http://www.nikkei.co.jp/news/shakai/20080318AT1G1802K18032008.html

                                 (日経新聞 08.3.18)


相続を巡る争い。親子関係がないのに実子として届けられたYに対し、姉らが相続権がないとして親子関係不存在確認の訴えを提起。高裁はDNA鑑定の結果だけで親子関係を認めなかったが、最高裁は、Yと死亡した父親との間に30年間も親子関係が存在した事に鑑み、当該事情がある場合、姉らがYに訴えを提起するのは、権利濫用に当たる可能性があるとして、破棄差戻した。


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Ⅰ,いわゆる、「藁の上からの養子」問題。


「虚偽の嫡出子出生届」と「養子縁組」の成否において問題になってた議論で


「無効行為の転換理論により、虚偽の届出をされた子を救済できないか?」という問題。


行政書士実務として、相続業務において注意しておくべき判例だと思います。


訴訟に持ち込まなくていい事案を訴訟にしないために。




Ⅱ,「虚偽の嫡出子出生届」を「養子縁組届」として認められないかについて、判例は一貫して否定してきました。


他人の子を自己の子として嘘の届出をしたが、届出をした者は、その子と親子関係を結ぼうとする意思があり、


実際、長年親子として生活してきたのだから、養子縁組を認めてもよくない?


って議論に対し、


「養子縁組は要式行為であり、これは強行規定・・・(最判昭和25.12.28)」として否定してました。


理由は、「未成年を養子とする縁組は家裁の許可が必要(民798条)」が潜脱されるから。

(当事者の意思や生活実態より、要式性を強調してました。)


このような判例の流れに対し、学説から、無効行為の転換理論により認めるべきと批判がなされていました。


当該子の救済に適うから。





Ⅲ,で、今回の判決・・・・・


DNA鑑定結果により、実子でないことが確定している以上、なんとかカバチタレないとYさんが救われない。


どう理屈付けして主張したかわからないが、高裁は否定 (´□`。)


でも、最高裁は「権利濫用」の可能性に言及して、差し戻しました。


無効行為の転換理論について、最高裁は、一貫して受け入れてきませんでしたが、


権利濫用で個別・具体的に救済する余地はあるとしています。


権利濫用で救済すべきとの考えは、以前から中川高男先生(判例時報783号)が主張されてました。


今後の判例のラストシーンは「権利濫用に当たるか」ですね。


差戻審も注目しておきたい。







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