「自分で考えろ」オシム日本がいきなり練習試合―代表合宿スタート | 【サッカー日本代表】オシムジャパン情報局【W杯2010】

「自分で考えろ」オシム日本がいきなり練習試合―代表合宿スタート

日本代表合宿第1日(6日、千葉県内)イビチャ・オシム新監督(65)が率いる新生日本代表が、9日の初陣トリニダードトバゴ戦へ向けた合宿に入り、始動した。集合直後の練習でいきなり平成国際大との練習試合を敢行すると、大幅な選手交代を6度も繰り返しながら、戦術的な指示はほとんど出さない仰天采配を披露。選手へ『自分たちで考えるサッカー』を求めた。一方で対戦相手の学生にはトリニダードトバゴを意識した戦術を要請。知将らしい変幻自在の計略ぶりを発揮した。


新生ジャパン戦士たちの頭は、90分間回転し続けた。生暖かい海風が吹きつけた競技場。いきなり敢行された実戦の開始前、オシム監督はさっそく難題を突きつけた。

「外からいわれてやるのではなく、自分たちでしっかり考えろ」

先発11人は開始寸前に発表された。しかも佐藤寿らFW4人全員へ先発指令。4トップ? だが「達也が左、佐藤が右」とした以外は明確なシステムの指示はない。11人は開始ぎりぎりまで相談し、我那覇が1トップ気味になるなどしたフォーメーションを自分たちで考案して動き始めた。

だが、驚きは最初だけではなかった。23分後。我那覇、中村、坪井に代えて小林大、駒野、長谷部を投入。しかしオシム監督はベンチに座ったまま「考えろ」と無言のメッセージを発し続けた。ピッチの11人は、先発の3バックから4バックへチェンジ。さらに1度下がった選手が戻るなど、大幅な交代は計6度も繰り返された。オシム監督はハーフタイムで「大悟(小林)のエリア外からのシュートはよかった。あれでDFが詰めてくるからパスができる」「パスは正確に。これくらいの相手に取られてはダメ」などの言葉はかけたものの、90分間ほとんどの戦術を選手に自主的に考えさせ続けた。

「軍隊ではないので、試合の前に命令を出すことはしない」。“指示なし”を貫くことで、さっそくオシム式考えるサッカーを追求。コーチ陣にも一切指示をしないよう通達した。ただ一方で平成国際大に対しては「システムは4-1-4-1。攻撃は1トップにロングボールを入れてサポートして」などと具体的に要望。就任初戦の相手、トリニダードトバゴを意識した指示を出す周到な行動もしていた。

「どんな相手でも対応できる能力をつけることが目標」としたオシム監督は練習前、宿舎ホテルで全選手と握手。初日から、熱いメッセージを発信した。

(須田雅弘)

★選手は必死

初日から練習試合、しかも指示なし。オシム流に、選手も驚きの表情を隠せなかった。

「ビックリしたけど、これから慣れていきたい。いろんな監督のもとでやるのは勉強になるから」とFW田中達(浦和)は前半17分にゴールするなど必死にくらいついた。連係が必須の最終ラインでも、DF栗原(横浜M)は「3バックでも4バックでも自分で切り替えてやれってことだと思う」と思考回路をフル活用。MF長谷部(浦和)も「考えるスピードとプレーのスピードを求められた」と初体験の印象を語った。

★ユニーク練習

正午にホテルに集合し、午後6時から練習開始。冒頭8分間の円陣ミーティング中に5色のビブスが渡され、各3人ずつ(黄色のみ山瀬1人)が身につけた。ランニングなどの後、各色1人の計5人が1組になって、主にボールを2個使ってのパス回し。「白→赤→緑…」などのルールに従ってボールを回した。この“5色ビブス練習”はオシム監督の千葉指揮時代にも多用。1時間後、練習試合に入った。

◆日本協会・田嶋幸三専務理事

「監督が何も言わなかったから選手も不気味だったんじゃないかな。でもまだ序の口でしょう」

★DF三都主28分間出場

腸炎をおして代表参加のDF三都主(浦和)が、練習試合の後半11分から39分まで出場。試合前はランニング中心の別メニュー調整を行っていたが、「きょうは(出場が)ないと思っていたけど、監督からちょっとだけ出てくれと言われました。期待に応えたかった」。MF鈴木(浦和)は腰痛で別メニューも、7日から合流予定。左ひざじん帯損傷のMF今野(FC東京)は帯同しているが、今後については改めてチーム医師と相談する。

*厳しいけど、面白そうな練習ですねw