実現した結果がこの事件であることに強い衝撃を受け、大国の主の器でなかった一豊を強く攻めることは出来なかったという。

NHK大河ドラマではこの最後の出来事をどの様に扱うのか確認したいと思った。

<参考>
(1)「功名が辻」: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』>http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8A%9F%E5%90%8D%E3%81%8C%E8%BE%BB
(2)NHK大河ドラマ「功名が辻」のHP>http://www.nhk.or.jp/taiga/
(3)小山評定>http://marie.saiin.net/~tochigi-castle/hyoujyou,suga.htm
(4)一領具足>http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%80%E9%A0%98%E5%85%B7%E8%B6%B3

西研・森下育彦共著「「考える」ための小論文」

西研・森下育彦共著、「「考える」ための小論文」、ちくま新書、1997年5月20日初版発行、2000年10月15日第4刷、680円+税


ブックオフに行って本の表紙裏紹介文の文章を見て思わず買ってしまった。因みに、ブックオフでは350円。


偶然とはいえこの本を買って読んだことは当たりであった。今迄も、ブログの文章を良く書きたいという気持ちから何冊かの文章の書き方本を買って読んだが、今回の本は今までのどの本とも違っていた。まるで哲学の入門書のような印象である。


今までの本は、良い文章を書くための技術あるいは小手先のコツを書いていたものが多かったと思うが、この本では、技術は最低限で良くて、考えることが良い文章を書くコツであると言っているように感じた。


例えば、論文を書く場合には起承転結が大事だと習ったと思うが、この本では「起承転結は漢詩や4コマ漫画のようなストーリー展開をつくるときの作法であって、論文の構成とは何の関係もない。論文は、起承転結ではなく<問い・検討・答え>だと覚えよう。」と主張している。


大学受験の小論文作成の技術を教える本とばかり思っていたのが、小論文の本質や本格的例題を元に「読み」の方法論や「要約文」の本当のまとめ方など、本質の大切さを丁寧に教えようとしていた。考えることの本質も教えている。いちいち納得しながら本を読み進むという、本質の議論が楽しいものであることを久しぶりに思い出した。


これで自分のブログを書くための拠り所を得たような気がする。現実に良い文章が書けるか否かは別問題だが・・・。


目次は次の通り。
「まえがき」
第一章 論文ってどういうもの?
第二章 じょうずに「考える」ために
第三章 「読み」と「発想・構成」【原理編】
第四章 「読み」と「発想・構成」【実践編】
「あとがき」


<ちくま新書の紹介文>
「論文は、なによりも自分のモヤモヤした考えを明確にするため、またそれを他者に伝えるために書かれる。「自分とは何者か」から「人間の生」「現代社会の在り方」まで幅広いテーマを取り上げて、論文の「かたち」と「なかみ」をていねいに解説する。本書は、大学入試小論文を通して、文章技術の基本を身に付けるための、最良の実用参考書である。と同時に、「書く」ことによって自分をつかみ、思考を深めていくための哲学の書でもある。」(表紙裏の紹介文より)


<参考>
(1)西研氏のホームページ?>http://www007.upp.so-net.ne.jp/inuhashi/hps/pfofile2.htm
(2)7&Yの当本紹介ページ>http://www.7andy.jp/books/detail?accd=19964529