お盆に入ってから、社にくる人がふえた。

 

夏のあいだ町をはなれてた人が、帰ってきて、鳥居のところで手をあわせていく。

 

コヨミは、そういう朝は、いつもより掃除をていねいにする。

 

落ち葉をはいて。

 

お供えの水をかえて。

 

日めくりのほこりをはらう。

 

むかえて、おくる数日

 

先代の帳面には、お盆のことが「むかえて、おくる数日」って書いてあった。

 

なにかを大きくはじめる時期じゃなくて、いちど立ちどまる時期なんだって。

 

だからコヨミも、この数日はあたらしい種をまかない。

 

畑の稲が、しずかに穂を重くしていくのを、ただ見ている。

 

ひさしぶりの人

 

きのう、小さいころこの町にいたっていう人が、社まで来てくれた。

 

「日めくり、まだあるんだね」って、うれしそうに笑ってた。

 

コヨミは寝坊して、その日の日めくりをまだめくってなかったから、ちょっとあわてた。

 

でも、その人はゆっくり待っててくれた。

 

お盆って、たぶんそういう数日。

 

急がなくて、いい。

 

社の欅で、ひぐらしが鳴きはじめたよ🌾